反抗期の商人
カイルside
「商会の者が到着したようです。
午後にはブラッティ侯爵がいらっしゃるので宴の食材を持ってきたようです。
それと、ご挨拶ついでに防衛品のことで話があるようで…」
執務室にいたカイルは、ここで面倒を見てくれている代行管理人に目配せして、頷いたのを確認してから執事に商人を連れてくるよう促した。
案内されるままに入ってきたのは、商人数名であり、その内一人は少年と言っても遜色無い年頃に見える。初めて見る顔だった。
(俺と、同い年くらいか?)
そんなカイルの視線に気付いた顔馴染みの商人は、少年を呼び寄せると、紹介をはじめる。
「こいつはレオンって言います。
カイル様と同い年くらいでしょうか?今年で十五歳になります。
家の跡取りなので、まずはこうして顔を覚えて貰うために同席させました。以後お見知り置きを」
それに代行管理者が深く頷いた。
「最近は早め早めの教育が主流ですからな」
「いやはや、私としては愚息をまだお披露目出来る状態とも言えんのですが、このご時世ですからねぇ…」
大人達が世間話を咲かせている傍で、カイルはじっとレオンを見つめて〝鑑定〟を発動させる。
最近ーー名前や肩書きとは別に、自分と同い年くらいの者限定で見えるものがある。それはーー
〝レオン〟〝商人の息子〟
ー〝反抗期〟ー
「レオン、顔出しは終わらせたから、後は荷下ろしを頼む。我々はこれから込み入った話をするからな」
「はい」
レオンは指示通り部屋を出て行った。
「あ、俺も、少々用事がーー代行管理者、暫く頼む」
「カイル様!?」
ーーバタン
扉が閉じた後、足早にレオンの方へと進んでゆく。
すると、先ほど見かけた背中が見えて来て、呼び止めた。
「待ってくれ!」
「?ーー小伯爵様?」
「荷下ろしに行くなら、これから貯蔵庫に向かうんだな?」
「そうですが…」
「じゃあーーその近くの離れ住んでいる令嬢に会ったら、何か入用は無いか聞いて、必要な物があれば何でも用意してやってくれ。
金は後で俺がまとめて払う」
「わ、わかりました」
「それと、この話は此処だけの秘密にしてくれ。絶対に。
特に商会長ーー君の父君には他言しないように」
カイルが真面目な顔をしてそう言うと、個人的に見込まれて頼まれているのだと感じたレオンは、表情を明るくした。
「はい!」




