6
「王子様!!どこですか!!」
どっかからそんな声が聞こえる。
はあ、はあ、なんとか撒けた。
良かった足が遅くて。スポーツ女子だった追い付かれてたな。
で、ここはどこだ?
また無我夢中で走っててまた場所が分からんところに来てしまった。
えーと、地図を見たら・・・あれ?
「あれ?ん?ない?ないないないない?生徒手帳どこいった!?」
あれ?後ろポケットにいれてて、ん?あ!!さっきの保健室!!
あーあ、ついにやっちまったよ。
一生出れねー、出たとしても入れねー。
「ああ、やっちまったー!!」
自分のミスに頭を抱えてしまう。
取りに行くか?いや、ヤツがいるかもしれないし・・・
うーん、うーんどうするか~
「そこでなにをしている?」
え?この声は・・・
「み、ミツキ先輩!?」
後ろを振り替えると手を腰に当てているミツキ先輩がいた。
ままままさかまた会うなんて・・・
「ななななぜここに!?」
「私はここに用があってな!」
ミツキ先輩が扉を指を指す。
ここって?生徒会室!?
「キミも生徒会に用があるのか?」
「いいえ!!特に用事はありません!!」
「そうか、ところで上着とメガネはどうしたんだ?」
「え、あー落としました。」
「フム・・・だったらちょうどいい、うちにこい」
「え?」
うち?家?
「えっとぉ?」
「さあ、こっちだ」
ミツキ先輩が壁を触ると扉が開いた!?
「え!?」
「ああ、これは生徒会室は生徒会の人間しか入れないようになっていてな」
「はあ?・・・え?だったら僕入れないんじゃ!?」
「大丈夫だ!」
先輩に手を捕まるグイッと引っ張られて生徒会室に踏み込む。
「うおっ!先輩!?」
「な?大丈夫だっただろ?」
また笑顔でいうところが・・・じゃない!
「どうして?」
「まあ、話は座ってからだ」
5席並んでいる独特な飾り付けされている席の中でも一番奥の席に座った先輩、多分そこが生徒会長席
分かりやすくするならこうだ!
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
| | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| |
トビラ∥ | | | ̄ ̄ ̄ ̄| |
| | | | コ | |
| | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| コ | |
| | | | ↑ | |
| | | | ̄ ̄ ̄ ̄ |
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
な、分かりやすかっただろ?
「どうした?ああ、席が分からないか」
「え?いやそうじゃなくて」
会長席から立ち上がって回り込んできて
「ここがキミの席だ!」
上の地図からした左下の席。
一番シンプルで一番何もない席を指を指す。
「・・・あのよく分からないんですが?なんで僕の席が?」
「ん?なにを言っている、キミはもう生徒会メンバーでないか」
は?
「ええええええええええ!!」
「なにをそんなに驚いている?」
「いや!だって!!」
そんなはずは!!
「キミは生徒手帳に書かれている規則を見ていないのか?」
「み、見てないです・・・」
「仕方のないヤツだ、ほら!」
「うわっ!ととと・・・」
ミツキ先輩から生徒手帳を渡され記載されているこの学園の規則の項目を見つける。
「えーと・・・あった!生徒会メンバーの入会条件!?」
そんなのがあるのか!?
「なになに?生徒会メンバーは5人、1人を覗いて人気投票で決まる」
人気投票って学園でも美人イケメンとかで決まりそうだな。
ええと、続き続き・・・
「投票権は生徒一人に一つしかなく、賄賂や脅迫、または情報操作などをした者は投票をなくし候補権利も剥奪される。」
なるほど
「ヤクモ後輩、そこからが重要だぞ」
重要?
「はい・・・生徒会メンバー最後の一人は生徒会長が決定権持ち会長補佐として指名できる?」
え、つまり・・・
「そう!キミは選ばれたのだ!私の補佐としてな!!」
「っっっっっっっっっっっっっ!!??」
驚き過ぎて声が出ない。
もうなにがなんだか頭が真っ白だ!
「おーい!大丈夫か?・・・ダメだ放心状態になってる」
ミツキ先輩が俺の顔の前で手を振っているが。
俺はしばらく動けなかった。
「んー・・・お?」
固まっていた俺をなんとかしようと考えていたミツキ先輩は何かに気がついた。
ウィーン・・・
「会長・・・って、あ!!」
誰か入って来てみたいで急に大声を出す。
「どうしたんだ生徒会書記、そんな大声を出して?」
ミツキ先輩は俺に指を指す誰かと左右に見て。
「ああ、彼は「私の王子様!!」・・・王子様?」
王子様?ってことは・・・
固まっていた俺はギリギリと横を向くと
「あっ」
ヤツがいた。あの丸いカバンを背負っていたあの可愛い系女子が。
ま、ままま!まさか!?生徒会メンバーの書記だと!?
「ん?知り合いなのか?」
「え、いやっ知り合いって言うか・・・」
「失礼します!」
扉がウィーンと開いて誰かがまた入って来る。
「お!今度は副会長か!」
「どうしたんです?こんなに集ま・・・なぜお前がここにいる!?」
入って来た子が生徒会のメンバーでしかも副会長って、あいつ!?俺を盗撮犯と呼んで投げ飛ばし追いかけ回してきたスポーツ女子じゃねぇか!?
「ああ、ちょっと待ってくれ。あと一人来る。」
ミツキ先輩が言ったどうりにまた扉が開いた。
「あら、居たのね・・・勢揃いで」
保健室で会ったあのクールな感じの女子だった。
「えええ!?ってことはキミも?」
「なにがよ・・・」
一通り会った女子が全員生徒会メンバーだなんて!?
「よし!みんな揃ったな、生徒会会議を実行するぞ!!」
「「「えええええええええ!!!!」」」
「・・・めんどくさ」
まだ初日でお互いに全然知らないのに急に始まる生徒会・・・
俺は早くから選択を誤ってしまったかもしれない。いや、結局は同じ事だろう。
早く出会うか早く知ってしまう・・・その差だけなのだろう。