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遭遇3

「いい?説明したとおり、ラファエルが見つかると大変なことになるかもしれないの。


これからは人目につかずにおむつを洗濯するよう、最新の注意を払わないとダメなの。


わかった?」


「わかったフェレ!人目につかないよう洗濯をすれば良いんだフェレね!」


「そう。さて!ここで本当に理解出来たのか問題です!!


万が一誰かに見つかった時はどうするのが良いですか?」


 エミリアのクイズに、フェレ助はニコニコしながら丸い前足を上げた。


「突然変異のフェレットのフリするフェレ~」

「せーかい!」


「やったフェレ!!」


 わーいと両前足を上げて喜ぶフェレ助に、ラファエルもきゃいきゃいと喜びながらぱちぱちと拍手している。

 エミリアはそんな癒し空間にほぅ…と息をつきながら、横たえられたレオンにちらりと視線をやった。


(起きたら何て説明しようかなー。まず喋るフェレ助は突然変異ということにして、ラファエルはやはり赤ちゃん姿見られてからの仔犬は厳しかったかも…おくるみにくるんで耳を隠して、実はやっぱり赤ちゃんでした!ってやる方が良いかな?

仔犬姿は私の手品でした!みたいなーー)



 エミリアは、考えごとをしながらもレオンが持ってきてくれたおむつを赤ちゃんに当てがう。


 様々な素材のものを用意してくれたが、やはり一番気になるのは、前世の下着に近い形をした輪おむつだ。


 これでおむつ交換出来るのならかさばらないし、履かせやすいので助かりそうだと思えて初めに試してみた。


「ラファエル、どう?」


「むぅむぅあうあー!(さっきのよりマシだけど亜麻より雲糸そざいのがいい)」


「そっかぁ~。じゃあこれは外出様のおむつにしよう」


(赤ちゃんのおむつって、履き心地がそれぞれ違うなんて知らなかった。


色々試してみるものだなぁ、そう言えば小説のラファエルはこだわりの強い潔癖症だったから尚更だよね。

こんなちっちゃいうちから拘りが強いなんて。乳母は大変だったろうな)


 雲糸に変えてから赤ちゃんの表情がほっと緩んだのを見ると、やはりおむつの素材に拘ったのは正解だったのだと感じる。


 仰向けになっていた赤ちゃんはコロンと転がると、よちよち歩きで方向転換をして、今度はエミリアの膝によじ登りはじめた。


 えっしょ、えっしょとモゾモゾしている姿に、エミリアはきゅううんと胸が締め付けられ、両手を頬に当てる。


(可愛い~)



「あ、あーあ!」


「どうしたの?何が伝えたいの?」


「あーむー(おなかすいた)」


 膝に乗ってきた赤ちゃんを抱き上げて、よしよしと揺らす。


(もうミルクの時間か…いつレオンが起きるか分からないし、ここにフェレ助を待機させるのも…。ちゃんと誤魔化せるか心配だしーー)


「フェレ助、ミルク温めるのお願い出来るかな?」


「お任せフェレ!」


 ビシッと前脚をあげて、フェレ助が部屋から駆け出ると、玄関の扉がこんこんとノックされた。


 フェレ助は先程エミリアから受けた注意を思い出す。


『川でおむつを洗いに行く時や外に出る時は、人目につかないように細心の注意を払ってね!』


(つまり、家の中にいる時は良いんだフェレ!)


 とてとてと、玄関にかけて行き、ガチャリと扉を開けた。




♢♢♢

カイルside



(アリッサの侍女が言ったことを間に受けるわけじゃないが、こう言うことは本人に聞くのが一番だからな…)


 晩餐会場を後にしたカイルはエミリアの滞在する離れに足を運んで、ごくりと息を呑んでから扉をノックした。



ーーコンコン



 すると、扉越しにとてとてと小走りで駆け寄ってくる音が聞こえた。


 がちゃりと開いた扉に、こほんと咳払いをしてから「夜分にすまない、少し話がーー」


 そう言葉を続けようとして止めたのは、目の前にエミリアが居なかったからだった。


 ゆっくり視線を下げると、そこにはまんまるの茶色の目を輝かせている謎の生物がいた。


「…おまえは、何だ?」


 謎の生物は小さく首を傾げて、答えを見つけた様に閃いた!と表情に宿す。


(この場合どちらかわからないから、フェレットのフリをするのが良いフェレ~。フェレ助賢いって後で褒めてもらうフェレ!)


「突然変異のフェレットのフリしたフェレ助だフェレ!」







「?????」






 謎の生物の謎がもっと深まり、沈黙が漂う。






「フェレ助ー。ミルクどう?用意できそうーーーわーーーー!!!!!」


 後ろからおくるみに包まれた赤ん坊を抱えたエミリアが叫び声をあげる。

 

「ふ、ふぇぇぇぇ…」


 お腹が空いたのに、もう暫く時間がかかりそうな状況を察した赤ちゃんはややグズリはじめた。



 ドタバタと走ってきて、フェレ助を引っ張ったのか、一度扉が閉まる。


「ーーこれは、どういう状況だ?」


 ぽつりとカイルが呟くと、すぐに扉が開いて、腕の中にはおくるみに包まれた仔犬とエミリアが現れた。 






「ど、どうしたの?こんな時間に珍しいね!」




 えへへっと誤魔化し笑いを浮かべるエミリアを見て、この状況説明はこれでどうにかなると考えていることを悟る。



(喋るフェレット、赤ん坊の声、仔犬……情報が多すぎる)





「どうしたって……」




(……それはこっちの台詞なんだが…)


 


「ーーとりあえず、一つずつゆっくりと説明してくれるか?」

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