こうもり傘
雨というのは憂鬱になる。
服は濡れるし、髪は湿気で爆発する。
手は傘で塞がるし、自転車に乗るとなるとださい雨具を着なくてはいけない。
関係は無いけど、傘は花と表現するよりキノコと言った方が性格じゃないだろうか?
水たまりに足を突っ込んだら最悪、靴下は御臨終。
今まで頑張って濡れないようにしてても一気に水浸しだ。
車道を走る車が巻き上げる水飛沫を浴びるとなると形容しがたい気持ちが湧きあがる。
だと言うのに。
鼓動が早まるのは何故だろうか?
濡れた服越しに伝わる熱のせいだろうか?
雨は憂鬱で、湿気は鬱陶しくて、濡れた服は冷たいけど。
びしょぬれのお互いを見て笑うのは爽快だった。
目の前を通ったおじさんの傘が風でひっくり返るように。
私の気持ちもひっくり返った。
たまにはこんな日も悪くないなと思える。
そんな雨の日の午後、こうもり傘の私。