第2章 - 仲間との出会い
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第2章 - 仲間との出会い
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「また来たの? 今日はオーク何匹?」
「オークじゃない」
俺はギルドの中庭に出て、アイテムボックスを開いた。
ドサリと、トロールの死体が地面に転がる。
「トロールだ」
受付嬢の顔が凍りついた。周囲にいた冒険者たちも驚愕の表情でこちらを見ている。
「と、トロール...!? あんた一人で倒したの!?」
「ああ。買取価格を教えてくれ。魔石、皮、骨、牙、全部だ」
受付嬢は慌てて鑑定を始めた。その手が震えている。
「ま、魔石が銀貨八十枚...皮が銀貨五十枚...骨が銀貨三十枚...牙が銀貨二十枚...合計で銀貨百八十枚になります」
「よし、買い取ってくれ」
銀貨百八十枚。昨日のオーク五体分の九倍だ。
受付嬢が俺を見る目が変わった。もう馬鹿にした態度はない。
「あの...失礼な態度を取ってしまい、申し訳ございませんでした」
「気にするな」
俺は銀貨を受け取り、ギルドを後にした。
銀貨百八十枚を手に、俺は酒場で一人考えていた。
「一人じゃ限界がある」
確かに今の俺は強い。だが、魔物を倒すだけでは稼ぎに限界がある。それに、超能力系の魔法は消費が激しい。長期戦には向かない。
必要なのは仲間だ。
ただし、普通の冒険者じゃない。わけありでもいい。むしろ、何か事情を抱えている方が信頼できる。裏切りのリスクが少ない。
「まずは魔法使いだな」
魔法の知識を持つ者がいれば、俺の超能力系魔法をさらに発展させられる。
酒場の隅で一人飲んでいる男に目をつけた。三十代くらいか。ローブを着ているが、擦り切れて汚れている。魔法使いの風貌だが、落ちぶれている。
「あんた、魔法使いか?」
男は顔を上げた。疲れた目をしている。
「...元、だ。今はただの酔っ払いさ」
「理由は聞かない。俺と組まないか? 魔法の知識が必要なんだ」
男は驚いた顔をした。
「俺みたいな落ちこぼれを?」
「わけありで構わない。給料は銀貨五十枚。前払いだ」
男の目に光が戻った。
「...本気か?」
「ああ」
「分かった。俺はエドワード。よろしく頼む」
次は生産職。装備や道具を作れる職人が欲しい。
街の外れに小さな鍛冶場があった。ドワーフの鍛冶師が一人、トンカチを振るっている。
「仕事を頼みたい」
ドワーフは作業を止めて振り返った。立派な髭を生やした老人だ。
「客か。だが、うちはもう閉店間近でな」
「閉店? 腕が悪いのか?」
「腕は悪くねぇ! だが、材料が手に入らねぇんだ。商人ギルドに嫌われててな...」
「理由は聞かない。俺が材料を提供する。代わりに専属で働いてくれ」
ドワーフは目を丸くした。
「本気か、若造?」
「給料は銀貨六十枚。前払いだ」
「...グラン・アイアンハンマーだ。よろしく頼むぜ」
最後は販売職。倒した魔物を適正価格で捌いてくれる店が欲しい。
街の肉屋に入った。店主は太った中年男だ。
「魔物の肉を卸したい。継続的にだ」
「魔物の肉か...ギルドに卸した方が楽だろ?」
「あそこは買い叩く。お前の店で適正価格で買い取り、料理して売ってくれ。利益は折半だ」
店主は考え込んだ。
「...実は、店が傾いててな。新しい仕入れルートが欲しかったんだ」
「なら決まりだ。俺はルーク。よろしく」
「こちらこそ。俺はバルドだ」
三人の仲間ができた。わけありばかりだが、それがいい。
俺たちは、ここから成り上がる。
翌日、俺はエドワードと街を歩いていた。
「もう少し仲間が欲しい。魔法使いで、女性で、何か事情を抱えている者を知らないか?」
エドワードは顎に手を当てた。
「...リーナという女がいる。十八歳。才能はあるが、貴族の娘で家を飛び出してきた。魔法学院を中退している」
「どこにいる?」
「スラム街の安宿だ。金がなくて困っているはずだ」
俺たちはスラム街へ向かった。薄汚れた宿の一室に、黒髪の少女がいた。痩せているが、目は鋭い。
「あんたが魔法使いのリーナか?」
「...そうだけど、何の用?」
「俺のパーティに入らないか。給料は銀貨四十枚だ」
リーナは目を見開いた。
「本気? 私、家を捨てた身だから、まともな仕事なんて...」
「過去は問わない。魔法が使えればいい」
「...分かった。よろしくお願いします」
次は解体屋だ。バルドの肉屋で聞いた。
「解体が得意な女性を知らないか? 元冒険者がいい」
「ああ、セラという女がいる。二十六歳。元Bランク冒険者だったが、仲間を失って引退した。今は日雇いで解体の仕事をしている」
俺は港近くの作業場でセラを見つけた。赤毛の女性で、筋肉質な体つき。魚を手際よく捌いている。
「セラ、だな?」
「...あんたは?」
「冒険者のルークだ。解体の専門家が欲しい。魔物の解体ができるか?」
セラは手を止めた。
「...魔物? できるけど、私は冒険者を辞めたの」
「戦わなくていい。解体だけしてくれ。給料は銀貨五十枚」
セラは迷った後、頷いた。
「...分かった。やってみる」
仲間が五人になった。
これで、チームとして動ける。
俺は仲間全員を森の空き地に集めた。
「まずは実力を確認させてくれ。エドワード、魔法を見せろ」
エドワードは杖を構えた。
「ファイアボール」
手のひらサイズの火球が飛び、木の幹に着弾した。爆発し、木が焦げる。
「威力は十分だ。次、リーナ」
リーナは両手を広げた。
「フリーズ・ランス」
氷の槍が三本、空中に生成され、標的の岩に突き刺さった。
「複数同時発動...才能があるな」
次はセラだ。
「お前は戦闘もできると聞いた」
「...錆びついてるけど」
セラは腰の短剣を抜き、木の枝を投げさせた。瞬時に反応し、空中で斬り落とす。
「動きが速い。Bランクは伊達じゃないな」
グランには武器を見せてもらった。
「これは試作の剣だ」
手渡された剣は、軽いのに硬い。刃の切れ味も抜群だ。
「素晴らしい。お前の腕は本物だ」
バルドには解体の技術を見せてもらった。
「こいつをどう料理する?」
俺が倒した小型魔物を見せると、バルドは手際よく捌き始めた。無駄のない動き。食える部分と食えない部分を瞬時に見分ける。
「完璧だ。お前らなら信頼できる」
五人が俺を見つめた。
「今日から、俺たちは一つのチームだ。目標は成り上がること。金を稼ぎ、力をつけ、誰にも馬鹿にされない存在になる」
全員が頷いた。
「じゃあ早速だが、明日から本格的に動く。まずは中級魔物の討伐だ」
俺の新しいチームが、ここから始まる。
翌朝、俺たちは森の深部へと向かった。
「セラ、索敵を頼む」
「了解」
セラは目を閉じ、気配を探る。元Bランク冒険者の勘は鋭い。
「...東に三十メートル。オーガが二体」
オーガ。身長四メートルを超える巨人種。トロールより強い。
「リーナ、氷で足止め。エドワード、火で援護。セラは俺と一緒に前に出る」
全員が頷いた。
茂みを抜けると、二体のオーガが木の実を食っていた。
「リーナ、今だ」
「フリーズ・チェイン!」
氷の鎖がオーガの足に絡みつく。動きが止まった。
俺は超能力系魔法を発動する。
「グラビティ」
二体のオーガが膝をつく。リーナの氷と俺の重力で完全に拘束された。
「エドワード!」
「ファイアストーム!」
炎の渦がオーガを包み込む。絶叫が森に響いた。
「セラ、止めを」
「任せて」
セラが疾走し、オーガの喉を短剣で切り裂く。一体、二体。
あっという間に戦闘は終わった。
「...すごい」
リーナが呟いた。
「これが連携だ。一人じゃできない戦い方がある」
バルドとグランは後方で待機している。俺たちが倒した獲物を、彼らが商品に変える。
「この調子で稼いでいくぞ」
仲間たちの顔に笑みが浮かんだ。
俺たちのチーム、確実に機能している。
オーガの死体をアイテムボックスに収納し、俺たちは街へ戻った。
グランの鍛冶場で解体作業が始まる。セラが手際よくオーガを捌いていく。
「皮は良質だ。防具に使える」
「骨も太くて丈夫。武器の芯材にできるな」
グランが嬉しそうに骨を撫でた。
「肉はどうだ、バルド?」
「オーガの肉は臭みが強いが...こいつは新鮮だ。香草で煮込めば旨くなる」
二体分の素材。魔石、皮、骨、牙、肉。
「ギルドに売ると買い叩かれる。直接売ろう」
俺たちは商人街へ向かった。革細工師にオーガの皮を、武器商人に骨を売る。魔石は魔法道具店に。
「合計で...金貨三枚だと!?」
リーナが驚いた声を上げる。
「ギルドだと銀貨三百枚程度。金貨三枚は銀貨換算で三千枚...十倍だ」
「中間搾取がどれだけ酷かったか分かるな」
俺は金貨を五人で分けた。
「一人金貨半分ずつ。残りは経費と装備の強化に回す」
エドワードが震える手で金貨を受け取った。
「こんな大金...久しぶりだ」
「これからもっと稼ぐ。お前ら、準備はいいか?」
全員が力強く頷いた。
「次はもっと上の魔物を狩る。俺たちの名を、この街に知らしめてやる」
チームの士気は最高だ。
成り上がりは、まだ始まったばかり。
「そういえば、全員のステータスを確認していなかった」
俺は鑑定魔法を習得している。仲間の実力を正確に把握しておくべきだ。
「全員、手を出してくれ。鑑定魔法をかける」
まずはエドワード。
「アプレイザル」
【名前:エドワード / 年齢:34歳 / 職業:魔法使い】
【魔力:850 / 体力:220 / 筋力:180 / 敏捷:240】
【スキル:火魔法Lv6、風魔法Lv5、魔力操作Lv7】
「魔力が高い。やはり実力者だったんだな」
次はリーナ。
【名前:リーナ / 年齢:18歳 / 職業:魔法使い】
【魔力:920 / 体力:180 / 筋力:150 / 敏捷:280】
【スキル:氷魔法Lv5、水魔法Lv4、魔力操作Lv6、複数詠唱Lv3】
「魔力がエドワードより高い...天才か」
セラの番だ。
【名前:セラ / 年齢:26歳 / 職業:戦士】
【魔力:320 / 体力:680 / 筋力:620 / 敏捷:740】
【スキル:短剣術Lv8、解体Lv9、索敵Lv7、危機感知Lv6】
「敏捷が異常に高い。それに解体スキルがほぼ最高レベルだ」
グラン。
【名前:グラン / 年齢:68歳 / 職業:鍛冶師】
【魔力:420 / 体力:580 / 筋力:720 / 敏捷:310】
【スキル:鍛冶Lv10、武器製作Lv10、金属加工Lv9】
「スキルレベルが最大...伝説級の職人だったのか」
最後にバルド。
【名前:バルド / 年齢:42歳 / 職業:料理人】
【魔力:180 / 体力:420 / 筋力:380 / 敏捷:290】
【スキル:料理Lv8、解体Lv7、食材鑑定Lv8】
「腕は確かだな」
そして、俺自身も。
【名前:ルーク / 年齢:25歳 / 職業:冒険者】
【魔力:1200 / 体力:850 / 筋力:780 / 敏捷:820】
【スキル:超能力系魔法多数、基本魔法多数】
「...俺の魔力、異常に高いな」
転生の影響か。
「全員、一流だ。このチームなら、どこまでも行ける」
「待て、レベルも確認しておこう」
俺は鑑定魔法をより詳細にかけ直した。
【名前:エドワード / 年齢:34歳 / レベル:42】
【職業:魔法使い / 魔力:850 / 体力:220 / 筋力:180 / 敏捷:240】
【スキル:火魔法Lv6、風魔法Lv5、魔力操作Lv7】
「レベル42...中堅どころだな」
【名前:リーナ / 年齢:18歳 / レベル:28】
【職業:魔法使い / 魔力:920 / 体力:180 / 筋力:150 / 敏捷:280】
【スキル:氷魔法Lv5、水魔法Lv4、魔力操作Lv6、複数詠唱Lv3】
「レベル28でこの魔力...成長速度が異常だ」
【名前:セラ / 年齢:26歳 / レベル:51】
【職業:戦士 / 魔力:320 / 体力:680 / 筋力:620 / 敏捷:740】
【スキル:短剣術Lv8、解体Lv9、索敵Lv7、危機感知Lv6】
「レベル51...やはり元Bランクは格が違う」
【名前:グラン / 年齢:68歳 / レベル:65】
【職業:鍛冶師 / 魔力:420 / 体力:580 / 筋力:720 / 敏捷:310】
【スキル:鍛冶Lv10、武器製作Lv10、金属加工Lv9】
「レベル65...長年の経験が詰まっている」
【名前:バルド / 年齢:42歳 / レベル:38】
【職業:料理人 / 魔力:180 / 体力:420 / 筋力:380 / 敏捷:290】
【スキル:料理Lv8、解体Lv7、食材鑑定Lv8】
「堅実なレベルだ」
そして俺。
【名前:ルーク / 年齢:25歳 / レベル:48】
【職業:冒険者 / 魔力:1200 / 体力:850 / 筋力:780 / 敏捷:820】
【スキル:超能力系魔法多数、基本魔法多数】
「レベル48でこのステータス...転生補正がかかってるな」
俺は全員を見渡した。
「平均レベルは45くらいか。悪くない。だが、これからもっと上げていく」
チームの基礎データは揃った。次は本格的な狩りだ。
「次の標的を決める。もっと効率よく稼ぐために、上位の魔物を狙う」
俺は地図を広げた。
「森の北部にワイバーンの巣がある。討伐依頼が出ているが、Aランク推奨だ」
「まずは偵察だ。クレアオーディエンス」
遠くの音が聞こえてくる。風の音、木々のざわめき、そして...巨大な翼の羽ばたき。
「確かにいる。ワイバーンが三体...いや、四体だ」
エドワードが顔を青くした。
「ワイバーン...! あれは危険すぎる。飛行能力があるし、ブレスも吐く」
「だからこそ報酬が高い。それに、俺の魔法なら対処できる」
セラが腕を組んだ。
「具体的な作戦は?」
「まず、俺のグラビティで飛行能力を奪う。地面に落としてから、リーナとエドワードの魔法で攻撃。セラは近づいて急所を狙え」
「...いけるかもしれない」
セラが真剣な顔で頷いた。
翌日、俺たちは北部の森へ向かった。グランとバルドは街に残し、戦闘メンバーだけで動く。
崖の上に、黒いワイバーンが巣を作っていた。翼を広げれば十メートルはある巨大な竜種。
「フォアサイト」
未来を見る魔法を発動。数秒後の映像が脳裏に浮かぶ。
「...危険だ。全員、右に移動しろ!」
全員が指示に従って移動した瞬間、さきほどいた場所に巨大な岩が落下してきた。
「助かった...!」
「次はプレコグニション」
より詳細な未来予知で敵の動きを先読みする。ワイバーンが空を飛び、炎のブレスを吐く映像が見えた。
「来るぞ。全員散開しろ」
ワイバーンが咆哮を上げ、空へ飛び立った。
「グラビティ!」
俺は魔力を集中させ、ワイバーンに重力をかける。翼が重くなり、高度が下がる。
「効いている! 今だ!」
リーナとエドワードが同時に魔法を放った。
「フリーズ・ランス!」
「ファイアボール!」
氷と炎がワイバーンに直撃する。
「セラ!」
「了解!」
セラが崖を駆け上がり、落下してくるワイバーンの首に短剣を突き立てた。
ワイバーンが地面に激突し、動かなくなった。
「...勝った」
全員が息を整えた。
チームワーク、完璧だ。
ワイバーンの死体を見つめながら、俺は深く息を吐いた。
「まさか本当に倒せるとは...」
エドワードが呆然としている。リーナは興奮で頬を紅潮させていた。
「すごい...私たち、ワイバーンを倒したんだ!」
「油断するな。まだ仕事は終わってない」
俺はワイバーンの死体に手を触れた。
「ストレージ」
巨大な竜種が光とともに消える。アイテムボックスの便利さを改めて実感した。
街に戻ると、グランとセラで解体作業を開始する。
「この鱗...最高級だ。竜種の鱗は防具に最適だぞ」
グランが目を輝かせている。
「牙も爪も全部使える。骨は武器の芯材に、肉は高級食材だ」
バルドも興奮気味だ。
解体が終わり、商人たちに素材を売った。
「そういえば、ワイバーンの巣に宝があるはずだ」
俺は巣の方角に意識を向ける。
「アポート」
空中に魔法陣が開き、金貨の袋と宝石が出現した。
「遠隔で物を持ってくる魔法だ。わざわざ取りに行く必要がない」
エドワードが驚愕している。
「便利すぎる...!」
「合計で...金貨十二枚に、宝石が金貨五枚分!?」
リーナが目を丸くした。
「ワイバーン一体でこれだけか。効率が良すぎる」
そして、全員にレベルアップの光が降り注いだ。
【ルーク:レベル48→50】
【エドワード:レベル42→44】
【リーナ:レベル28→31】
【セラ:レベル51→53】
「Aランク級の魔物を倒せば、経験値も桁違いだ」
俺は金貨を分配した。一人あたり金貨二枚。残りは装備と経費に回す。




