第5章 - 封印と戦い
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第5章 - 封印と戦い
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新しい生活は、順調に進んでいた。
さらに二ヶ月が経った。
俺たちの実力は飛躍的に向上していた。今では森の奥に潜むSSランク級の魔物とも互角に渡り合える。
「今日はフェンリル一体を倒した」
セラが巨大な狼の魔石を見せた。
「フェンリル...神話級の魔物だぞ」
エドワードが驚愕する。
「だが、俺たちなら倒せる。それだけ強くなった」
リーナが新しい魔法を披露した。
「見て。複数のテレポーテーションを同時発動。五人全員を瞬時に別の場所に移動させられる」
「緊急回避に使えるな」
俺も新技を開発していた。
「サイコキネシス、テレキネシス、グラビティ、パイロキネシスを同時発動。四つの超能力を一度に使う」
実演すると、巨岩が浮き上がり、ねじれ、重くなり、燃え上がって敵に叩きつけられた。
「破壊力が桁違いだ...」
全員が呆然としている。
ある日、拠点に不思議な来客があった。
白い毛並みの小さな獣。だが、魔力反応が異常に強い。
「これは...精霊?」
エドワードが驚いた。
小獣が俺の前に座り、じっと見つめてくる。
「何か用か?」
小獣が頷いた。
そして、人間の言葉を話した。
「強者よ...試練を与えよう」
全員が武器を構えた。
「試練?」
「乗り越えれば、真の力を授ける。失敗すれば...死だ」
小獣の目が光った。
新たな挑戦が、突然現れた。
」
小獣は光となって消えた。
「...本当にやるのか?」
エドワードが不安そうに尋ねた。
「ああ。だが、三日間で準備する。装備を整え、作戦を練る。万全の状態で挑む」
俺たちは最後の準備に取り掛かった。
最強の敵との戦いが、迫っていた
三日間、俺たちは死に物狂いで準備した。
グランが総力を挙げて新装備を作った。
「ミスリルと古龍の骨を融合させた最強の武器だ」
俺には魔力増幅効果のある剣。セラには竜殺しの短剣。リーナとエドワードには魔力制御を極限まで高めるローブ。
「これが俺の集大成だ」
バルドも特別な料理を用意した。
「Sランク魔物の肉を七日間煮込んだ。一時間、全ステータスが三割増しになる」
「完璧だ」
俺たちは作戦を何度も確認した。
「古代竜の弱点は不明。だが、竜種なら共通の急所があるはずだ」
セラが地図に印をつける。
「首の付け根、翼の関節、心臓。この三点を集中攻撃する」
「プレコグニションで動きを先読みし、グラビティで動きを封じる。その間に全員で攻撃だ」
三日目の夜、全員のレベルを最終確認した。
【ルーク:レベル92→94】
【エドワード:レベル83→85】
【リーナ:レベル82→84】
【セラ:レベル88→90】
「三日間の特訓で少しは上がった」
満月が昇る。
「時間だ。行くぞ」
俺たちは森の最深部へと向かった。
木々が途切れた先に、巨大な石造りの祭壇があった。
その中央に、黒い鱗に覆われた巨大な竜が眠っていた。
全長五十メートル。翼を広げれば百メートルを超える。
小獣が現れた。
「よく来た。では、始めよ」
小獣が祭壇に触れると、古代竜の目が開いた。
金色の瞳が、俺たちを見据えた。
「...久しぶりだ、人間よ」
低く響く声。
古代竜が立ち上がった。
「来い。貴様らの力、見せてみろ」
古代竜が翼を広げた瞬間、暴風が吹き荒れた。
「散開!」
俺たちは四方に跳ぶ。
古代竜が口を開き、黒い炎を吐いた。
「プレコグニション!」
未来視で軌道を読み、回避する。炎が地面を焼き尽くし、溶岩に変わった。
「レベル差が大きすぎる...!」
エドワードが叫んだ。
「諦めるな! グラビティ!」
俺は全魔力を込めて重力魔法を放つ。
古代竜の動きが一瞬鈍った。
「効いた! 今だ!」
「フリーズ・ランス、連続発動!」
リーナが氷の槍を十本、翼の関節に叩き込む。
「ファイア・サンダーストーム!」
エドワードの複合魔法が古代竜の顔面を直撃した。
「セラ!」
「了解!」
セラが疾走し、首の付け根を狙う。竜殺しの短剣が鱗の隙間に突き刺さった。
「ガァァァ!」
古代竜が咆哮し、尻尾を薙ぎ払う。
「レビテーション!」
全員が空中に飛び、攻撃を回避する。
「まだだ! サイコキネシス! サイズ拡大!」
俺は巨大な岩を浮かせ、巨大化させて古代竜の頭部に叩きつけた。
ゴォン! という轟音。
古代竜が怯んだ。
「テレキネシス!」
セラが翼の関節をひねる。ボキッと音がして、翼が折れた。
「飛行能力を奪った!」
「よし、畳み掛ける!」
四人が同時に最大出力の魔法を放った。
炎、氷、雷、念力。
全てが古代竜の心臓部に集中する。
「ガアアアァァァ...!」
古代竜が悲鳴を上げた。
だが、まだ倒れない。
「まだ生きてる...!?」
レベル差の壁は、想像以上に厚かった。
古代竜が立ち上がり、黒い炎を再び吐いた。
「まずい!」
だが、リーナが叫んだ。
「テレポーテーション、全員移動!」
一瞬で俺たち全員が別の場所に転移した。炎が空を切る。
「今だ! 全員、バフ料理の効果を発動!」
バルドの料理を食べた効果が体を駆け巡る。全ステータスが三割増し。
「力が漲る...!」
「もう一度! 今度は全員で同時多重攻撃だ!」
俺はサイコキネシス、テレキネシス、グラビティ、パイロキネシスを同時発動。
エドワードが三属性複合魔法を放つ。
リーナが氷結領域を展開し、古代竜の動きを封じる。
セラが超速斬撃で首の付け根を連続攻撃。
「全魔力を込める!」
四人の攻撃が完璧に連携し、古代竜の防御を突破した。
「ガァァァ...!」
古代竜の鱗が砕け、血が流れる。
「もう一撃! 最後だ!」
俺は剣に全魔力を込め、古代竜の心臓部に飛び込んだ。
「終わりだ!」
刃が心臓を貫く。
古代竜の巨体が崩れ落ちた。
沈黙。
「...倒した」
全員が地面に倒れ込んだ。魔力は完全に空。体も動かない。
小獣が現れた。
「見事だ。貴様らは試練を乗り越えた」
小獣が光を放つ。
「約束通り、精霊の加護を授けよう」
光が俺たちの体を包んだ。
体の奥から、新しい力が湧き上がってくる。
光が収まると、体が信じられないほど軽くなっていた。
「これは...」
俺は自分のステータスを確認した。
【ルーク:レベル94→100】
【魔力:2450→5200 / 体力:1520→2800 / 筋力:1240→2300 / 敏捷:1310→2400】
【新規スキル:精霊魔法Lv5、精霊との契約、魔力回復速度上昇、ステータス成長補正】
「レベル100...! そして魔力が倍以上に!」
仲間たちも同じだった。
【エドワード:レベル85→92 / 魔力:1480→3300】
【リーナ:レベル84→91 / 魔力:1680→3800】
【セラ:レベル90→97 / 全ステータスが倍増】
「信じられない...私たち、こんなに強くなったの?」
リーナが自分の手を見つめた。
小獣が言った。
「精霊の加護は永続だ。さらに、精霊魔法を使えるようになった」
「精霊魔法?」
「自然の力を操る魔法だ。火、水、風、土、雷、氷。全ての属性を自在に使える」
エドワードが試しに手を伸ばすと、炎、氷、雷が同時に発生した。
「複数属性を同時に...!」
「そして、貴様らは精霊の眷属となった。この森で暮らす限り、精霊たちが協力する」
小獣は満足そうに笑った。
「これで貴様らは、真の意味で最強だ。だが、忘れるな。力には責任が伴う」
「分かっている」
俺は頷いた。
「俺たちは目立たず、自由に生きる。それだけだ」
「ふむ...変わった者たちだ。では、さらばだ」
小獣は消えた。
俺たちは拠点に戻った。
「これで、俺たちは本当の意味で最強になった」
全員が頷いた。
新しい力を手に入れた。だが、生き方は変わらない。
翌朝、俺たちは新しい力を試していた。
「精霊魔法...すごい」
リーナが手を振ると、炎、氷、風、雷が同時に渦巻いた。
「これまでの魔法より消費が少ない。自然の力を借りているからか」
エドワードも驚いていた。
「複数属性を同時に操れる。戦術の幅が広がった」
セラは精霊魔法で武器を強化していた。
「刃に風を纏わせて斬撃速度を上げる。そこに雷を加えて麻痺効果も...」
「組み合わせ次第で無限の可能性があるな」
俺も試してみた。サイコキネシスに精霊魔法を融合させる。
「念力で浮かせた岩に、炎と雷を纏わせて...」
放った岩が爆発的な威力で木を粉砕した。
「破壊力が三倍以上になっている」
一週間後、俺たちは金の使い道を話し合っていた。
「今、金貨五千枚ある」
エドワードが帳簿を見せた。
「もう一生遊んで暮らせる額だ」
「だが、俺たちは戦い続ける。それが生き甲斐だ」
セラが笑った。
「なら、金は何に使う?」
「情報網の拡大だ。各地に協力者を置く。危険な依頼や、巻き込まれそうな案件を事前に察知する」
「それと、孤児院に寄付する」
リーナが提案した。
「孤児院?」
「私たち、わけありで集まった。同じように困っている人を助けたい。ただし、匿名で」
全員が頷いた。
「いいな。目立たず、陰で支援する」
俺たちの新しい生活が、また一つ形になっていく。
数週間後、俺とセラは変装して近くの街を訪れた。
「孤児院はここか」
古びた建物。屋根は雨漏りし、壁は崩れかけている。
中に入ると、痩せた子供たちが寒そうに固まっていた。
「...ひどい状態だな」
老女が出てきた。孤児院の院長らしい。
「何か御用ですか?」
「寄付をしたい」
俺は金貨百枚の入った袋を渡した。
老女が驚愕の表情を浮かべた。
「こ、これは...!」
「建物を直し、子供たちに食事を与えてください。名前は伏せてください」
「あなた方は...」
「ただの通りすがりです」
俺たちは孤児院を後にした。
その後、各地の孤児院や貧しい村に匿名で寄付を続けた。
「今月は金貨三百枚を支援に使った」
バルドが報告する。
「いいペースだ。金は稼げばまた増える」
ある日、精霊が再び現れた。
「人間よ。貴様らの行いを見ていた」
「何か問題でもあるのか?」
「いや。むしろ感心している。力を持ちながら、驕らず、弱者を助ける。稀有な存在だ」
精霊が続けた。
「だから、もう一つ贈り物をしよう」
精霊が指を鳴らすと、拠点に小さな泉が現れた。
「この泉の水は、傷や病を癒す。必要な者に分け与えるがいい」
「ありがとう」
精霊は微笑んで消えた。
「治癒の泉か...これも支援に使えるな」
俺たちの活動は、さらに広がっていく。
治癒の泉の水を小瓶に詰め、各地に配った。
「この水を飲めば、どんな病も治る」
村々で疫病が流行していた地域に、匿名で配布する。
「奇跡の水だ!」
「誰が届けてくれたんだ?」
だが、俺たちの名は決して明かさない。
数ヶ月後、俺たちの噂が奇妙な形で広がっていた。
「黒い服を着た謎の集団が、困っている人を助けているらしい」
「誰も顔を知らない。名前も名乗らない」
「影の救世主...いや、幽霊みたいな存在だ」
酒場でバルドがその話を聞いてきた。
「お前ら、『影の守護者』って呼ばれてるぞ」
「影の守護者?」
リーナが笑った。
「目立ってるじゃないか」
「いや、正体が分からないなら問題ない。むしろ都合がいい」
俺は満足げに頷いた。
「誰も俺たちの顔を知らない。名前も知らない。ただの都市伝説になればいい」
ある日、精霊が拠点を訪れた。
「人間よ、頼みがある」
「何だ?」
「東の国で、邪神の封印が解けかけている。貴様らの力が必要だ」
全員が顔を見合わせた。
「報酬は?」
「精霊王の祝福。全ステータスがさらに上昇する」
「...受ける。ただし、条件がある」
「何だ?」
「俺たちの名は絶対に出すな。全て裏方で動く」
精霊が笑った。
「変わらぬ性分だな。了解した」
新たな依頼が舞い込んだ。
だが、俺たちの方針は変わらない。
目立たず、自由に、最強として。
三日後、俺たちは東の国へ向かった。
テレポーテーションで移動すれば早いが、情報収集のため陸路で行く。
「邪神についての情報を集めろ」
バルドとエドワードが各地の酒場で聞き込みをした。
「千年前に封印された破壊の邪神、ゼルガノス。封印が弱まり、魔物が異常発生しているらしい」
「東の国の王都近くに封印の祭壇がある。そこで何かが起きている」
王都に到着すると、街は混乱していた。
「魔物が押し寄せてくる!」
「騎士団が総動員されている!」
俺たちは目立たぬよう、夜に王都の外壁から侵入した。
「クレヤボヤンス」
透視魔法で街を探る。王城の地下に、強大な邪悪な魔力反応があった。
「あれが邪神か...魔力が桁違いだ」
エドワードが青ざめた。
「レベルはどれくらいだ?」
「...測定不能。少なくとも150は超えている」
全員が息を呑んだ。
「150...俺たちより五十も上か」
「だが、完全に復活する前なら勝機がある」
セラが地図に印をつけた。
「封印の祭壇はここ。明日の真夜中、封印が完全に解ける」
「それまでに倒す」
俺は仲間を見た。
「今まで以上に危険だ。覚悟はいいか?」
全員が頷いた。
「俺たちは最強だ。やってやる」
真夜中、俺たちは王城の地下へと潜入した。
最大の戦いが、始まる。
王城の地下深く、封印の祭壇に到着した。
巨大な石柱に囲まれた広間。中央に血のような赤い魔法陣が描かれている。
その中心に、黒い霧のような何かが蠢いていた。
「まだ完全に実体化していない」
リーナが囁いた。
「今のうちに叩く!」
俺たちが踏み込んだ瞬間、黒い霧が渦巻いた。
「来たか...久しぶりだな、人間よ」
低く響く声。黒い霧が人型を形成し始める。
「封印が解ける前に...貴様らを喰らう」
邪神ゼルガノスの気配が膨れ上がる。
「プレコグニション!」
未来視で敵の動きを読む。だが、映像が歪む。
「未来が見えない...!」
「魔力探知も妨害されている!」
エドワードが叫んだ。
「関係ない! 全員、精霊魔法を全開だ!」
俺は精霊魔法を発動し、炎、氷、雷、風を同時に放つ。
リーナとエドワードも続いた。
三人の魔法が融合し、巨大な魔力の渦となってゼルガノスを襲う。
「ぬぅ...!」
黒い霧が一瞬揺らいだ。
「効いている! セラ、突撃!」
「了解!」
セラが超速で霧の中に飛び込み、実体化しかけた核を狙う。
竜殺しの短剣が、黒い核に突き刺さった。
「ギャアアアアァァァ!」
邪神の絶叫が地下を揺るがした。
「まだだ! グラビティ! テレキネシス! サイコキネシス!」
俺は超能力系魔法を全て同時発動した。
黒い霧が圧縮され、ねじれ、押し潰される。
「今だ、全員! 最大火力!」
四人が全魔力を込めた攻撃を放った。
四人の魔法が一点に収束した。
炎、氷、雷、風、念力。全てが黒い核に集中する。
「ギィィィ...貴様らごときが...!」
邪神が抵抗する。黒い触手が俺たちに襲いかかった。
「レビテーション!」
全員が空中に飛び、回避する。
「まだだ! テレポーテーション!」
リーナが全員を瞬時に核の真上に転移させた。
「上から叩き込む!」
俺は剣に全魔力を込めた。精霊魔法、超能力系魔法、全てを融合させる。
「終わりだ、ゼルガノス!」
剣が黒い核を貫いた。
「ギャアアアアアァァァァ...!」
邪神の絶叫。黒い霧が爆発的に消滅していく。
封印の魔法陣が光り輝き、完全に邪神を封じ込めた。
沈黙。
「...終わった」
全員が地面に降り立った。魔力は空だが、勝利した。
その時、眩い光が現れた。
巨大な精霊が姿を現す。
「見事だ、人間たちよ。邪神を再び封印した」
精霊王だ。
「約束通り、祝福を授けよう」
光が俺たちを包んだ。
体の奥から、新たな力が湧き上がる。
【全ステータス+50%上昇】
【新規スキル:精霊王の加護、不死の体力回復、魔力無限再生】
「これは...!」
リーナが驚愕の声を上げた。
「魔力が自動で回復していく...!」
「この力があれば、どんな敵とも戦える」
精霊王が微笑んだ。
「貴様らは真の英雄だ。だが、その名を隠し続けるのだろう?」
「ああ。それが俺たちのやり方だ」
「変わらぬ者たちよ。では、さらばだ」
精霊王は消えた。
俺たちは静かに王城を後にした。
誰にも気づかれず。
翌朝、王都では大騒ぎになっていた。
「邪神の封印が強化されている!」
「誰がやったんだ!?」
「奇跡だ!」
だが、誰も俺たちのことは知らない。
俺たちは既に王都を離れ、拠点へ向かっていた。
「今回も無事に終わったな」
エドワードが安堵の息を吐いた。
「精霊王の祝福...すごい力だ」
リーナが自分の手を見つめた。
「魔力が自動で回復する。もう消耗を気にする必要がない」
拠点に戻ると、精霊たちが出迎えた。
「お帰りなさい。英雄たちよ」
「英雄じゃない。ただの冒険者だ」
俺は苦笑した。
数日後、各地から感謝の手紙が届いた。
「東の国から、匿名の救世主への感謝状が届いています」
バルドが手紙を見せた。
「匿名か。完璧だな」
セラが笑った。
「俺たちは影のまま。それでいい」
俺は仲間を見渡した。
「これからも同じだ。目立たず、自由に、最強として生きる」
全員が頷いた。
レベルを確認すると、全員が飛躍的に成長していた。
【ルーク:レベル100→105 / 魔力:5200→8000】
【エドワード:レベル92→98 / 魔力:3300→5200】
【リーナ:レベル91→97 / 魔力:3800→6000】
【セラ:レベル97→102】
「全員、レベル100前後だ。もう人間の限界を超えている」
「だが、まだ上がある。もっと強くなれる」
俺たちの冒険は、まだ終わらない。
数ヶ月が経ち、俺たちの生活は安定していた。
毎日の訓練と狩り。精霊魔法の研究。各地への支援活動。
グランは新しい武器の開発に成功した。
「精霊の力を宿した武器だ。使用者の魔力に反応して威力が増す」
リーナとエドワードも新魔法を開発していた。
「超能力系魔法と精霊魔法の完全融合。サイコキネシスで物を動かしながら、五属性を同時に纏わせる」
「破壊力が今までの十倍だ」
ある日、バルドが重大な報告を持ってきた。
「大変だ。王国連合が『影の守護者』を探し始めている」
「何?」
「お前たちの活動が目立ちすぎた。各地で起きた奇跡、邪神の封印、治癒の水の配布...全部繋がったらしい」
「まずいな」
セラが顔をしかめた。
「このままじゃ、正体がバレる」
「いや、顔も名前も知られていない。バレようがない」
エドワードが言った。
「だが、調査が進めば痕跡を辿られるかもしれない」
「なら、しばらく活動を控える。完全に姿を消す」
俺は決断した。
「拠点に籠もり、外部との接触を最小限にする。半年は様子を見よう」
「了解」
全員が頷いた。
「俺たちは幽霊だ。捕まえられるものなら捕まえてみろ」
俺は不敵に笑った。
自由を守るため、俺たちは再び影に潜る。
それが、俺たちの生き方だ。
半年間、俺たちは完全に姿を消した。
拠点に籠もり、ひたすら修行に明け暮れる。
「外部との接触は一切なし。バルドも街には行かない」
「了解。備蓄は十分ある」
精霊魔法と超能力系魔法の融合を、さらに深めていった。
「サイコキネシス、テレキネシス、グラビティ、パイロキネシス、そして五属性の精霊魔法。全てを同時発動する」
俺が実演すると、周囲の空間が歪んだ。
「空間操作...!?」
エドワードが驚愕した。
「魔法の組み合わせ次第で、物理法則すら捻じ曲げられる」
リーナも新技術を開発していた。
「時間を一瞬だけ遅くする魔法。敵の動きを止められる」
「それは反則だ」
セラが笑った。
半年後、バルドが久しぶりに街へ情報収集に出た。
戻ってきたバルドの顔は険しかった。
「王国連合の調査は打ち切られた。『影の守護者』は都市伝説として扱われることになった」
「なら、成功だな」
「だが、問題がある」
バルドが続けた。
「新しい脅威が現れた。大陸の西端に、『魔王』が出現したらしい」
「魔王...?」
「レベル200を超える存在だと。既に三つの国が滅ぼされた」
全員が顔を見合わせた。
「レベル200...俺たちより百近く上か」
「だが、放っておけない」
俺は仲間を見た。
「どうする? 挑むか?」
沈黙の後、全員が頷いた。
「やるしかない」
新たな脅威が、俺たちを待っていた。
「まずは情報を集める」
俺は慎重に判断した。
「レベル差が大きすぎる。いきなり挑むのは自殺行為だ」
バルドが地図を広げた。
「魔王は西端の『暗黒城』を拠点にしている。配下の魔物軍団が各地を侵略している」
「配下のレベルは?」
「150から180。それだけでも各国の軍隊では太刀打ちできない」
セラが考え込んだ。
「まずは配下を倒してレベルを上げる必要がある」
「そうだな。いきなり魔王に挑むのは無謀だ」
エドワードが提案した。
「配下を一体ずつ狩っていけば、経験値も稼げる」
「だが、目立つぞ。魔王の配下を倒せば、注目される」
リーナが懸念を示した。
「仕方ない。この規模の脅威なら、ある程度は目立つ覚悟が必要だ」
俺は決断した。
「ただし、正面から戦わない。夜襲、奇襲、暗殺。影から配下を一体ずつ消していく」
「らしいな」
セラが笑った。
「装備を整える。グラン、最強の武器を頼む」
「任せろ。精霊王の加護と古代竜の素材を使った、究極の武器を作る」
「バルド、体力増強の料理を大量に用意してくれ」
「了解」
「一週間後、西へ向かう。魔王を倒すまで、戻らない」
全員の目に、強い決意が宿った。
最大の戦いが、始まろうとしていた。
一週間、総力を挙げて準備した。
グランが完成させた武器は、まさに傑作だった。
「古代竜の骨と精霊王の祝福を受けた鉱石を融合させた。魔力伝導率は従来の三倍だ」
俺の剣は、触れるだけで魔力が共鳴する。
セラの短剣は、超速の動きに耐える軽さと硬度を両立していた。
リーナとエドワードのローブは、魔力消費を半減させる効果がある。
「これが俺の最高傑作だ」
グランが満足げに笑った。
バルドは特別な料理を用意した。
「SSランク魔物の肉を使った。一日中、全ステータスが五割増しになる」
「完璧だ」
出発前、俺は全員のステータスを最終確認した。
【ルーク:レベル105→108 / 魔力:8000→8500】
【エドワード:レベル98→102 / 魔力:5200→5600】
【リーナ:レベル97→101 / 魔力:6000→6500】
【セラ:レベル102→106】
「半年の修行で少し上がった。だが、まだ足りない」
「配下を倒しながらレベルを上げる」
「装備、食料、回復アイテム、全て準備完了だ」
エドワードが確認した。
「では、行くぞ」
俺たちは拠点を後にし、西へ向かった。
テレポーテーションで距離を詰め、三日で西の国境に到着した。
そこには、既に魔物の群れが押し寄せていた。
「始まったな」
セラが武器を抜いた。
「まずは目の前の敵からだ」
俺たちの戦いが、今始まる。
国境の町は既に半壊していた。
魔物の群れが住民を襲っている。騎士たちが必死に抵抗しているが、押されていた。
「助けるぞ。だが、目立たないように」
俺たちは建物の影から魔物を狙った。
「サイレンス」
音を消し、気配を殺す。
「クレヤボヤンス」
透視魔法で敵の配置を確認。魔物は三十体。レベルは80から100程度。
「俺たちなら楽勝だ」
「サイコキネシス」
俺は念力で石を浮かせ、精霊魔法で炎を纏わせて魔物に叩きつけた。
一体、二体と倒れていく。
リーナとエドワードは建物の屋上から魔法攻撃。
セラは影から影へと移動し、魔物の急所を次々と貫いていく。
十分後、全ての魔物が倒れた。
騎士たちは呆然としていた。
「何が起きた...?」
「魔物が突然倒れ始めた...」
「誰かが助けてくれたのか?」
だが、俺たちの姿は誰も見ていない。
「行くぞ。次だ」
俺たちは町を離れ、魔物の本拠地へ向かった。
その日、五つの町で魔物を全滅させた。
「今日だけでレベルが二つ上がった」
エドワードが報告する。
「この調子なら、一ヶ月でかなり成長できる」
夜、野営地で作戦を練った。
「魔王の配下は七人いる。四天王と呼ばれる幹部が四人、さらに上位の将軍が三人」
「まずは下から潰していく」
俺たちの暗殺作戦が、始まった。
一週間かけて魔王の配下の居場所を調査した。
「最も弱い配下は『炎の将軍バルトス』。レベル152。東の砦を拠点にしている」
バルドが報告した。
「ソートグラフィー」
俺は思考を映像化し、空中に砦の立体地図を表示させた。入口、廊下、バルトスの部屋の位置が一目で分かる。
「これなら作戦が立てやすい」
全員が地図を見ながら、侵入経路を確認する。
「レベル差は四十以上...だが、勝機はある」
俺たちは深夜、砦に潜入した。
「クレヤボヤンス」
透視魔法で内部を探る。バルトスは最上階で眠っていた。
「寝込みを襲う。全員、一斉攻撃だ」
俺たちはテレポーテーションで最上階に転移した。
バルトスが目を覚ます前に、攻撃を開始する。
「グラビティ! テレキネシス!」
俺は重力で動きを封じ、体をひねる。
「フリーズ・エリア!」
リーナが部屋全体を凍らせる。
「サンダーストーム!」
エドワードの雷が凍ったバルトスを直撃。
「超速斬撃!」
セラが一瞬で首を切り落とした。
バルトスは反撃する間もなく倒れた。
「...終わった」
わずか十秒。完璧な暗殺だった。
【経験値大量獲得】
【ルーク:レベル108→112】
【エドワード:レベル102→106】
【リーナ:レベル101→105】
【セラ:レベル106→110】
「一気に四レベル上がった!」
リーナが驚いた。
「高レベルの敵を倒せば、成長も早い」
「次の配下を狙う」
俺たちは砦を後にした。誰にも気づかれず。
念のため、砦の弾薬庫にアスポートで爆弾を転送しておいた。
数時間後、砦が大爆発を起こし、証拠が全て消え去った。
翌朝、「炎の将軍が何者かに暗殺され、砦が爆発した」という噂が広がった。
だが、犯人は不明。
俺たちの影の戦いが、続いていく。
二週間で、さらに二人の配下を暗殺した。
「雷の将軍ゼクト」レベル155。夜の森で単独行動中を奇襲。
戦闘前に、アポートで敵の魔剣を手元に転送。武器を失った将軍は為す術もなく倒れた。
「氷の四天王フロスト」レベル160。城での宴会中、毒と暗殺の組み合わせで始末。
アポートで遠隔から毒薬を彼のグラスに転送。誰にも気づかれずに毒殺できた。
どちらも完璧な暗殺。痕跡は残さなかった。
「これで三人倒した」
全員のレベルも飛躍的に上がっていた。
【ルーク:レベル112→120】
【エドワード:レベル106→114】
【リーナ:レベル105→113】
【セラ:レベル110→118】
「レベル120...もう人間を超えている」
だが、魔王側も警戒し始めていた。
「残りの配下が集結している」
バルドが報告した。
「四天王の残り三人と、上位将軍二人。全員が暗黒城に集まった」
「警戒されたか」
「それだけじゃない。魔王自らが動き始めた」
全員が緊張した。
「まだ早い。俺たちのレベルでは魔王には勝てない」
「どうする?」
「残りの配下を誘き出す。暗黒城から離れた場所で、一人ずつ倒す」
セラが尋ねた。
「誘き出す方法は?」
「魔物の群れを壊滅させる。配下が調査に出てくるはずだ」
翌日、俺たちは魔王軍の前線基地を全滅させた。
派手に、目立つように。
「影の守護者」の名を、わざと噂させた。
三日後、予想通り配下の一人が調査に現れた。
「風の四天王エアリス」レベル168。
「来たな」
俺たちは森の奥で待ち伏せていた。
「仕掛けるぞ」
次の標的に、静かに近づく。
エアリスが森に入った瞬間、俺たちは動いた。
「プレコグニション」
未来視で動きを先読みする。エアリスは風を操り、高速で移動する能力がある。
「リーナ、氷で空間を封鎖しろ」
「フリーズ・ドメイン!」
森全体が凍りつき、風の流れが止まった。
「何...!?」
エアリスが驚愕の表情を浮かべる。
「グラビティ!」
俺は重力をかけ、エアリスを地面に叩きつける。
「ぐっ...!」
「サンダー・ファイアストーム!」
エドワードの複合魔法が直撃する。
だが、エアリスは風の障壁で防いだ。
「流石は四天王...防御も完璧か」
「ならば、内部から攻撃する。テレキネシス!」
俺はエアリスの体内の血流をひねった。
「ガハッ...!」
エアリスが血を吐く。内部攻撃は防げない。
「今だ、セラ!」
「了解!」
セラが超速で接近し、心臓を貫いた。
エアリスが地面に崩れ落ちる。
「...強い。お前たちは...何者だ」
「影の守護者だ」
「...そうか。伝説は本当だったのか」
エアリスは息を引き取った。
【経験値大量獲得】
【ルーク:レベル120→125】
【全員、五レベル上昇】
「レベル125...かなり近づいてきた」
「残りは三人。そして魔王だ」
俺たちは次の標的へと向かった。
影の暗殺者として。
エアリス暗殺から三日後。
「魔王が激怒している」
バルドが情報を持ってきた。
「残りの配下三人に、直接命令を下した。『影の守護者を必ず殺せ』と」
「こちらを本気で狙ってくるか」
セラが武器を研ぎながら言った。
「むしろ好都合だ。向こうから来てくれれば、こちらも楽になる」
俺たちは森の拠点で待ち構えた。
二日後、三人の配下が同時に現れた。
「大地の四天王グランド」レベル172。
「闇の四天王シャドウ」レベル175。
「死の上位将軍ネクロス」レベル178。
「三人同時か...厳しいな」
エドワードが緊張した顔をした。
「だが、やるしかない」
俺は仲間を見た。
「作戦通りに。リーナとエドワードで二人を足止め。俺とセラで一人ずつ確実に倒す」
三人の配下が森に踏み込んできた。
「出て来い、影の守護者!」
グランドが叫ぶ。
「望み通りだ」
俺たちは姿を現した。
「貴様らか...四人だけとは」
シャドウが嘲笑った。
「数が少ない? それは誤算だぞ」
俺は剣を抜いた。
「俺たち一人一人が、お前たちより強い」
「ほざけ!」
ネクロスが死の魔法を放つ。
戦闘が始まった。
最大規模の戦いが、今展開される。
「散開!」
俺の号令で四人が四方に跳んだ。
ネクロスの死の魔法が地面を腐食させる。
「リーナ、エドワード! グランドとシャドウを抑えろ!」
「了解!」
二人が精霊魔法を全開にする。
「フリーズ・サンダーフィールド!」
氷と雷の複合領域が展開され、二人の動きを制限する。
「セラ、ネクロスは俺たちで!」
「分かった!」
俺とセラはネクロスに突撃した。
「死の波動!」
黒い波が襲いかかる。
「グラビティで弾く!」
重力で波を逸らし、接近する。
「テレキネシス!」
セラがネクロスの腕をひねる。骨が砕ける音。
「ぐぁっ!」
「パイロキネシス!」
俺は発火能力でネクロスの体を燃やす。
だが、ネクロスは不死の体。再生が始まる。
「厄介な...!」
「ピュリファイ!」
俺は浄化魔法を放った。アンデッド特効の魔法だ。
「ギャアアア!」
ネクロスの体が光に包まれ、消滅していく。
「止めだ!」
セラの短剣が心臓を貫いた。
ネクロスが崩れ落ちる。
「一人目、撃破!」
だが、リーナとエドワードが苦戦していた。
「二対二でも厳しい...!」
グランドが大地を操り、岩の壁を作り出す。シャドウは影から影へと移動し、攻撃を避け続ける。
「俺たちも合流する!」
四人対二人。
逆転の時だ。
「全員で集中攻撃だ!」
俺たちはグランドに狙いを定めた。
「サイコキネシス! テレキネシス! グラビティ!」
三つの超能力を同時発動。グランドの体が浮き上がり、ひねられ、重力で叩きつけられる。
「ぐおぉぉ!」
「フリーズ・サンダー・ファイアストーム!」
リーナとエドワードが三属性複合魔法を放つ。
氷、雷、炎がグランドを包み込んだ。
「止めだ!」
セラが超速で接近し、首を切り落とした。
グランドが倒れる。
「二人目!」
残るはシャドウだけ。
だが、シャドウは影に潜んで姿を現さない。
「クレヤボヤンス!」
透視魔法で影の中を探る。
「...いない!?」
「後ろだ!」
セラが叫んだ。
シャドウがリーナの背後から現れた。
「遅い」
だが、俺はプレコグニションで予測していた。
「テレポーテーション!」
リーナを瞬時に移動させる。
「何!?」
シャドウが驚愕する。
「今だ! 全員、全力攻撃!」
四人が同時に最大出力の魔法を放った。
炎、氷、雷、風、念力。全てがシャドウに集中する。
「ギャアアアァァ!」
シャドウが光に包まれ、消滅した。
沈黙。
「...勝った」
全員が地面に膝をついた。魔力は空、体力も限界だ。
だが、勝利した。
【経験値大量獲得】
【ルーク:レベル125→135】
【エドワード:レベル114→124】
【リーナ:レベル113→123】
【セラ:レベル118→128】
「一気に十レベル...!」
「これで配下は全滅だ」
俺は立ち上がった。
「次は魔王だ」
配下全滅の報告が魔王に届いた瞬間、大地が揺れた。
「何だ...!?」
遠くの暗黒城から、禍々しい魔力が溢れ出していた。
「魔王が本気で怒っている」
エドワードが魔力探知で感じ取った。
「こちらに向かってくるぞ!」
「まずい...まだ準備が整っていない」
俺たちは急いで拠点に戻った。
「グラン、最終装備の完成は?」
「あと三日だ!」
「バルド、最強のバフ料理は?」
「今作っている!」
三日後、魔王が姿を現すまでに準備を終えなければならない。
「全員、最後の特訓だ」
三日間、眠らずに修行した。
精霊魔法と超能力系魔法の完全融合。全ての力を一点に集中させる技術。
リーナは時間減速魔法を完成させた。
「五秒間、敵の時間を遅くできる」
エドワードは七属性同時発動を習得した。
「炎、氷、雷、風、土、光、闇。全てを同時に操る」
セラは超速を極限まで高めた。
「音速を超えた。もう誰も俺の動きを追えない」
俺は全ての魔法を統合した。
「サイコキネシス、テレキネシス、グラビティ、パイロキネシス、精霊魔法、基本魔法。全てを同時に発動する」
三日目の夜、暗黒城から巨大な影が現れた。
全長百メートルを超える黒い竜。
魔王だ。
「ついに来たか」
俺は剣を構えた。
「全員、準備はいいか?」
「ああ」
最終決戦が、始まる。
魔王が咆哮した。
「我が配下を殺した者たちよ...貴様らが影の守護者か」
声が大地を震わせる。
「レベルを確認する」
【魔王ゼノヴァ:レベル205】
「205...差は七十もある」
「だが、やるしかない」
俺は全員に指示を出した。
「作戦通りだ。リーナ、時間減速を発動。エドワード、全属性攻撃で注意を引け。セラと俺で急所を狙う」
「了解!」
魔王が黒い炎を吐いた。
「散開!」
四人が四方に跳ぶ。炎が地面を溶かした。
「アース・ウォール!」
俺は土壁を複数生成し、魔王の次の攻撃を防ぐ。
「時間減速!」
リーナが魔法を発動する。魔王の動きが一瞬遅くなった。
「今だ! セブン・エレメンタルストーム!」
エドワードが七属性の魔法を同時に放つ。
炎、氷、雷、風、土、光、闇。全てが魔王を襲う。
「ぬぅ...!」
魔王が怯んだ。
「グラビティ! テレキネシス! サイコキネシス!」
俺は超能力系魔法を全開にする。魔王の翼を重くし、体をひねり、地面に叩きつける。
「セラ!」
「了解!」
セラが音速を超える速度で魔王の首に突撃した。
短剣が鱗に突き刺さる。
「ガァァァ!」
魔王が苦痛の叫びを上げた。
「効いている! このまま畳み掛ける!」
だが、魔王は立ち上がり、尻尾を薙ぎ払った。
「まずい!」
巨大な尻尾が俺たちに迫る。
「テレポーテーション!」
全員が瞬時に移動し、回避した。
「レベル差は大きい...だが、諦めない!」
戦いは続く。
魔王との戦いは三時間に及んだ。
俺たちの魔力は精霊王の加護で自動回復するが、体力は限界に近い。
「このままじゃ...持久戦で負ける」
エドワードが息を切らした。
「ならば、全魔力を一点に集中させる。最後の一撃だ」
俺は決断した。
「全員の魔法を俺に集めろ。俺が全てを統合して魔王に叩き込む」
「危険すぎる! 魔力が暴走する」
「構わない。勝つためだ」
リーナ、エドワード、セラが魔力を俺に注ぎ込む。
体が焼けるように熱い。魔力が溢れ出す。
「うぁぁぁ...!」
四人分の魔力が俺の中で渦巻く。
「サイコキネシス、テレキネシス、グラビティ、パイロキネシス、七属性精霊魔法、全ての超能力系魔法...全てを融合する!」
俺は剣に全ての力を込めた。
刀身が虹色に輝く。
「これが...俺たちの全力だ!」
魔王に向かって突撃する。
「オメガ・ブレイカー!」
全ての魔法が一点に集中した一撃。
剣が魔王の心臓を貫いた。
「ガァァァァァアアアアアアア!」
魔王の絶叫が世界を揺るがした。
巨体が崩れ落ちる。
魔王の体が光に包まれ、消滅していく。
「終わった...」
俺は膝をついた。
全身が動かない。魔力も体力も完全に空だ。
だが、勝った。
【経験値大量獲得】
【ルーク:レベル135→150】
【全員、十五レベル上昇】
「レベル150...人類史上、誰も到達したことのない領域だ」
空が明るくなっていく。魔王の死により、世界に光が戻った。
魔王が消滅した瞬間、世界中で歓声が上がった。
暗黒が晴れ、太陽の光が大地を照らす。
「魔王が倒された!」
「誰が倒したんだ!?」
だが、俺たちは既に現場を離れていた。
テレポーテーションで拠点に戻り、体力を回復させる。
「疲れた...」
リーナが倒れ込んだ。
「三日三晩寝る」
エドワードも限界だった。
三日後、バルドが街から戻ってきた。
「大変なことになってるぞ」
「何が?」
「世界中が『影の守護者』を探している。魔王を倒した英雄として、国王たちが謁見を求めている」
「断る」
俺は即答した。
「表に出るつもりはない」
「だろうな」
バルドは笑った。
「じゃあ、このまま伝説になるわけか。『影の守護者』という名の都市伝説に」
「それでいい」
一週間後、俺たちは拠点を完全に移転した。
もっと遠く、誰も来ない場所へ。
新しい拠点で、俺たちは平和な日常を取り戻した。
朝は訓練、昼は狩り、夜は研究。
時々、困っている人を陰で助ける。
名前は名乗らず、顔も見せず。
「これが俺たちの生き方だ」
俺は仲間を見渡した。
「レベル150。世界最強。だが、誰も知らない」
「最高だな」
セラが笑った。
「目立たず、自由に、最強として」
そう、それが俺たちの理想だ。
世界を救った英雄として歴史に名を残すのではなく、誰も知らない影の守護者として生きる。
それが、俺たちの選んだ道だ。
数ヶ月が経ち、世界は平和を取り戻していた。
「影の守護者」の伝説は語り継がれているが、正体を知る者は誰もいない。
俺たちは新拠点で静かに暮らしていた。
「今日はどうする?」
朝食の席で、リーナが尋ねた。
「午前は訓練。午後は近くの村に治癒の水を配りに行く」
「相変わらず、地味な支援活動だな」
セラが笑った。
「それがいい」
グランは新しい装備の開発を続けていた。
「レベル150用の武器を作っている。これまで以上の性能だ」
バルドの料理も進化し続けている。
「新しいレシピを開発した。魔力回復速度が三倍になる」
エドワードとリーナは研究棟で新魔法を開発していた。
「空間魔法と時間魔法の融合。理論上は可能なはずだ」
俺は拠点の周囲を見回りながら考えていた。
「俺たちは何のために強くなったのか?」
答えは明確だ。
自由に生きるため。誰にも縛られず、自分の意思で動くため。
そして、困っている人を、影から助けるため。
「ルーク、出発の準備ができたぞ」
セラが声をかけた。
「ああ、行くか」
俺たちは村へ向かった。
今日も、誰にも知られず。
今日も、自由に。
これが、俺たちの生き方だ。
村に到着すると、子供たちが遊んでいた。
「おじさんたち、また来てくれたの?」
一人の少女が笑顔で駆け寄ってきた。
俺たちは月に一度、この村に治癒の水を届けている。変装しているが、子供たちには顔を覚えられていた。
「ああ。今日も水を持ってきた」
小瓶を村長に渡す。
「いつも助かります。この水のおかげで、病人が一人もいなくなりました」
「礼には及ばない」
村を出ようとした時、少女が尋ねた。
「おじさんたち、本当は影の守護者なんでしょ?」
全員が固まった。
「...なぜそう思う?」
「だって、魔王が倒れた時、おじさんたちもいなくなってたもん。それに、すごく強そうだし」
子供の直感は鋭い。
「もし本当にそうなら...」
少女は深々と頭を下げた。
「世界を救ってくれて、ありがとうございます」
俺は少女の頭に手を置いた。
「いいか、このことは誰にも言うな」
「どうして? みんなに知ってもらえばいいのに」
「俺たちは目立ちたくない。ただ、困っている人を助けたいだけだ」
少女は不思議そうな顔をしたが、頷いた。
「分かった。秘密にする」
村を後にしながら、セラが笑った。
「子供にバレるとはな」
「まあ、あの子なら大丈夫だろう」
俺たちは拠点へ戻った。
今日も、誰にも知られずに。
今日も、自由に生きる。
それが、俺たちの誇りだ。
拠点に戻ると、見慣れない来客が待っていた。
老人が一人、入口に座っていた。
「誰だ?」
老人は顔を上げた。白い髭、深いしわ。だが、その目には強い光が宿っている。
「待っていたぞ、影の守護者たちよ」
全員が警戒した。
「何者だ? どうやってここを見つけた?」
「私は放浪の賢者。世界を旅し、真実を探求する者だ」
老人は立ち上がった。
「貴様らの活動を長く観察してきた。孤児院への寄付、治癒の水の配布、魔王討伐...全て、貴様らの仕業だと気づいた」
「それで? 俺たちを晒すつもりか?」
「いや、逆だ」
老人は微笑んだ。
「貴様らの生き方に感銘を受けた。力を持ちながら驕らず、名声を求めず、ただ正しいことをする。素晴らしい」
「何が言いたい?」
「協力したい。私も同じ志を持つ者だ。影から世界を支える仲間に加えてほしい」
俺は仲間を見た。全員が首を横に振っている。
「断る。俺たちは少数精鋭だ。それに、お前を信用できない」
老人は予想していたように頷いた。
「では、せめて情報だけでも提供させてくれ。世界には、まだ貴様らが知らぬ脅威が眠っている」
「脅威?」
「魔王は一人ではない。別の大陸に、さらに強大な存在が目覚めようとしている」
全員が顔を見合わせた。




