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目立たないように生きる  作者: 慈架太子


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第6章 - 究極の力

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第6章 - 究極の力

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「...詳しく聞かせろ」

新たな物語が、始まろうとしていた。


老人は地図を広げた。

「東の大陸に、古代魔帝が封印されている。魔王ゼノヴァの十倍の力を持つ」

「十倍...レベルはどれくらいだ?」

「推定300を超える」

全員が息を呑んだ。

「300...俺たちより百五十も上か」

「封印は千年持つはずだった。だが、魔王の死により、封印の均衡が崩れた。あと一年で目覚める」

エドワードが尋ねた。

「なぜ俺たちに?」

「貴様らだけが唯一、魔帝と戦える可能性がある。他の誰にも無理だ」

セラが腕を組んだ。

「一年で、レベル150から300まで上げろと?」

「不可能ではない。東の大陸には、超高レベルの魔物が無数にいる。効率よく狩れば、到達できる」

老人は続けた。

「ただし、条件がある。貴様らの正体は、私以外の誰にも明かさない。影のまま戦ってもらう」

俺は考え込んだ。

「...協力は受ける。だが、お前を完全には信用しない」

「当然だ」

老人は笑った。

「私はアルヴィス。情報提供と支援を約束する。ただし、貴様らの自由は侵さない」

「分かった。一年後、魔帝を倒す」

俺は決意を固めた。

「準備を始める。東の大陸へ向かうぞ」

新たな冒険が、幕を開けた。

だが、俺たちの信念は変わらない。

目立たず、自由に、最強として。


一週間の準備期間を経て、俺たちは東の大陸へ向かった。

テレポーテーションでは距離が遠すぎるため、船を使った。

「二週間の航海だ」

船上で、俺たちは最終調整を行った。

グランが作った新装備。バルドの長期保存食。リーナとエドワードが開発した新魔法。

「準備は完璧だ」

東の大陸に到着すると、空気が違った。

「魔力濃度が高い...」

エドワードが驚いた。

「ここの魔物は、全て高レベルだ」

森に足を踏み入れると、即座に襲われた。

「キメラ、レベル140!」

「こんなのが雑魚扱いか...」

セラが迎撃する。

だが、俺たちには余裕があった。レベル150の実力で、140の魔物など造作もない。

「一日で十体は狩れる。経験値も膨大だ」

一週間後、最初のレベルアップ。

【全員、レベル155到達】

「順調だ。この調子なら、半年でレベル250には到達できる」

だが、アルヴィスが警告した。

「油断するな。この大陸には、レベル200を超える魔物が徘徊している」

「分かっている」

俺たちは慎重に、そして着実に、レベルを上げ続けた。

拠点を転々としながら、誰にも気づかれず。

一年後の決戦に向けて、準備は進んでいく。


三ヶ月が経過した。

俺たちは東の大陸の深部に拠点を移していた。

「今日はドラゴンロードを三体倒した。レベル180だった」

セラが報告する。

【ルーク:レベル155→170】

【エドワード:レベル155→168】

【リーナ:レベル155→169】

【セラ:レベル155→171】

「順調だ。だが、まだ足りない」

俺たちは新しい技術も習得していた。

「空間切断魔法」

「時間停止魔法」

「次元跳躍」

「物質変換」

エドワードとリーナが開発した、禁術レベルの魔法たち。

「これなら魔帝とも戦える...はずだ」

ある日、アルヴィスが緊急の報告を持ってきた。

「魔帝の封印が予想より早く弱まっている。残り半年だ」

「半年...!?」

「ペースを上げる必要がある」

俺は決断した。

「レベル200超えの魔物を狩る。危険だが、それしかない」

翌日、俺たちは「死の谷」と呼ばれる場所へ向かった。

レベル220の「破滅の巨人」が棲んでいる。

「勝てるか?」

「やってみなければ分からない」

巨人が姿を現した。

全長五十メートル。全身が黒い鎧に覆われている。

「来るぞ...!」

レベル差五十の戦いが、始まった。


破滅の巨人が拳を振り下ろした。

「散開!」

地面が砕け、クレーターができる。

「レベル差が大きすぎる...直撃したら即死だ」

「ならば当たらなければいい!」

リーナが時間停止魔法を発動した。

「クロノ・フリーズ!」

巨人の動きが五秒間止まる。

「今だ! 空間切断!」

エドワードが禁術を放つ。空間そのものが裂け、巨人の腕を切断した。

「ガアアアァ!」

巨人が咆哮する。

「効いている! 続けるぞ!」

俺は全超能力を同時発動した。

「グラビティ! テレキネシス! サイコキネシス!」

巨人の体が重くなり、ひねられ、地面に叩きつけられる。

「セラ!」

「了解!」

セラが音速を超える速度で巨人の首に突撃。竜殺しの短剣が急所を貫く。

だが、巨人はまだ倒れない。

「硬い...! 鎧が魔法を弾いている」

「ならば内部から! テレキネシス!」

俺は巨人の体内の血管をひねった。内部攻撃なら鎧は関係ない。

「ぐぉぉぉ!」

巨人が苦しみ、膝をついた。

「全員、最大火力!」

四人が全魔力を込めた攻撃を放つ。

精霊魔法、超能力魔法、禁術、全てが巨人に集中した。

巨人が崩れ落ちた。

「...勝った」

【経験値大量獲得】

【ルーク:レベル170→178】

【全員、七レベル以上上昇】

「レベル差があっても、戦術次第で勝てる」

俺は自信を深めた。

「この調子なら、間に合う」


さらに三ヶ月が経過した。

俺たちは死の谷を拠点に、レベル200超えの魔物を次々と狩っていた。

「今月の成果は...」

エドワードが記録を見せた。

「破滅の巨人×5、古代ドラゴン×8、魔獣王×3、深淵の悪魔×12」

【ルーク:レベル178→220】

【エドワード:レベル175→215】

【リーナ:レベル176→217】

【セラ:レベル178→221】

「全員レベル200を超えた...人間の限界を遥かに超えている」

新しいスキルも大量に習得していた。

「空間支配」「時間操作」「次元断裂」「魔力無限化」「不死再生」

「これなら魔帝とも互角に戦える...はずだ」

アルヴィスが拠点を訪れた。

「残り三ヶ月だ。魔帝の封印が臨界点に近づいている」

「あと三ヶ月でレベル300か...厳しいな」

「いや、最後の方法がある」

アルヴィスが地図を指差した。

「『試練の塔』。古代に作られた、最強の者だけが挑める場所だ。最上階にはレベル280の守護者がいる」

「280...今の俺たちなら勝てる」

「そして、塔を制覇した者には『神の祝福』が与えられる。全ステータスが倍増する」

全員が顔を見合わせた。

「それなら...魔帝に勝てる」

「試練の塔は封印の地から百キロ先だ。二ヶ月以内に制覇しろ」

「分かった」

俺たちは最後の挑戦に向かった。

試練の塔が、遠くに見える。


試練の塔は、天を貫くように聳え立っていた。

「百階建て...それぞれの階層に強力な魔物がいる」

入口に立つと、石碑に文字が刻まれていた。

『挑戦者よ。この塔を制した者に、神の祝福を授けん』

「行くぞ」

一階から順に登っていく。

十階ごとに、ボス級の魔物が待ち構えていた。

「三十階、レベル200の炎の巨人!」

「五十階、レベル230の氷の魔王!」

「七十階、レベル250の雷の覇者!」

だが、俺たちは既にレベル220。連携も完璧だ。

「時間停止! 空間切断!」

「全超能力同時発動!」

「精霊魔法、七属性融合!」

次々と敵を倒し、上へ上へと進む。

一週間後、九十九階に到達した。

「最上階まであと少し...」

百階の扉を開けると、巨大な玉座があった。

そこに座る、金色の鎧を纏った騎士。

【神騎士アルテミス:レベル280】

「よくぞ来た、挑戦者たちよ」

神騎士が立ち上がった。

「貴様らの力、試させてもらう」

最後の戦いが始まった。

レベル差六十。だが、俺たちは引かない。

「全員、全力だ!」

四人が同時に最大火力を解放した。

戦闘は一時間に及んだ。

最後、俺たちの連携攻撃が神騎士を打ち破った。

「見事...」

神騎士が消え、光が降り注いだ。

【神の祝福を獲得】

【全ステータス×2】

【ルーク:レベル220→250 / 魔力:15000→30000】

【全員、レベル240以上到達】

「これなら...魔帝と戦える!」


塔から出ると、アルヴィスが待っていた。

「成功したか...その力、確かに感じる」

「ああ。準備は整った」

俺たちは封印の地へ向かった。

古代遺跡の中心に、巨大な魔法陣があった。封印の力が薄れ、ひび割れている。

「あと一週間で完全に解ける」

エドワードが分析した。

「一週間...最後の調整だ」

俺たちは遺跡の近くに拠点を作り、最終準備を始めた。

グランが究極の武器を完成させた。

「神の素材で作った。これが俺の最後の傑作だ」

バルドは最強のバフ料理を用意した。

「全ステータスが二倍になる。持続時間は一日だ」

リーナとエドワードは最終戦術を練った。

「魔帝の動きを時間停止で封じ、空間切断で攻撃。全超能力と精霊魔法を同時発動して畳み掛ける」

「完璧だ」

一週間後、封印が完全に砕けた。

魔法陣から、黒い霧が噴き出す。

その中から、巨大な影が現れた。

六本の腕、三つの頭、黒い翼。

【古代魔帝ディアボロス:レベル310】

「久しぶりだ...この世界の空気は」

魔帝の声が大地を揺らした。

「そして、貴様らが私の最初の餌か」

魔帝の視線が、俺たちを捉えた。

「餌? 俺たちはお前を倒しに来た」

俺は剣を抜いた。

「全員、行くぞ!」

最終決戦が、今始まる。


「バフ料理、今だ!」

全員がバルドの料理を口にする。全ステータスが二倍に跳ね上がった。

【ルーク:実質レベル300相当の戦闘力】

「これなら互角だ!」

魔帝が六本の腕を振り上げた。

「消えろ、虫けらども!」

黒い魔力の波が襲いかかる。

「クロノ・フリーズ!」

リーナが時間停止を発動。魔帝の動きが五秒間止まった。

「今だ! ディメンション・カッター!」

エドワードが空間切断を放つ。魔帝の二本の腕が切断された。

「ぐぉぉ!」

「全超能力同時発動!」

俺はサイコキネシス、テレキネシス、グラビティ、パイロキネシスを全開にした。

魔帝の体が浮き、ひねられ、重くなり、燃え上がる。

「セブン・エレメンタル・カオス!」

俺とエドワードとリーナが七属性精霊魔法を同時発動。

炎、氷、雷、風、土、光、闇が渦巻き、魔帝を包み込む。

「セラ!」

「了解!」

セラが光速を超える速度で三つの首を同時に斬り裂いた。

「ギャアアアァァァ!」

魔帝が絶叫する。

だが、切断された腕と首が再生し始めた。

「再生能力...!」

「ならば再生できないほど破壊する!」

四人が全魔力を一点に集中させた。

「オメガ・デストラクション!」

全ての力が融合した究極の一撃。

魔帝の体が光に包まれ、爆発した。

沈黙。

「...終わったか?」

煙が晴れると、魔帝は倒れていた。

動かない。

「勝った...」


魔帝の体が光の粒子となって消えていく。

【経験値大量獲得】

【ルーク:レベル250→280】

【エドワード:レベル240→268】

【リーナ:レベル242→270】

【セラ:レベル245→273】

「全員、レベル260超え...人類史上、前代未聞だ」

だが、俺たちに休む暇はなかった。

遺跡全体が崩れ始めた。

「封印が解けた影響だ! 逃げるぞ!」

「テレポーテーション!」

全員が瞬時に遺跡の外へ転移した。

背後で遺跡が崩壊する轟音。

数分後、全てが瓦礫の山と化した。

「終わった...本当に終わったんだ」

リーナが地面に座り込んだ。

「世界を二度救った。魔王と魔帝、二大脅威を倒した」

エドワードが空を見上げた。

アルヴィスが現れた。

「見事だった。貴様らは真の英雄だ」

「英雄じゃない。ただの冒険者だ」

俺は即座に否定した。

「そして、これで契約は終わりだ。俺たちは元の生活に戻る」

「分かっている。だが、世界は貴様らに感謝している」

「感謝は要らない。ただ、俺たちの名を出すな」

「約束しよう」

アルヴィスは深く頭を下げて去っていった。

「さて、帰るか」

俺は仲間を見た。

「拠点に戻って、また静かな日常を取り戻そう」

「ああ」

全員が頷いた。

世界を救った。だが、誰も知らない。

それでいい。

俺たちは「影の守護者」。

目立たず、自由に、最強として生きる。

それが、俺たちの誇りだ。


一年後。

俺たちは西の森、最初の拠点の近くに新しい家を建てていた。

「平和だな」

朝、バルドの作る朝食を食べながら、セラが呟いた。

「ああ。魔王も魔帝もいない。世界は平和だ」

リーナとエドワードは相変わらず研究に没頭している。

「新しい治癒魔法を開発したわ。これなら難病も治せる」

グランは村人の依頼で農具を作っていた。

「武器じゃなくて農具か。平和だからこそだな」

俺は時々、近くの村を見回っていた。

変装して、誰にも気づかれずに。

ある日、村の酒場で噂を聞いた。

「影の守護者って、今どこにいるんだろうな」

「伝説の存在さ。もう現れないよ」

「でも、困った時はきっと助けてくれるんだろ?」

俺は微笑んで酒場を出た。

拠点に戻ると、仲間が集まっていた。

「ルーク、孤児院から手紙が来た。新しい建物ができたって、感謝の言葉が書いてある」

リーナが手紙を見せた。

「匿名の寄付のおかげだって」

「よかったな」

俺たちは今も支援を続けている。

名前を出さず、顔も見せず。

「これが俺たちの生き方だ」

全員が頷いた。

レベル280の最強パーティ。

だが、誰も知らない。

それでいい。

目立たず、自由に、影から世界を守る。

それが、俺たちが選んだ道だ。


数年が経った。

世界は完全に平和を取り戻し、「影の守護者」の伝説は徐々に忘れられていった。

「それでいい」

俺は満足していた。

ある日、かつて助けた村の少女が訪ねてきた。もう十代後半になっている。

「あの...おじさんたち、覚えてますか?」

「ああ。治癒の水を届けた村の子だな」

少女は深々と頭を下げた。

「私、冒険者になりました。おじさんたちみたいに、困っている人を助けたくて」

「そうか。頑張れ」

「でも、有名になりたいとかじゃないんです。おじさんたちみたいに、影から助けたいんです」

俺は少女の頭に手を置いた。

「いい心がけだ。名声より大切なものがある。それを忘れるな」

「はい!」

少女は笑顔で去っていった。

「俺たちの生き方、受け継がれていくのかもな」

セラが笑った。

「悪くないな」

夕暮れ時、俺たちは拠点の屋上に集まった。

「この数年、いろいろあったな」

エドワードが感慨深げに言った。

「オークを狩る底辺冒険者から、世界を救う最強パーティまで」

「だが、俺たちは変わらなかった」

リーナが続けた。

「目立たず、自由に、自分たちのペースで」

「それが俺たちの誇りだ」

俺は夕日を見つめた。

レベル280の最強パーティ。

世界を二度救った英雄。

だが、誰も知らない。

それでいい。

「明日も、いつも通りだ」

「ああ」

全員が頷いた。

俺たちの物語は、静かに続いていく。

影の中で、自由に、最強として。


ある朝、精霊が拠点を訪れた。

「久しぶりだな、人間たちよ」

「どうした? また何か問題か?」

「いや、礼を言いに来た」

精霊は微笑んだ。

「貴様らのおかげで、この世界の魔力バランスが安定した。森も海も、全てが調和を取り戻している」

「それは良かった」

「そして、貴様らの生き方に感銘を受けた精霊たちが増えている。力を誇示せず、陰で世界を支える...素晴らしい」

精霊は小さな光の玉を残して消えた。

「精霊の祝福だ。これからも貴様らを見守ろう」

光の玉が五つに分かれ、全員の胸に吸い込まれた。

【新スキル獲得:永遠の加護】

【寿命延長、不老、自然との完全調和】

「不老...つまり、俺たちはずっとこのまま?」

リーナが驚いた。

「まあ、悪くないな。これからも長く、この生き方を続けられる」

俺は笑った。

その日の午後、俺たちは森で訓練をしていた。

「レベル280でも、鍛錬は欠かせない」

突然、空間が歪んだ。

新しい転移門が開き、見知らぬ世界が見えた。

「これは...別世界への扉?」

エドワードが驚いた。

精霊の声が聞こえた。

「貴様らに新たな選択を。この世界にとどまるも良し、別世界を旅するも良し」

俺は仲間を見た。

「どうする?」

全員が笑った。

「決まってるだろ。旅に出る」

「ただし、目立たず、自由に」

「それが俺たちだ」

俺たちは新しい世界へと足を踏み入れた。

新たな冒険が始まる。

だが、俺たちの信念は変わらない。

影の守護者として、永遠に。


転移門をくぐると、そこは見たことのない世界だった。

「魔力の質が違う...」

エドワードが周囲を探った。

「この世界独自の魔法体系があるようだ」

俺たちは森の中に降り立った。遠くに巨大な都市が見える。

「まずは情報収集だ。変装して街に潜入する」

街に入ると、驚いた。

「機械と魔法が融合している...」

空飛ぶ乗り物、魔法で動く機械、魔導具を身につけた人々。

「科学と魔法の世界か。面白い」

酒場で情報を集めた。

「この世界にも脅威があるらしい。『魔械帝国』という組織が、世界征服を企んでいるとか」

「また世界を救うのか?」

セラが苦笑した。

「いや、今回は様子見だ。すぐに動く必要はない」

俺たちは街の外れに小さな家を借りた。

「ここを拠点に、この世界のことを学ぶ。急ぐ必要はない」

数週間後、俺たちはこの世界のシステムを理解していた。

「魔法と科学の融合...新しい可能性がある」

リーナが目を輝かせた。

「この世界の技術を学べば、俺たちももっと強くなれる」

「だが、目立つな。この世界でも、俺たちは影だ」

全員が頷いた。

新しい世界でも、俺たちのスタイルは変わらない。

目立たず、自由に、影から世界を見守る。

それが、俺たち「影の守護者」の誇りだ。

物語は、まだ続く。


数ヶ月が経ち、俺たちはこの世界に馴染んでいた。

「魔導工学を学んだ。機械に魔法を組み込む技術だ」

エドワードが新しい魔導具を見せた。

「これで魔力消費をさらに抑えられる」

グランも新技術を習得していた。

「この世界の合金技術は素晴らしい。魔法金属と科学金属の融合だ」

俺たちは相変わらず、困っている人を影から助けていた。

魔械帝国に襲われた村を、誰にも気づかれず救出。

病気が蔓延する地域に、治癒の水を配布。

孤児たちに、匿名で寄付。

「この世界でも、『影の守護者』の噂が広がってるぞ」

バルドが報告した。

「前の世界から来た伝説が、この世界にも伝わったらしい」

「まあ、正体がバレなければいい」

ある日、魔械帝国の本拠地を偵察した。

「皇帝のレベルは...240か。俺たちより弱い」

「いつでも倒せるな」

「だが、急ぐ必要はない。この世界の人々が自力で立ち上がるのを待つ」

俺たちは見守る立場を選んだ。

必要な時だけ、影から手を貸す。

それが俺たちのやり方だ。

夜、拠点で全員が集まった。

「この世界も面白いな。だが、いつか次の世界にも行くか?」

「ああ。無限の世界を旅する、影の守護者として」

俺たちの冒険は、永遠に続く。

目立たず、自由に、最強として。

それが、俺たちルークのパーティの生き方だ。


「待て、まだ終わらせるな」

セラが立ち上がった。

「この世界、まだ面白くなりそうだ」

その時、拠点の扉が激しく叩かれた。

「誰だ?」

扉を開けると、血まみれの少年が倒れ込んできた。

「助けて...村が...魔械帝国に...」

少年は気を失った。

「バルド、治療を。リーナ、記憶を読め」

リーナがサイコメトリーで少年の記憶を読み取った。

「村が襲われている。住民が全員、実験体として連れ去られようとしている」

「実験体?」

「魔械帝国は人間を改造して、魔導兵器にしているらしい」

全員が立ち上がった。

「見過ごせないな」

俺は剣を取った。

「行くぞ。ただし、いつも通りだ。誰にも気づかれず、全員救出する」

「了解」

村に到着すると、既に魔械兵士たちが住民を捕らえていた。

「五十人の兵士。レベルは100から150」

「楽勝だ」

俺たちは影から動いた。

「サイレンス」

音を消し、一人ずつ兵士を無力化していく。

住民たちは何が起きているのか分からない。

気づけば、全ての兵士が倒れていた。

「誰が...?」

「影の守護者だ...伝説は本当だったのか」

俺たちは既に姿を消していた。

「次は魔械帝国の幹部を狩る」

新たな戦いが、始まった。


翌日、俺たちは魔械帝国の幹部について調査した。

「四天王がいる。それぞれレベル180から220」

バルドが情報を整理した。

「一番手は『鋼鉄の将軍ガルバ』。レベル185。東の工場都市を支配している」

「よし、そいつから潰す」

夜、工場都市に潜入した。

巨大な工場から、人々の悲鳴が聞こえる。

「クレヤボヤンス」

透視魔法で内部を見ると、人間が機械に改造されていた。

「...許せん」

俺は怒りを抑えて冷静に行動した。

「全員救出してから、ガルバを倒す」

セラとリーナが捕虜を解放し、テレポーテーションで外に転送する。

俺とエドワードはガルバの部屋に侵入した。

「誰だ!?」

ガルバが振り返る。全身が鋼鉄の鎧に覆われた巨漢。

「お前の悪行、終わらせる」

「ほざけ!」

ガルバが巨大な槌を振り下ろす。

「グラビティ」

俺は重力で槌を止めた。

「テレキネシス」

エドワードがガルバの関節をひねる。

「ぐぁっ!」

「パイロキネシス」

鎧の内部から発火させる。

「ギャアアァ!」

わずか三十秒。ガルバは倒れた。

「一人目、終了」

工場は爆破し、証拠を消した。

翌朝、「鋼鉄の将軍が何者かに暗殺された」という噂が広がった。

「次の幹部を狙う」

俺たちの暗殺作戦は、続く。


一週間で、さらに二人の幹部を暗殺した。

「雷の魔導師エレクトラ」レベル200。研究所で単独行動中を奇襲。

「氷結の騎士フロスティア」レベル210。夜の巡回中、影から瞬殺。

どちらも完璧な暗殺。痕跡なし。

「残るは最強の幹部、『破壊王デストロイ』だけだ」

バルドが報告した。

「レベル220。皇帝の右腕で、最も警戒されている」

「そして、皇帝も動き出した。首都に全戦力を集結させている」

「警戒されたか」

セラが地図を見つめた。

「どうする? 正面から行くか?」

「いや。奴らが集まったなら、一気に片付ける」

俺は作戦を練った。

「首都に潜入し、皇帝と破壊王を同時に倒す。一晩で魔械帝国を壊滅させる」

「大胆だな」

エドワードが笑った。

「だが、俺たちならできる」

三日後、満月の夜。

俺たちは首都の地下水路から侵入した。

「クレヤボヤンス」

透視魔法で城内を探る。

「皇帝は玉座の間。破壊王はその隣。兵士が五百人」

「兵士は無視する。二人だけ倒せばいい」

「サイレンス、レビテーション」

音を消し、空中を移動する。

玉座の間に到達した。

扉の向こうに、皇帝と破壊王がいる。

「準備はいいか?」

全員が頷いた。

「行くぞ」

扉を蹴破り、突入した。

最終決戦が、今始まる。


扉が開いた瞬間、破壊王が反応した。

「侵入者!」

だが、俺たちの方が速かった。

「クロノ・フリーズ!」

リーナが時間停止を発動。二人の動きが止まる。

「ディメンション・カッター!」

エドワードが空間切断を放つ。破壊王の両腕が切断された。

「ぐぁぁぁ!」

時間が動き出し、破壊王が叫ぶ。

「グラビティ! テレキネシス!」

俺は皇帝を地面に押さえつけ、体をひねる。

「何者だ、貴様ら!」

皇帝が魔導砲を発射するが、セラが音速で接近し、心臓を貫いた。

「がはっ...」

皇帝が倒れる。

破壊王が再生魔法で腕を復活させようとした。

「させるか! ピュリファイ!」

浄化魔法で再生を阻止する。

「全員、同時攻撃!」

四人が最大火力を放った。

精霊魔法、超能力魔法、禁術。全てが破壊王に集中する。

「ギャアアアァァ!」

破壊王が消滅した。

わずか一分。

玉座の間は静まり返った。

「終わった...」

外では兵士たちが騒いでいる。

「皇帝が倒された!?」

「誰がやった!?」

だが、俺たちは既に地下水路を通って脱出していた。

翌朝、「魔械帝国が一夜にして崩壊した」というニュースが世界を駆け巡った。

犯人は不明。

ただ、「影の守護者が現れた」という噂だけが残った。

「完璧だ」

俺たちは拠点で朝食を食べていた。

「また一つ、世界を救ったな」


数日後、解放された人々が「影の守護者」を探し始めた。

「お礼を言いたい」

「顔を見たい」

「報酬を渡したい」

だが、俺たちは完全に姿を隠していた。

「面倒なことになったな」

セラが溜息をついた。

「そろそろ、この世界も潮時か」

俺は仲間を見た。

「次の世界に行くか?」

「いや、もう少しここにいよう」

リーナが言った。

「この世界の魔導工学、まだ学び足りない」

「グランもそうだ。もっと技術を習得したい」

「なら、もう少し滞在する。ただし、完全に隠れる」

俺たちは拠点を放棄し、さらに人里離れた場所に移動した。

山の頂上、雲の上。

「ここなら誰も来ない」

新しい拠点を作り、研究と訓練を続けた。

三ヶ月後、この世界に新たな脅威が現れた。

「次元の裂け目から、異世界の魔物が侵入している」

バルドが情報を持ってきた。

「レベルは250から300。この世界の人々では太刀打ちできない」

「...また仕事か」

俺は立ち上がった。

「行くぞ。いつも通り、影から」

「ああ」

全員が武器を取った。

裂け目の場所に到達すると、巨大な魔物が暴れていた。

【次元獣ヴォイドロア:レベル285】

「俺たちより少し上か。だが、問題ない」

「全員、全力だ!」

戦闘が始まった。

俺たちの戦いは、まだ終わらない。


次元獣ヴォイドロアが触手を振り回した。

「散開!」

触手が地面を砕く。一撃で山が削れた。

「レベル差は小さいが、パワーが凄まじい...!」

「時間停止! クロノ・フリーズ!」

リーナが魔法を発動するが、次元獣には効かなかった。

「時間魔法が無効化された!?」

「次元を超える存在だから、この世界の法則に縛られないのか」

「ならば、物理で押し切る!」

俺は全超能力を同時発動した。

「サイコキネシス! テレキネシス! グラビティ!」

次元獣の体が浮き、ひねられ、重力で叩きつけられる。

「ギィィィ!」

「セブン・エレメンタル・カオス!」

エドワードとリーナが七属性精霊魔法を放つ。

炎、氷、雷、風、土、光、闇が渦巻き、次元獣を包み込む。

「セラ!」

「了解!」

セラが光速で急所を連続攻撃。だが、次元獣の皮膚は異常に硬い。

「効いていない...!」

「ならば、内部から攻撃する! テレキネシス!」

俺は次元獣の内臓をひねった。

「ギャアアァ!」

次元獣が苦痛の咆哮を上げた。

「効いた! 続けるぞ!」

四人が全魔力を一点に集中させた。

「オメガ・デストラクション!」

究極の一撃が次元獣の核を貫いた。

次元獣が崩れ落ち、光となって消えた。

「...勝った」

【経験値獲得】

【ルーク:レベル280→285】

「レベルが上がった。まだ成長できるんだな」

「だが、次元の裂け目はまだ開いている」

俺は裂け目を見つめた。

「これを閉じなければ、また魔物が来る」

「どうやって?」

「俺たちの魔力で封印する」


「全員の魔力を集める。俺が統合して、裂け目に流し込む」

四人が円陣を組んだ。

「魔力を解放しろ!」

エドワード、リーナ、セラが全魔力を俺に注ぐ。

体が光り輝く。四人分の魔力が体内で渦巻く。

「うぁぁぁ...!」

魔力を裂け目に向けて放出した。

「封印魔法! ディメンション・シール!」

巨大な魔法陣が裂け目を覆う。

裂け目が徐々に縮小していく。

「もっと魔力を!」

精霊王の加護を発動し、無限に湧き出る魔力を注ぎ込む。

十分後、裂け目は完全に閉じた。

「...終わった」

俺は地面に膝をついた。

「流石に疲れた」

だが、その時、封印した場所から小さな光が漏れた。

「何だ...?」

光が形を成し、小さな少女が現れた。

銀色の髪、透明な瞳。人間ではない。

「あなたたちが...封印してくれたの?」

少女が尋ねた。

「ああ。お前は?」

「私は次元の狭間に住む存在。裂け目のせいで迷い込んでしまったの」

少女は深々と頭を下げた。

「助けてくれてありがとう。お礼に、何かできることはある?」

「お礼は要らない」

「でも...」

少女は俺たちを見つめた。

「あなたたち、とても強いのに、誰にも知られていない。不思議」

「それが俺たちのやり方だ」

「素敵...私も手伝いたい」

「手伝う?」

「私、次元を渡る力がある。困っている世界があったら教えられる」

俺は仲間を見た。

「...どうする?」


「情報提供だけなら構わない。だが、仲間には入れない」

俺は即答した。

少女は驚いた顔をした。

「どうして?」

「俺たちは少数精鋭だ。信頼できる仲間だけで動く。お前のことは、まだ知らない」

「そう...残念」

少女は寂しそうな顔をしたが、すぐに笑顔になった。

「でも、情報提供なら喜んで! 私はセレナ。次元の案内人」

「ルークだ。こいつらは仲間」

セレナが手を振ると、空中に複数の映像が浮かび上がった。

「今、困っている世界がいくつかある」

一つ目の映像。機械文明が崩壊した世界。

「ここは暴走AIが支配している。レベル換算で平均250」

二つ目の映像。魔法が暴走している世界。

「魔力が暴走して、大地が崩壊している。魔力制御の専門家が必要」

三つ目の映像。巨大な怪物が闊歩する世界。

「古代種が復活して、人類が絶滅寸前。最強の怪物はレベル320」

「レベル320...俺たちより上か」

「どの世界に行く?」

俺は仲間を見た。

「どうする?」

エドワードが答えた。

「三つ目だ。レベル320なら、いい経験値稼ぎになる」

「賛成」

全員が頷いた。

「よし、三つ目の世界に行く。セレナ、転送を頼む」

「了解! でも、気をつけて。その世界、本当に危険だから」

セレナが手を掲げると、新しい転移門が開いた。

「行ってらっしゃい。必要な時は呼んで」

俺たちは転移門をくぐった。

新たな世界、新たな戦いが待っている。


転移門を抜けると、荒廃した大地が広がっていた。

「すごい破壊の跡...」

建物の残骸、巨大な足跡、焼け焦げた森。

「魔力探知」

エドワードが周囲を探る。

「強大な魔力反応が四つ。全て離れた場所にある」

「古代種が四体か」

遠くで咆哮が響いた。

地平線の向こうに、巨大な影が見える。

「あれが...古代種」

全長百メートルを超える怪物。竜と恐竜を混ぜたような姿。

【古代種ティラノドラゴン:レベル280】

「レベル280...俺と同じか」

「あと三体いるんだな。最強のはレベル320」

セラが尋ねた。

「どこかに人間の生存者はいないか?」

「クレヤボヤンス」

透視魔法で広範囲を探索する。

「...いた。地下シェルターに約千人」

「まずは接触するか」

地下シェルターの入口を見つけ、ノックした。

重い扉がゆっくり開く。

武装した男たちが銃を向けた。

「誰だ!」

「旅の者だ。話がしたい」

男たちは警戒しながらも、俺たちを中に入れた。

シェルターの奥に、指揮官らしき女性がいた。

「外から来た? 信じられない...この世界に、まだ生きている人間がいたなんて」

「この世界の状況を教えてくれ」

女性は重い口を開いた。

「三ヶ月前、古代種が突然復活した。人類の九割が死んだ。残った私たちは、ここに隠れて生き延びている」

「古代種は何体?」

「四体。最強の『破滅王』はレベル320。誰も勝てない」

俺は仲間を見た。

「やるか」

「当然だ」


女性指揮官が驚いた顔をした。

「あなたたち...古代種と戦うつもり?」

「ああ。それが俺たちの仕事だ」

「無謀だ! 軍隊も、最強の冒険者たちも、全員やられた!」

「俺たちは違う」

俺は剣を抜き、魔力を解放した。

部屋全体が震える。

「この魔力...!」

女性が息を呑んだ。

「あなたたち、一体...」

「影の守護者だ。困った世界を助ける」

「影の守護者...伝説の?」

「信じなくていい。ただ、古代種の詳細情報をくれ」

女性は震える手で資料を取り出した。

「四体の古代種。南にティラノドラゴン、北に氷結巨獣、東に雷帝、西に破滅王」

「破滅王の情報は?」

「レベル320。全ての魔法を無効化し、物理攻撃も通じない。完全無敵と言われている」

「無敵なんていない。必ず弱点がある」

俺は作戦を練った。

「まずは他の三体を倒す。経験値を稼いでレベルを上げてから、破滅王に挑む」

「一番近いのは?」

「南のティラノドラゴン。ここから十キロ」

「よし、行くぞ」

女性が叫んだ。

「待って! せめて武器を...」

「要らない。俺たちには十分な装備がある」

俺たちはシェルターを出た。

「レベル280、三体。全部倒せばレベル300は超えられる」

「そうなれば、破滅王とも互角だ」

地平線に向かって歩き出した。

最初の標的、ティラノドラゴンへ。


ティラノドラゴンは荒野で眠っていた。

「起こさずに奇襲するか?」

「いや、正面から行く。経験値を最大限得るには、全力で戦う必要がある」

俺は剣を地面に叩きつけた。

轟音が響き渡る。

ティラノドラゴンが目を覚ました。

「ガアアアァァァ!」

咆哮が大地を震わせる。

「来るぞ!」

ティラノドラゴンが突進してきた。

「散開! グラビティ!」

俺は重力魔法で動きを鈍らせる。だが、レベルが近いため効果は薄い。

「クロノ・フリーズ!」

リーナの時間停止も、三秒しか持たない。

「三秒で十分だ! ディメンション・カッター!」

エドワードが空間切断を放つ。ティラノドラゴンの右足が切断された。

「ギャアアァ!」

バランスを崩して倒れる。

「セラ!」

「任せて!」

セラが光速で首に突撃。竜殺しの短剣が鱗を貫く。

だが、致命傷には至らない。

「硬い...! さすがレベル280」

ティラノドラゴンが炎のブレスを吐いた。

「テレポーテーション!」

全員が瞬時に移動し、回避する。

「全員、同時攻撃! 最大火力!」

四人が全魔力を込めた。

「オメガ・デストラクション!」

究極の一撃がティラノドラゴンの頭部を貫いた。

巨体が崩れ落ちる。

【経験値大量獲得】

【ルーク:レベル285→290】

「五レベル上がった! 次だ!」


次の標的は北の氷結巨獣だ。

雪山を登ると、氷でできた巨大な獣が待ち構えていた。

【氷結巨獣フロストベヒモス:レベル290】

「レベル290...さっきより強い」

氷結巨獣が咆哮し、吹雪を巻き起こした。

「視界がゼロだ!」

「魔力探知で位置を掴む!」

エドワードが叫ぶ。

「右から来る!」

巨大な氷の爪が襲いかかる。

「グラビティ! テレキネシス!」

俺は重力で動きを止め、体をひねる。

だが、氷結巨獣は氷の体。物理的なひねりが効かない。

「厄介な...! ならば火だ! パイロキネシス!」

全身を炎で包むが、吹雪で消される。

「火が効かない!」

「ならば俺が! サンダーストーム!」

エドワードが雷魔法を放つ。氷に雷が直撃し、氷結巨獣が怯んだ。

「雷が効く! 続けろ!」

リーナとエドワードが同時に雷魔法を連射する。

氷結巨獣の体にひびが入る。

「今だ! セラ、急所を!」

「了解!」

セラが氷のひび割れた部分に短剣を突き立てた。

「ギィィィ!」

氷結巨獣が崩れ落ちる。

「全員、止めだ!」

四人が全魔力を解放した。

氷結巨獣が砕け散った。

【経験値大量獲得】

【ルーク:レベル290→297】

【全員、レベル290超え】

「あと一体で、破滅王と同じレベルになる!」

「次は東の雷帝だ!」

俺たちは休む間もなく、次の戦場へ向かった。


東の平原に到達すると、空が暗雲に覆われていた。

雷鳴が轟き、巨大な竜が雷雲の中から降りてきた。

【雷帝サンダードラゴン:レベル305】

「レベル305...! 今までで最強だ」

雷帝が翼を広げると、無数の雷が地上に落ちた。

「散開!」

大地が焼け焦げる。

「このままじゃ近づけない!」

「ならば俺が引きつける! お前らは魔法で攻撃しろ!」

俺は単独で雷帝に突撃した。

「グラビティ! レビテーション!」

空中を飛び、雷帝の顔面に剣を叩き込む。

「ガァァァ!」

雷帝が俺に集中した。

「今だ!」

リーナとエドワードが複合魔法を放つ。

「フリーズ・サンダー・ファイア・カオス!」

三属性の魔法が雷帝の翼を直撃。翼が破損し、高度が下がる。

「セラ、行け!」

「了解!」

セラが落下してくる雷帝の首に飛びつき、連続攻撃。

「まだだ! 全員、最大火力!」

四人が全魔力を一点に集中させた。

「アルティメット・オメガ!」

これまでで最大の一撃が雷帝の心臓を貫いた。

雷帝が地面に激突し、動かなくなった。

【経験値大量獲得】

【ルーク:レベル297→305】

【エドワード:レベル293→302】

【リーナ:レベル294→303】

【セラ:レベル296→304】

「全員、レベル300超えた!」

俺は西を見据えた。

「次は破滅王だ。レベル320、最後の敵」

仲間たちが頷いた。

「行くぞ。最終決戦だ」


西の荒野に到達すると、異様な静寂が支配していた。

風もなく、音もない。

「魔力探知」

エドワードが探る。

「...前方三キロに、とてつもない魔力反応。レベル320を超えている」

地平線に、黒い影が見えた。

巨大な人型の怪物。全長二百メートル。全身が黒い鎧に覆われている。

【破滅王ディザスター:レベル325】

「レベル325...さらに上がっている!?」

破滅王が俺たちに気づいた。

「久しぶりだ...人間よ」

低く響く声。

「三ヶ月ぶりに、戦う価値のある存在が現れた」

破滅王が一歩踏み出すと、大地が割れた。

「魔法は全て無効化する。物理攻撃も九割防ぐ。さあ、どうする?」

「試してみないと分からない」

俺は剣を構えた。

「全員、バフ料理を今だ!」

全員がバルドの料理を食べる。全ステータスが二倍になった。

【実質レベル320相当の戦闘力】

「これで互角だ!」

「プレコグニション!」

未来視で破滅王の動きを予測する。

だが、映像が見えない。

「未来視が効かない...!」

「グラビティ!」

重力魔法を放つが、破滅王は微動だにしない。

「魔法無効化...本当か」

「ならば物理で! 全員、近接戦闘!」

四人が同時に突撃した。

最終決戦が、今始まる。


四人が破滅王に突撃した。

セラが最速で接近し、鎧の隙間に短剣を突き立てる。

「硬い...!」

刃が弾かれた。

「物理も効きにくいのか!」

破滅王が腕を振るう。セラがかろうじて回避する。

「サイコキネシス! テレキネシス!」

俺は超能力魔法を放つ。

だが、破滅王には効果が薄い。

「魔法の類は全て無効化される...やはり厄介だ」

「ならば、魔法じゃないもので攻撃する!」

リーナが岩を持ち上げ、物理的に投げつけた。

破滅王の顔面に直撃する。

「...効いた?」

「魔法で操作した物体ではなく、純粋な物理攻撃なら通る!」

「なるほど。魔法で動きを補助するが、攻撃そのものは物理で行う」

俺は戦術を変更した。

「レビテーションで機動力を上げ、剣で斬る!」

空中を高速で移動し、破滅王の鎧を斬りつける。

火花が散った。

「少し削れた!」

エドワードとリーナも同じ戦法を取る。

「これは...時間がかかるぞ」

破滅王が笑った。

「面白い。久々に楽しめそうだ」

戦いは長期戦になった。

三時間、五時間、十時間。

「まだ倒せない...」

その時、空が光った。

「何だ?」

新しい転移門が開き、セレナが現れた。

「大変! 別の世界で、もっと強大な脅威が目覚めた!」

「は?」

「レベル400の存在が...このままじゃ、複数の世界が滅ぶ!」

俺は舌打ちした。

「終わらない...戦いは、まだまだ続くのか」


「ちょっと待て!」

俺はセレナに叫んだ。

「今、破滅王と戦ってる最中だ!」

「分かってる! でも、レベル400の存在は、この世界も含めて五つの世界を同時に滅ぼそうとしてる!」

破滅王が動きを止めた。

「...レベル400だと?」

破滅王も興味を示した。

「貴様、その話、本当か?」

セレナが頷いた。

「本当。『虚無の支配者』と呼ばれる存在。次元そのものを食らう」

俺は考えた。

「破滅王、取引だ」

「何?」

「お前も、この世界が滅びるのは嫌だろ。一時休戦して、俺たちと協力しろ」

破滅王が沈黙した。

数秒後、笑い声が響いた。

「面白い。三ヶ月ぶりに現れた強者が、協力を求めるとはな」

「協力するのか?」

「ああ。レベル400の敵...興味がある。だが、それを倒した後、再び貴様らと戦う」

「構わない」

俺は剣を下ろした。

「セレナ、その虚無の支配者とやらの情報をもっと詳しく教えろ」


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