第一回生徒会会議「自己紹介」
俺達は結局それぞれの席に座る事にした。
そして、ミツキ先輩・・・いや、会長が仕切って生徒会が始まろうとしていた。
あ、その前に
「ふむ、全員席に座ったな?始め「ちょっと待ってください!」どうした、ヤクモ補佐」
会長が始めようとしているときに申し訳ないが。
今言わないと返ってこないような気がするので。
「いえ、あのですね。まずは返してもらえませんか?俺の私物・・・」
「「「あ、忘れてた」」」
ひどいな、この生徒会は・・・
とりあえず返してもらった。メガネに上着、生徒手帳。
俺が落としてしまった(一部は盗られた)物が帰ってきた。
生徒手帳を胸ポケットに、上着を着て、最後にメガネ。
良かった~、返ってこないかと思った~
「ふう、あ!始めていいですよ!」
「うむ!では始めよう!!」
会長が席を立ち
「第一回生徒会会議を始める!!まず初めにキミ達はまだお互いを知らない・・・てことで!!」
後ろに置いてあるホワイトボードを叩くとグルグル回る。
あれ、固定しないと危ないぞ?
そんな事を思っていると会長がもう一度強く叩いてホワイトボードを止めたすると、
「「「自己紹介?」」」
ホワイトボードにはデカデカと書かれた『自己紹介』の文字が。
「そう!自己紹介だ!」
「はあ、自己紹介ですか?」
「当たり前だろ!自己紹介なしじゃあ初められないだろう!ねえ、会長!」
スポーツ女子も立ち上がってわーわー言っている。スポーツ女子が会長の手下みたいになってるし。
昔、ヤンキーでもいたな・・・噛ませ役で
「どうでもいいけど、早く終わらせてよね?」
「お前!会長の気遣いを~」
「まあ、いいだろう!私からやろう」
「会長~!」
クール女子は眠たそうにアクビしている。
会長はそんな態度のクール女子を見ても怒らない。流石だな器量が違う。
まあ、自己紹介はクラスで中途半端だったからな。ここではしっかりとさせて頂こう
「では!・・・私は3年A組、生徒会会長の香焔 ミツキだ。趣味は何でもだ!一年間よろしく頼むぞ!」
バンッ!て効果音が付くぐらい堂々とした自己紹介だ。
「はい、よろしくお願いしますです!」
「流石会長!!カッコいいです!!」
スポーツ女子はスッゴい目を輝かせて会長を誉めまくっている。
「・・・くー・・・」
俺の横のやつはもう寝ちゃってんだけど!?せめて会長の自己紹介聞いて寝ろよ!
「次は~「私がやります!!」お!副会長か」
会長の次は渡さないって感じに手をあげている。
どうぞどうぞ、譲ってあげますって。
「オホンッ!私は東条 ミユです。趣味は運動、役職は副会長!この一年会長に手を出す虫の監視もしますのでよろしくお願いしますね!!」
にこやかにさっきの邪険な感じが嘘のような笑顔だ。でも邪険な気配と視線を感じる。
「ははは、面白い事を言うな!よろしく頼むぞ、ミユ副会長!」
「はい!」
会長にだけ笑顔を向けて席に座った。
さっきまで俺とかお前とかため口だっただろうが!変わり過ぎたよ!
俺は許しませんよ?俺を投げた件は・・・
「あの、質問なんですが?」
「どうした?書記?」
ひょこ、と手をあげる俺の席の前の可愛い系の女子
「ミユさんは何年生ですか?」
「2年です!」
2年か、だったら・・・って許すか!
2年の人でも先輩としてちゃんとしてくれってよ!
後輩初対面で投げ飛ばす先輩なんて嫌だぜ。
「では次は」
「わ、私がやります!」
まあ、横のヤツは寝てるし。
可愛い系女子は席を立ち上がって。
「え、えーと、私は2年B組の間宮 トモエと言います。書記です!よ、よろしくお願いします!!」
緊張もしているがちゃんと自己紹介ができている。
ん?俺の方をじっと見ている?
「王子様もよろしくお願いいたしますよ?」
「う、うん、よろしく」
「よろしく頼むぞトモエ書記!」
「はい、よろしくお願いいたします!」
ニコッ!笑って席に座る。
やっぱり笑った顔が可愛い・・・目の前だから目が潰れそうだ。
「じゃあ、次は私ね」
いつの間にか起きていた!?
クール女子は静かに立ち上がり。
「1年C組、一ノ宮 サヤよ。よろしく」
あら、自己紹介もクールだったら名前もクール。座り方もクールに座る。
・・・なんかクールの基準が分からなくなってきたぞ!
てか、俺と同じ一年かよ・・・
「フム、よろしく頼むぞ!!では最後を頼むぞ!」
「はい!」
うしっ!緊張せずにやるぞ!!
俺は立ち上がって手を後ろに組んだ。
「・・・1年B組の大和 ヤクモっす!!好きなマンガは○TOです。一年間よろしくお願いいたします!!」
出来た!!俺自己紹介がミツキ先輩の前で!!
感動で涙が出そうだ!!
「G○O?・・・卵かけご飯かしら?」
「それはTKGだ!」
「フム、知っているぞ!」
「ホントですか会長!?」
なんか嬉しいな!会長も知ってるなんて!
「うむ、ドラマとかで観たことあるぞ!」
「ありがとうございます!」
「なぜお前が礼をいう?」
「いや、なんとなく。」
同じものを観てる人がいてくれてるってそれなりに嬉しいもんなんだよ。
「えっと、私分からないのですが?どうゆう内容ですか?」
「確か、ヤンキーだった主人公が先生になって問題児達を次々更正していく話だったかな?」
「合ってます」
大体合っている。
「マンガってなんですか?」
「え!そっから?」
まずそっからなの!?
見るからに少女マンガ読破している人みたいな人が!?
でも、お嬢さまだからあまり庶民のことがわからないのか・・・
「すいません、ファッション雑誌しか分からなくて・・・」
「ファッション雑誌?なんか意外」
ホントに意外!?でも女の子だったら見ちゃうか。
「どんなファッション雑誌?」
「ロリータ服専門の雑誌です!」
ロリータ?逆に分からない!
「ロリータってなに?」
「ロリータ服知らないんですか!?」
逆に信じられないって顔されても・・・
「ロリータファッションは1990年代以降に流行ったファッションの1つよ」
「え?」
「サヤさんもしかして!」
「私も好きよロリータ服」
よくわからんがトモエちゃんとサヤさんは趣味が一緒て事か?
「サヤさんもしかしてゴスロリ系の服を着ます?」
「あら、ゴスロリ好きなの分かるかしら?」
「分かります!!サヤさん結構黒とか好きそうですし」
「あなたはアマロリ系を着てそうね」
「はい!ピンクとか白とか好きなんですよ!」
なんかよくわからん世界だな。
あまり触れないでおこう。
会話に混じれないので後回しにする。
そういえば、ミユさんとは話してないな。
やってもいない犯人扱いされ投げ飛ばされただけだからな。でも、こんな見た目にしている俺もちょっと悪いと思うし少し話かけてみるか。
「えっと、ミユさ「私の事はミユ先輩と呼べ!」先輩は・・・」
クソッ!先輩面してやがる。
「なんだ?はっきりと言え」
みんなに対しての話方と俺に対しての話方が違うくないか?
会長とトモエちゃんには敬語、サヤさんにはさっきの事で会話しづらそうにしているが敬語。
俺には超ため口っておかしくないか?
サヤさんだって俺と同じ学年なのに・・・
「ミユ先輩は好きな物はなんですか?」
「教えたくない」
カチンッ!
「なんでですか?」
「あなたが嫌いだからだ!」
初対面で嫌われている俺って
「まあ、落ち着け副会長」
「会長~!」
あ、会長に抱き着くな!
ヨシヨシと会長に頭を撫でられて猫みたいにゴロゴロしてやがる!羨ましいなちくしょー!!
「ヤクモ補佐、あまり気にしないでやってくれ!副会長は男嫌いだが仲良くやってくれ」
いや、気にしますから!?
男嫌いがいるのに生徒会に男を入れないでくださいよ!
しかも会長に撫でられながらミユ先輩めっちゃ睨んでくるし!仲良くする気ゼロじゃあないですか!?
コワッ!
「・・・頑張って見ます」
あまりミユ先輩の怖い目を見ずに答える。
「ほら、副会長も」
「・・・会長が言うのであれば仲良くしてあげなくもないです。」
早くそっから離れろ!
「ほら、握手とかしてこい!仲良しのな?」
「会長!?待ってください!?私男の人の手を触ったことなくて!!」
「大丈夫!すぐできる!」
「会長!?」
会長がミユ先輩を引きなして俺の方にへと背中を押している。
「ほら、握手!」
「・・・」
「・・・」
お互い黙り手を出さないので仕方なく俺から手をだす。
「・・・!」
向こうは少し驚いているが渋々手を出す。
「・・・やっぱりダメです!!怖いです!」
「向こうから手を出してくれたんだ握手してやれ」
「でもアイツ!何触ったか手か分からないですよ!?」
「みんなそうだ!ほら、握手!」
「ええい!こうなったら殺るしかない!!」
何をだよ!?俺のメンタル殺っちゃてるのにこれ以上何を殺るんだよ!?
「はわわわ!?」
「あら、無意識に相手のメンタルを殺るなんてやり手ね。あの子」
うるせえぇよ!褒めてんじゃねぇ!
「・・・っ!えい!」
ミユ先輩が握手をした!!
と思ったらそのまま後ろに回り込まれ右腕を背中に固定され見事なハンマーロックを極められた。
そのまま机に押さえこまれる。
「いだだだだだ!!ギブギブギブだって!!」
左手を机にバンバン叩きギブアップの合図を送る。すぐに止めてくれたが痛みが残った。
まさか関節技が炸裂するとは思わなかった。
「腕は大丈夫か?ほら、副会長も謝れ」
「・・・」
謝るのがいやそうな顔してやがる。
そんな態度でくるならこっちだって。
「ふう、すまないヤクモ補佐」
「いえ大丈夫です会長。僕はちょっとわかった事があります。」
「あら、どうしたの?Mにでも目覚めたの?」
違うわ!!
「ミユ先輩にはこれから敬語を使わないようにします。」
「っな!!」
さっきまでふて腐れていた表情が驚きに変わる。
「さっきまでは先輩だったので敬語だったんですが流石にやり過ぎた部分が多かったのでこれかは敬語なしでいきます。」
「・・・」
「これからよろしくミユ」
「いきなり呼び捨てにするな!生意気な後輩!」
「だった、後輩に敬意を求められる先輩になれ」
「ぐぬぬぬぬっ!」
悔しそうだ悔しいんだ!
絶対に先輩もさんも着けねぇ!
「よし!!そこまでだ!皆仲良くなったようだな!」
「か、会長!?仲良くなんか!」
「申し訳ないが今日はここまでだ!今日は自己紹介だけだがまた次の生徒会会議で話合おうではないか!」
ミユの声はがん無視で会長は進めていく。
「「はい!」」
「次もあるの?めんどくさいわね」
「会長ー!話を聞いてくださいー!」
「では、解散!!」
「「「お疲れ様」でした!」」
「会長ーーー!!!!」
哀れミユの声は会長の耳には入らなかった。
ミユが会長の誤解を説こうとする姿は思わずみんな笑ってしまう。
あ、俺を睨み付け来た。
「ヤクモ!お前は絶対に許さないからな!次は覚悟しとけよ!!」
涙目で睨んでくる姿はSの俺には可愛いもんでついついいじりたくなってくる。
「はいはい、一人寂しいだろうからな次も相手してやるよ!」
「うるさい!バーカバーカ!」
生徒会は初日からにぎやかで楽しかった。
みんなもそう思っているはず・・・一人を除いて(笑)