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Hope of Fantoccini  作者: 蒟蒻
Exploratory Various Humans
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School Life 2

「~であるからにして~しかし~」

 延々と続く校長先生のお話に何人もの学生が段々と頭を揺らす。座っている椅子もなかなか上等なもので、座り心地が非常に良い。校長の話が終わった頃には、既に何人かの在校生の寝息が聞こえていた。

 先生のお話が終わると、彼らは教室へと移動した。一希にはこの集団移動も懐かしく感じた。社会人になったあとに全く無くなったわけではないが、それでも異様に懐かったのだ。教室の机は木で出来ていて、前方には黒板と教壇。黒板にはチョークが据えられていて...どこをとっても全く彼の経験上の学校と同じだった。体験入学をしてきた他の人々からも懐かしい、という声が上がっていた。


「みなさん、こんにちは!」

 教室の前方にある扉が開き、教員とみられる男性が入ってくる。30代前半に見えるが、一希が面食らったのは短く切り揃えられた銀の前髪に縦に入った緑色のメッシュだった。彼はまず自分の故郷であれば一発で職員室行きの髪型に特に誰も反応しないところを見て、一気に異世界という現実に引き戻された気分になっていた。この派手な教員は教壇の前で一礼した。

「本日一日教員をさせていただきますジャコンと申します。よろしくお願いします。」

 彼はスポーツが好きなことや、この町が出身であることなど軽く紹介を済ませると、一日入学のプログラムについて話し始めた。午前中は「魔法理論」という科目の座学授業で、午後は「魔法実践」という科目であった。

「午後の実践は、大会形式で行います!皆さんの魔法の力を競い合ってください!もちろん景品もでますよ!」

 殆どが先日に受付してくれた海暁から伺っていたことだったので、再確認に聞いていた彼らにとって寝耳に水であった。景品という言葉に体験生徒たちは一気に盛り上がる。あと彼の隣の席にいるマーも。彼女の相変わらずノリの良さに押されつつ、彼は自分が自由に魔法を出せないという事実を思い出し、若干の焦りを感じていた。ジャコンは笑顔を浮かべ、ざわめく教室のほうを見て言った。

「ささ皆さん落ち着いて、勉強を始めますよ。教科書の10頁を開いてください。」

 彼がチョークを見る瞳、深く赤い瞳が輝いた。するとチョークがひとりでに浮き上がり文字を書き始める。彼は生徒たちのほうを見て話し始めた。

「まず、魔法について、私たちは魔法を使ってこの生活を豊かにしてきました。調理を行い、光を灯し、家を建て、時に魔物たちから自らを守ってきました。魔法は私たちの生活の基盤ともいえるでしょう。」

 チョークが黒板を滑り要点をまとめる。

「魔法は主に『魔力放出型』と『魔力転移型』に分かれます。さらに、前者『魔力放出型』は主に火や光、水などの物質を放ったり、剣や弓をそれらの物質で作りだす『物質放出型』と魔力から固形のモノを作りだしそれらに特定の性質を付与し固定する『性質付与型』に分かれます。たとえば...『物質放出型』は火でできた包丁を作って魚を切りながら火を通したり、『性質付与型』は魔法で色のついたベールのようなものを作って、それを壁に貼り付けることで壁紙代わりにしたりするんですね。」

 予想以上に理論らしい内容に慌て、一希は必死にノートを取った。『物質放出型』は自分が時々出す火の魔法で、『性質付与型』がシンが使う粘着性のある魔力弾を打つ魔法だろうか...自分なりにメモを取りながら考えていた。しかし、チョークが自立する分だけ話が早くなる。彼はついていくのに必死だった。

「一方で後者の『魔力転移型』は、物質の中に自分の魔力を移す魔法全般を指します。魔力を持たないものに転移させる魔法が主流ですね。例えば今私がチョークを動かしているこの魔法も、これに分類されます。これらモノを動かす魔法は、魔力を転移させる相手が魔力を持っていないからこそ、自分の魔力で自由自在に動かせるのです。」

 これはマーの魔法だ!授業についていくのが必死な一希であったが、学んだことがすぐに当てはめることで活かせるのは非常に嬉しいという面もあった。学ぶことが嬉しいなんていつぶりだろう、彼はそう考えながら、ページを捲った。

ここまで読んでいただき誠にありがとうございます。

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