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Hope of Fantoccini  作者: 蒟蒻
Exploratory Various Humans
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New City

 彼らが甲板から身を乗り出してその行き先を見つけた後、暫くしてから一希たち一行を乗せた船は魔法王国ムーンの首都、シャジマンの港に到着した。彼らは他の乗客に混じり下船する。その時、マーのリヤカーにかなり大きな本棚が積まれているのを見つけ、シンは驚きながら彼女に尋ねた。

「すごい大きな荷物ですね。押しますよ。その商品ってどこに売るのですか、図書館?」

「ありがとう、大丈夫よ。ま、図書館といえばそうね。魔法の学校のよ!」

 彼女は誇らしげに答えると、青い目が輝きを増した。それに合わせて、荷物がふわり、と一人でに動き出す。シンは彼女の魔法に改めて感心しながら彼女の手荷物を少し手伝って港へ到着する。一方で、チケットを処理するため、チコと共に先に船を降りていた一希が町の様子を一瞥すると、ここまでの町とは毛色が違うことがわかった。

 これまでの町は彼にとって、どちらからというと住民も来客も入り混じるタイプの町に感じられていた。魔物退治の人員募集や祭りの開催が拍車をかけていたのだろう。一方でこの町は、魔法王国の名誉を呼ばれているだけあって、住民たちの多くはファンタジーものに登場する典型的な魔法使いのような服装をしている。それ以外の人は、教会にかかわる者の服、学生服が殆どだった。そのため来客と住民の差はわかりやすく、この町はかなり伝統的であると一希に思わせていた。


 一希たち一行は地図を持ったマーを先頭に、商談相手との集合場所へ向かう。港湾の待合室の近くには、待ち合わせ用のスペースがあり、多くの人がそこを利用していた。彼らがそこへ向かうと、良く通る明るい声が聞こえてきた。

「みなさーん!!」

 三角形でつばの広い、そして深い黒地の帽子。まるで絵本に出てくるような魔女の格好をした女性がこちらに向かって手を振っている。彼女は20代前半ほどに見え、オレンジのカールした前髪が帽子からはみ出て見える。

「こんにちは。皆さま、いらっしゃいませ。私は海暁宇宙と申します。王家直属の問屋をさせて頂いております。」

 彼女はぺこり、と一礼してから全員に名刺のような小さな紙を配った。そこには彼女の名前が漢字で書かれ、「かいぎょ うちゅう」とフリガナが添えられている。この世界にも自分のような漢字の名の人がいることを一希は驚きを隠せなかったが、とりあえず彼は海暁に自己紹介をを済ませた。

「よろしく海暁さん、俺は一希です。」

「よろしくお願いします。」


 自分と近い名を持つ人なら、こちらの世界での自分のルーツに関する情報を持っているかもしれない。タイミングを見計らって話を聞こう、と考える一希をよそに、二人の商人の間では話が順調に進んでいた。

「では、魔法学園に案内しますね。」

 海暁は彼ら一行に声をかけて先頭に立って歩き始めた。

「...ああ、ありがとうございます!」

 半ば上の空だった一希は急いで歩み始める。急いで動いたため小石に躓き、チコに支えてもらう状況になった。

「ごめん、チコ」

「大丈夫です。一希さん。」

 にっこりと微笑みかけ、彼の背中を支え立たせる。彼女は彼の後ろに立ち、一希の背中をじっと眺めていた。



 魔法学園は中世の雰囲気が色濃く感じられる修道院のような見た目の巨大な一つの建物だった。堅固なつくりの門には「国立魔法学園」と彫られた金属の看板がある。

 事務所に寄って手続きを済ませた後、屋外ルートで図書館に向かう傍ら、何人かの人とすれ違う。その年齢層が非常に広いことが一希の印象に残った。彼の故郷なら小学校に通っているであろう幼年の者から、教員に見える老年の者までいる。しかし、皆が港で見たものと同じ制服を着ていた。この人たちが皆魔法の勉強をするわけだ...彼は自分が異世界に来ていることを今更ながら再認識させられていた。一人で感心して頷く彼にシンが耳打ちをした。

「一希さん、こういうのやっぱレアですよね。ジューカルミにもこんな大きい学校はありませんでしたし。」

「ああ、なんか別世界ってかんじだぜ。俺たちの手には届かないかんじだな。」

「ですねぇ。」


 その時、門のほうから怒鳴り声が聞こえてきた。それに少し申し訳なささがありながらも調子づいた声が続く。

「こら!門を登るんじゃない!お前は大体遅刻何回目だと思ってるんだ!」

「ごめんなさーい!30回目くらいスかねー!」

 突然、一希一行の横を一陣の風が通り抜けた。空飛ぶ箒に乗った中学生ほどの少年が彼らの横を飛んで行ったのだ。その後をまだ若年層と見える男性教員が走って彼を追っている。自分たちのことも気にせず遠のいていく彼らを眺め、一希は昔遅刻して叱られたことを思い出した。

「...もしかしたら、ちょっと手が届くかも。」

「どっちなんですか、でも私もそう思っちゃいました。」

 微笑んで同意を示すシン。二人がふと前に視線を戻すと図書館はすぐそこだった。

ここまで読んでいただき誠にありがとうございました。

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