School Life
三人は図書館近くへ寄り骨董品の展示を見た。あまり大きい展示はされておらず、空いている教室の一つを使った、という規模のものであった。入場無料も助けてか疎らに見学者がいる程度で、係員ものんびり対応している。
彼らは流れに沿って、ガラスのケース奇妙な文字の書かれた壺やら木の板やらを眺めていった。彼らはもちろん、この世界の学者たちも読めないらしく、解説文には「解読中」という言葉に併せ「考えられている」だの「予測されている」の文字が必ずついていた。一希の目を引いたのはつるつる表面をもつ鉄板だった。四つの角にネジ用にもみえる穴が開いている。鉄板は描かれたり彫られたりした跡が一切なく、まるで機械の表面が剥がれ落ちている、という印象を彼は受けた。
以前、大トカゲを倒しに行く途中に見つけた集積回路に似た模様の石を思い出す。どうしても自分の知っているものに連想してしまう思考となるべく先入観無く展示品を見ようとする思考が彼の中で戦っていて、その後の展示物はあまり目に入らなかった。
見学が終わり、学生寮に向かう一行。寮のロビーにはすでにマーが座っていた。満足げな表情、ほくほくした顔で何やら帳簿に書き込んでいる。一希は彼女の肩を軽く叩いた。
「待たせてごめんな。」
「全然!こっちも今さっき到着したばっかりよ!」
「これ、お土産。お昼食べた近くで売ってたんだ。」
小さなキーホルダーを彼女に手渡す。小さなクマの笑顔が描かれた丸いのキーホルダーで、鞄などにつけられるようになっている。商談を任せてしまったマーになにか買えないかと三人で話し、買っていたのだった。
「えっ、まじ、ありがとう!」
「足手纏いになると悪くて先に出ちゃったけど...こんなんでごめんな。」
「ううん、嬉しいわ。ありがとう!」
彼女はクマの顔を見えるようにキーホルダーを鞄にかけて、帳簿を閉じて戻した。
「こっちも良い報告。商談大成功よ!」
彼らはその後、明るい気持ちでそれぞれの寮へ向かった。窓の外に広がる夜空には星が輝いているのを見てから一希は久しぶりの制服を懐かしみながら借りた制服を眺めた。ブレザーの胸についた銀色の校章のバッチが光っている。翼を大きく広げた鳥の絵だった。学生時代は学ランで、当時自分が来てたものとは大きく異なるが、それでは懐かしさはひとしおだった。
翌朝、彼はシンと一緒にに部屋を出て、マーとチコと合流した。二人の仲間もそれぞれのものを着ている。ひざ下のチェックのスカートの裾をつかみ、丁寧にお辞儀して見せるマー。彼らも同様に学生時代を思い出していて、思い出話をしながら朝礼を行われる講堂へ向かった。講堂には、同じように体験入学に来ていた生徒がほかにもかなり大勢集まっていた。100人は超えるであろう人数に一瞬一希は驚いたが、壇上に教員があがり朝礼が始まったので、とりあえず姿勢を正すこととした。最初に教員から体験入学についての話があり、次には学長が壇上に上がった。
いくつになっても学長の言葉は非常に眠くなる。彼は睡眠という魔の手から逃れるために、考え事を始める。
【この学園は学びを求めるものすべてに開かれているからね。】
彼の脳裏に今さっき壇上に上がっていたの教員の言葉が頭に蘇る。いくつになっても学びを追求できる人は偉いものだ。自分など、なるべく学びをしなくて済むように努力してきたというものだ...。鉛筆を転がし、試験を乗り越えようとしてきたかつての記憶を思い出し、苦笑いしながら彼は自身が着ている制服を眺めた。何度見ても不思議な光景だった。
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