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体育館は第1、第2がある。
体育館が二つもいるかって話だな。
まあ、とりあえず中を見ていこう。
体育館の扉の前に来てみると音が聞こえた。
独特な靴と床が擦れる音がする。誰か使ってるのか?
扉を開けて中を確認してみた。
すると・・・
「ふっ!」
バスケをしている女子がいた。短髪で男勝りな元気ってのが伝わってくるようなスポーツ少女な感じだ。
なんか女子の遭遇率が高いな今日・・・
「ふう、あれ?お前は誰だ?」
「あ、え?」
「誰だと聞いている」
まさか初対面女子にお前って初めて言われた。
「えっと、新入生の大和ヤクモっていいます」
とりあえず頭下げよ。
「そんなのはどうでもいい、なにしに来た?」
「え!?」
どうでもいいって酷くない?
「いや、学園内を見ていただけで」
「見ていた?もしかして盗撮犯か!」
「え!?違いますって!!」
「問答無用!!」
バスケ女子が構えて襲いかかってきた!?
なんでだよ!俺何もしてないじゃん!?
そうこう考えている内にバスケ女子が右手で胸ぐらを掴み左手で俺の右腕を掴む。
この体勢!柔道じゃん!?バスケ女子じゃないのかよ!?
「セイヤアアアアアアア!!」
ちょっと待て!?このまま背負い投げをかまそうとしている!
「グッ!」
バッタアアアアン!!!!
大きな音が体育館に響き渡った。
いてー、今日は厄日か!
さらに追い討ちをかけてくる。
「ちょっ」
倒れた好きにチョークスリーパーを掛けてくる!!
「ぐぇぇぇぇぇ!!」
苦しッ!ギブギブ!!ヤバいって!
また走馬灯見ちゃうって!!
「参ったか盗撮犯!!」
してないっ!!何もしてないから!!
クソッ!元ヤン舐めんなよ!!
「ふんぬっ!」
勢いよく前に転がる!
「キャッ!!」
俺と一緒に転がりチョークスリーパーが外れる。
女子の悲鳴も二回も聞くとは、やっぱり厄日か!?
「ごめんね!!」
そのまま勢いよく立ち上がり2度目のトンズラをする。
「待て!!」
立ち上がるのに時間がかかるみたいだ!
今の内に!!
メガネを拾って出口にダッシュした。
俺はまた学園中を走り回った。
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「ぜえ、ぜえ、ぜえ、ぜえ・・・しょ、初日からキツッ!!はあ、はあ、」
く、クソッ!
上着を置いてきてしまった!!
メガネに続いて上着まで・・・最悪だ。
はあ、明日どうやって過ごせばいいんだ?
予備もないしあるのは幸い生徒手帳だけだ。
これ無くしたら学園にすら入れないし出れなくなる。
嫌だなー、一生出れなくなるって。そこまで学園と共にしたくねぇよ。
・・・地図見よっ
えーと、いま・・・3階保健室前?
保健室か、ちょっと疲れたから保健室で休もうかな?
いや、何かありそうで怖いから別のとこに・・・
「どこだああああ!この変態盗撮犯!!!!」
「どこですかあああ!私の王子様!!!!」
げえぇぇぇぇ!!!!
まだ追いかけてくるぅぅぅ!!!!
どこに逃げるか!!
えーとえーとえーと・・・保健室しかない!!
「仕方ない!!」
保健室に逃げ込みあのとんでもない奴等から避難する。
「どこだああああ!」
「王子様ああああ!」
うわっ!保健室の前を通った!!
扉のガラスから影が見えた。
しかも、メガネと上着を持っていたのも見えた!
「こ、怖ぇぇぇぇぇ」
大声は出せない近くいる、しばらく保健室に避難を・・・お?
「誰?・・・アナタは?」
眠たそうに保健室のベッドから起き上がる人影が見えた
ロングヘアーで見つめられれば凍ってしまうようなクールな感じがする。
またもや女子がいた。
「え?あの僕は「強姦しに来たの?」違う!!」
何この子!?被害妄想激し過ぎ!?
「僕は!保健室に避難をしようとですね!?」
「避難?他の子を強姦したのね「ちっがあああう!!」・・・あまり大きな声出さないでくれる?頭が痛くなる。」
俺も頭が痛くなりそうだわ。
「ご、ごめん!でも俺は何もやっていない。強姦もな!」
「そう、何もやってないのに人に追いかけられているのね」
「ああ」
「アナタ何いってんの?何かやったから追いかけられてるじゃないの?何もやってないのに追いかけられるってそんな人いるわけないじゃない。」
グッ!確かそうだけど!
「確かにそうだけどさあ!「声が聴こえる?」うっ!ヤバい!とにかく匿って!」
「・・・わかったわ、こっちに来て」
「ありがとうってうおっ!!」
女子に近づくと襟を掴まれて布団の中に押し込まれた。
力強いって!
布団の中に押し込まれたがバレないか?
「動かないで、バレたくなかったらね?」
あ、はい
「あとスカート中を覗いたら殺すから」
「見ません」
殺されるから。
「失礼しまーす!!」
入って来た!!
俺は必死に息を殺す!!
「あら、珍しいわねアナタがくるなんて。・・・その手に持っているのは何?」
俺の上着だ。てか、し、知り合いなのか?
「いや、この辺で怪しい男を見なかったか?背が高くて前髪が長い男なんだが、これはその男の上着だ。」
「いえ、見なかったわ」
ふう、良かった庇ってくれて
「どうかしたの?」
「いや、私を盗撮しようと覗きに来た不届き者がいたからな」
「不届き者?」
あ、俺をチラッと見たな
「ああ、私がバスケをしている時にずっと見ていたのだ。」
「それで」
「私をずっと見ていたので怪しいから捕まえて投げたのだ!」
「え?」
「あれはきっと盗撮犯に違いない!!」
胸張って言っている。
ああ、女子が・・・いや、女子二人いるからスポーツ女子とクールさんと呼ぼう。
クールさんが考えている。
「・・・アナタ、ナニを確信して盗撮犯扱いしているの?」
「勘だ!」
俺はスポーツ女子の勘で追われているのか!?
「やめなさい、アナタの勘は当たらないでしょう」
「ナニを言う!俺の勘は一年に一回当たるか当たらないかだ!」
「やめなさい」
ひでーな、勘もこの状況も
「とにかく、アナタの勘の性でその男は濡れ衣を着せられて学園を通えなくなったらどうするの」
「うっ、いや確かにあの男は」
「その男は盗撮していたと証拠がある?」
「い、いやないけど・・・」
「けど、なに?」
「・・・何でもないです・・・」
ど、どうやら説得してくれたみたいだ。ありがたい!!
「はあ、相変わらず当てずっぽうで突っ込むだから・・・証拠も無いんだか決め付けないように」
「はい」
スポーツ女子は反省しているのか?
「だったら後で謝って来なさい。まだいると思うけど必ず謝ってその服返しなさい。」
「・・・はい」
良かった反省してくれているようだ。
「ほら、早く行きなさい。男が帰っちゃうわよ」
「・・・はい、失礼しました。」
スポーツ女子が保健室から出ていった。
「ほら、行ったわよ」
イテッイテッ足で踏むな
「よいしょっと、ありがと」
暑いな~、汗だくだわまた。
「あら、布団の中で興奮した?」
「違う、布団の中が熱かっただけだ。」
ったく、さっき濡れ衣を着せられたらっとか、どうとか言ってたじゃねえか!
「今のアナタはまるで変態みたいね」
「なんでだよ!?」
「だってアナタ、汗かいてハアハア言って私と一緒にいるのよ?端から見たら変態ね」
「俺に濡れ衣を着させるんじゃねぇ!」
確かに見えるかもだけど!?
「アナタ髪をなんとかしたら?」
「髪?」
「アナタの髪型、変質者と間違えられてもおかしくないわ」
前髪が長すぎる性でもあるだろう
「確かにな、だけど変えられないんだこれだけは。」
「なんで?」
「地味が丁度良いから」
「意味が分からないわ」
ですよね~
「まあいいわ、早く出てって頂戴」
「はいはい、すぐに出ていきますよ・・・とにかくありがとな」
さて、ベッドから降りて保健室から退散しますよ。
「ちょっと待ちなさい」
「ん?」
保健室から出ようとして急に呼び止められた。
「アナタ、名前は?」
「名前?名前は「あ!王子様発見!!」げえぇ!!まだいやがった!!すまん!!また今度な!!」
「あ、ちょっと!」
「王子様ああああ!!」
あの謎の王子様と呼んでいる女から逃げることが最優先だ!!
またしても走ることになるなんて!
「チキショーおおおぉぉぉぉぉぉ!!・・・」
「待ってください!!私の王子様あああぁぁぁぁぁぁ!!・・・」
「・・・行っちゃった。まあいいわ。やっと寝られるもの・・・あら、これは?」