97.マルク・ローランの叡智
街が静まり返った夜半過ぎ。月明かりと波の音以外の何も届かない竜王国の深層にある離殿の外に男がひとり降り立つ。
昼なら海を眺められるそこは庭園の中にあり、王城からも竜神殿からも離れ独立した建物だった。あげくその離殿は特別な場所で、見回りの騎士どころか人間も近づかない。
だが離殿周辺はあらゆる人の立ち入りを禁じているからこそ、守護竜の探知による警備が成り立っていた。
人なら誰しも持つ魔力や神聖力の、その揺らぎを認識することで、守護竜は離殿へ人が接近することを察するのだから。
そして男はそんな守護竜の特性を逆手に取り、あえて魔力枯渇を引き起こすことで離殿への接近に成功していた。
ただそれでも人の目から隠すようにローブコートやフードで姿を隠して、施錠されていないガラス戸を開ける。
とたんに海風が室内に流れ込み男のマントの裾を揺らした。その風を背にしたまま室内に進んだ男は寝台のそばで立ち止まる。
男が見下ろす先で眠っているのはこの国の民にとって神に等しい存在だ。明るい日の下で見れば深い海の色に見える髪も、夜の闇の中では何色かもわからない。
そして何より竜王国の民が焦がれる青より深い藍色の瞳は開くことなく1年以上も閉ざされていた。
竜種の中で最も強いとされる青竜の中でも、さらに特別な存在である彼がなぜこうも眠り続けているのか。それは彼が天啓を受け、その身に次代の魂を宿したタイミングで穢れも食らったからに他ならない。
竜王たる彼は己が持つ竜の力を、すべて腹にあった次代の卵への浄化に向けてしまった。そしてそれは産み落とした後も続き、彼は眠りながらそばにある卵を浄化し続けている。
そうしなければ存在できないほどに竜の卵が脆弱だからだ。
だがもしこの事実が世間に知られれば、歪んだ愛を抱く者や狂信的な者がここへ来ようとするだろう。次代の竜王が生まれたなら、いまの竜王は我が物にしても良いと考えるから。
実際に過去の竜王国史において類似した事件は何度もあった。そして犯人は誰もが似たようなことを供述したという。
「……自分は誰よりも竜王陛下を愛している」
風と波の音が遠く流れる室内で、男はそうつぶやき笑った。
「なんとも愚かしい話だね。カインセルス殿」
誰よりも、などと誰と比べていたのか。過去の犯罪者と同じことをしている彼は微笑とともに片腕に抱えていた箱を寝台に置く。
そのそばには人の赤子ほどもある卵が鎮座していた。抱え上げれば壺を胸に抱くような格好になるだろうその卵は、生まれてからその大きさになるらしい。
どのような大きさの卵を生んだとしても、必要な大きさになるまで孵化しない。そしてそこまで卵を成長させるのは、まさにその隣で眠る竜王の力そのものだ。
だから過去の犯罪者たちは、眠る竜王を卵から救おうとここに忍び込む。だがそのことごとくを防いできたのは歴代の守護竜だ。
たださすがの守護竜も今回の侵入者に勘づくことはできないようだ。その事実にも笑った男は腰の荷物入れから小瓶を取り出した。
その中身を口に含むと、床に片膝をついて眠る寝台の主と口移しに流し込む。そうして相手が飲んだのを確認した男は目を細めながら立ち上がった。
そこで勢いよく扉が開かれて、誰よりも大柄な竜神殿の主が飛び込んでくる。息を切らせ現れた竜神殿の主は驚いた顔で男を見た。
「君はマルク・ローランか?」
「お久しぶりです。守護竜様」
フードで顔を隠していたのに、何を見て気づいたのか。恐ろしい方だと思いながらフードを脱いだ男はその素顔を晒す。
鮮やかな金髪と空よりも明るいアクアマリンの瞳。それは男が本来持つ色合いだが、この国を出た時にその名と共に捨てたものでもあった。
「なぜここにいる。ここがどういう場所か、君ならわかっているはずだ」
「ええ、わかっています。ですのでこれを」
そう告げて手元の小瓶を見せた男は、それを寝台に置いた。その上で寝台に置いていた箱を開けて中にある透き通った無色の四角い石を取り出す。
人工的に作られた透明の石の中には、緑の鱗を台座のように置きその上に緋色の羽が入れられていた。
それを見た竜神殿の主も理解したように眉を寄せる。
「その鱗……他にも残っていたのか。竜神殿に渡せば供養もできように、なぜ晒すようなことをする」
「竜は鱗の色に問わず雛を守るもの。であれば、あの竜もこの場所で雛を守るために生きて良いでしょう。もちろんこの考えを戦神ロールグレン殿も理解してくださったから、この羽もあるのですが」
「死しても雛を守れと」
「死んで終わりとされるほうが緑竜も浮かばれない。魔女がバラまいた穢れのせいで竜王陛下の御身がこのようになったなら、それを砕くのは緑竜の鱗であるべきだ。オレはそう考えました。それに」
不意に衣擦れの音が聞こえて、男は続く言葉を飲み込み視線を下げる。同時に竜神殿の主もまた驚き、竜王陛下の名を呼び寝台に駆け込んだ。
そんな竜神殿の主が見守る中で、1年以上ぶりに青より深い藍色の瞳が薄っすらとだが開かれる。
そして寝起きの彼はいつもぼんやりしていることを男は知っていた。15年前、ロシュと名乗った竜王陛下がグレイロード帝国に滞在していた時にベッドを提供していたから。
竜が過ごすには厳し過ぎる帝国の冬を、彼は人の体温を奪いながら過ごしていた。そして帝国宰相としてベッドを提供した男は25歳の冬を竜王陛下の世話で費やされている。
「あーれ、ローティス君だ。今度は君が夜這いにきたの?」
「行かない。行きません。行くわけがない」
かつて無限に現れる魔物たちから帝国騎士たちを守ってくれた世界最強の存在は、戯れに恐ろしい事を言う。おかげで男は竜神殿の主に悪趣味な冗談の意味を説明しなければならなくなった。
人工物ならではのきれいに透き通った石には戦神の羽と緑の鱗が埋め込まれている。そのふたつで充分に浄化効果をこの離殿内に広められるが、周りの石も精霊石を砕いて溶融して作られ瘴気を集める効果がある。
なのでこれを置くことで、周囲の瘴気を吸収して、さらに埋め込まれたふたつで浄化することができる。
その説明にクッションのように卵を抱えたカインセルスがなるほどねぇと笑った。
「ローティス君、ガチガチに詰めるタイプだからそういうの手を抜かないよね」
「手を抜く必要がないですからね。あと、あなたが寝てる間に人魚の涙を飲ませたのですが」
「え、口移しで? 寝込みを襲われた?」
「襲ってないし襲わない。こっちは深淵の学舎を動かしてまでやってるのでふざけないでください」
男は床に膝を付いた姿勢で、目の前でふざける竜王陛下を眺めた。そうして嘆息付きつつ、その隣で寝台に座る竜神殿の主を見やる。
「深淵の学舎はガイアイリス大陸東に位置するエーム大陸随一の魔術の研究機関です。かつて闇王を蘇らせようとした前科があるので、今回のオレの依頼にも応じてもらえました。つまりこれらは人類の叡智ですね」
「そうか。君がそこまでしてくれていたとも知らず、疑ってしまってすまなかった」
「それが守護竜様の役目です。それにこちらも不法侵入者であることに違いないので」
「だが、君の立場なら昼に正面から来ても良かったのではないか?」
「いえ、今夜だからできたんです。オレの魔力が枯渇した状態でなければカインセルス殿の害になってしまう」
男のその発言に竜神殿の主だけでなく竜王陛下も表情を変えた。
「人は魔力が枯渇したら死んでしまうんじゃないの? ローティス君は?」
「君は大丈夫なのか? そもそもなぜ魔力が枯渇している?」
「ええ……愛しい婚約者殿に呼ばれたので、帝国から転移魔法で飛びまして」
「すごい棒読みだね」
男の説明に竜王陛下が笑った。
「まぁ、君は昔も秘密の多い男だったから、今回もいろいろあるんだろうね。その秘密については聞かないけど、君が元気な時にお礼させてよ」
「それは夏季休暇に暇を持て余すだろううちの姫君にしてもらえると助かります。昨年の夏季休暇では、カインセルス殿が心配だと泣きながら竜神殿の主殿につきまとったそうなので」
「なんてことだ。僕も可愛いセレンに付きまとわれたいから、たくさんのお菓子を用意するよ。それと君は僕の身体をあげたらいいかな?」
「いりません」
竜神殿の主が目つきを変えるそばで男は速やかに返す。
竜王陛下の言う身体が竜の血肉を指すことはわかっている。そして人間の知的好奇心が、竜の血肉を使っての魔法実験に向かうこともわかっている。
1000年の歴史の中で、欲深い人間たちは多くの人魚や竜などを魔法媒体にするため殺してきているからだ。
そしてきっと目の前の竜王陛下は、次代が生まれたのだから己は死んでも問題ないとでも思っているのだろう。
「次にそれを言ったら辛味調味料を口に入れますよ」
男が告げた瞬間に竜王陛下は己の口を手で塞いだ。
そうして竜王陛下を黙らせた男はため息を吐きながら立ち上がる。
「わざわざ助けに来てあげたのですから、御身を大事にしてください」
どこの王も、『王』でない時はおふざけが過ぎる。半ば呆れながら離殿を出た男を竜神殿の主が見送りに来てくれる。
そうして月明かりの下で竜神殿の主から心配げに見下された。
「大丈夫なのか?」
「転移の魔法武具もありますし、船に戻れば魔力を貯め込んだ物もありますから」
問題ないと告げた男の目の前で竜神殿の主は安堵したような顔を見せる。その姿は男が子供の頃、知識を求めて王城の図書館に通った時と何ら変わらない。
「そういえば、よく一目でオレだとわかりましたね?」
11歳の時に何度か会っただけの人間を、30年経った現在も覚えていて一目で名を呼ぶ竜神殿の主の記憶力が恐ろしい。
そんな思いで問いかけたところ相手は優しく笑う。
「その早朝の空のような瞳を忘れることはない。ローラン侯爵家の長男もよく似た色をしているから、いつも懐かしく思っていた」
「それは光栄です」
竜王国を捨てた人間など忘れて良いのに。だがそれこそがどんな人間にも真摯であろうとする竜神殿の主なのだろう。
そう思いながら男は敷地の隅に向けて走った。その先には崖があって、はるか眼下に夜の海がある。
だがいち早くここから離脱する方法として男が予定していたのは、崖から飛んで落下中に魔法武具を使うことだった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
帝国軍艦船にある広めの個室は宰相の部屋であるらしい。アルノーとベルナールは、ひとりそこにいるミリュエルが暇を持て余しているだろうからと気遣う帝国騎士から頼まれて部屋にいた。
正確にはミリュエルとカードゲームでもして遊んで欲しいと言われてきた。その旨をミリュエルと、そして共にいたアニエスに素直に告げると相当に気を使っているのだなと笑われた。
「第一部団は本来、帝国騎士団内の監督をする部署なので宰相閣下と仕事をする事も多いんですよ。言ってしまえば、帝国騎士が横領だったり賄賂を受け取ったりした時に罰するのが第一部団。そして宰相閣下は法のスペシャリストでもありますから、捜査の中でご協力いただくことも多い」
「だからミリュエルちゃんを気を使ってくれるんだ?」
「宰相閣下に早く結婚して子を作って欲しいと思ってるんでしょう。家庭を作ると、それは帝国最後の砦を縛る鎖にもなりますし」
「アニエス君、15歳なのになんかそこらへん合理的過ぎやしないかい」
「いまのは私ではなく大人たちの意見ですからね。なにせおじさまは、魔法武具製造の世界トップの会社を保有する資産家でもあられますし。その気になれば引退して悠々自適な暮らしもできるんですよ。でも帝国騎士団としては困る、という」
「なるほどねぇ……まぁでも帝国騎士さんの気持ちはおれもわかるかな。戦闘実習に現れたローティス様の安心感すごいらしいもんね。おれは意識なかったけど後方支援の令嬢たちみんな言ってたよ」
あの地獄のような世界では、後方支援で守られていたとはいえ恐怖もあったろう。そんな令嬢たちでも騎士科の生徒を治癒するためとその場を逃げなかった。そんな彼女たちにとってローティスの存在は卒業式を迎えたいまでも強い。
そんな話をしながらカードを配りゲームを始める。このカードはアルノーの脳内にあるトランプに類似していた。
五柱神の色と紋章で区分され、炎、地、水、風は1から13までの数字カードがあり、白は厄介札として扱われている。
それを使いポーカーのようなゲームを始めたが、どうにもアルノーは勝てる気がしない。なにせアルノー以外の3人ともに頭脳明晰メンバーなのだ。
そのためアルノーは先祖返りチート覚悟で提案した。
「ババ抜きしよう! ルールはおれが説明します! 手持ちカードの中で同じ数字が2枚揃ったら捨てていって、カードが早く終わったら勝ち! シンプル! わかりやすい!」
「なるほど? そうなると白カードは使わない感じですか?」
「いや、これが罠です。白カードは1枚だけ投入されてるから、白だけ絶対そろわない。だからそれを持ってる限り終わらない仕組みだよ」
アニエスの質問に返したアルノーはカードをまとめると不慣れな手さばきでシャッフルし始めた。
アルノーの記憶にある女の子はずっと独りだったためカードゲームなどほとんどしていない。しかし学校行事やテレビという箱を見ることでそのルールは知っていた。
それならあの子の代わりに、自分がベルナールとカードゲームをすることで報いになればとは少し思う。自分はあの子の生まれ変わりではないし、あの子の魂もこの世のどこにもない。それでもあの子の記憶があったから自分はベルナールと出会えたのだと言う自負と感謝は忘れるつもりもなかった。
「アルノーさんって、ババを手にすると顔に出るからわかりやすいのよね。反対にアニエス君は何も見えなさ過ぎて怖い。近衛騎士の強さを感じるわ」
ババ抜きを何度やってもアニエスに勝てない。そんな思いを吐露したミリュエルは休憩を提案した。ミリュエルの向かい側で頭を使いすぎたアルノーが真っ赤な顔をしているためだ。
「お茶を入れるけど、みんな温かいものでいいかしら」
「それなら私が入れますよ」
帝国軍艦船にあるこの部屋にもミニキッチンがある。他の船室の3部屋分の広さと様々な設備を完備したこの特別室は、宰相が円滑に仕事をするために使われているらしい。
ミリュエルに座っているよう告げて立ち上がったアニエスは、ミニキッチンに目を向ける。
その瞬間、広い特別室の天井近くに巨大な魔法陣が出現した。あげくそのきらめきに気づき目を向けたアニエスの視界の中で激しい物音を立てて何かが床に落ちてくる。
その重い音を聞きながらミリュエルの前に立ったアニエスは眉をひそめる。
うつ伏せに床へ落ちているのは鮮やかな金色の髪の男性なのだ。
「どうされたの!?」
何者なのかわからないアニエスの横を抜けてミリュエルが男性へ駆け寄る。だが男性は動けないのか、床へうつ伏せに倒れたままだ。
「腕輪……」
「ええ、そうね。色を変えないと騎士さんたちも呼べないわ。それより起き上がれます? どうして落ちてらしたの?」
ミリュエルは指示を受けるなり慣れた様子で執務机に向かい、そこに置かれたブレスレットを手にした。
その合間に男性のほうも腕に力を込めて起き上がろうとしている。
そうしてアニエスは真っ青な顔色と、なにより鮮やかな水色の瞳を見た。その瞬間にいつもミリュエルがベルナールにぶつける「似ている」という文句を理解する。
「マルク・ローランがいる」
だがそんなアニエスが口を開くより先に告げたのはアルノーだった。あげく彼は床に座り込む男性の前に膝をついてまじまじと見る。
「マルク・ローランですよね?」
「なぜ君がその名前を知っている」
「おれは先祖返りらしいので、その記憶です。それで、その女の子の記憶にあるマルク・ローランは攻略キャラのひとりなんです」
アルノーのその告白を前にした男性は、いつもの宰相は見せない嫌そうな顔をした。
「オレはあんな品性下劣なクズに攻略される趣味はない」
「そりゃあそうです。マルク・ローランは超難易度の隠しキャラですから。おれの記憶にある女の子は、ベルちゃんを闇竜から救うためにプロローグと言うか子供時代に魔力を最高値まで高めたんですけど、その時に登場したんです。その時のマルク・ローランは主人公に魔力封じの指輪をはめるんです」
「……それは、理解できる。膨大な魔力を持つ子供を放置しないから」
「おれの記憶にある子は、ぶっちゃけベルちゃん以外は興味ない子でした。だから隠しキャラであるマルク・ローランの出現条件は知ってても攻略法は知りません。でも設定ではマルク・ローランは最強キャラでもあるので、巫女ルートの戦力としてかなり有力だったと思います」
「なるほど。だがあのクズに攻略されたいと思えない時点で、君の語る物語と現実はかなり乖離してるね」
「まぁ、戦力として、ってなるなら魔女ルートに出てこないことになりますからね。あの子、魔女ルートをやってるんですよ。だからアイテムばらまいて周りの人間を言いなりにして、成人向けアダルト遊びをしたいんだと思います」
「君の言いたいことはなんとなくわかった。だがその魔女ルートというものの終着点は?」
「薬物で言いなりにした攻略キャラの誰かを選んで結婚して家を乗っ取る、ですね。ちなみに攻略キャラは全員が侯爵家のご子息です」
アルノーが説明している間にブレスレットを受け取った男性は、すぐにそれを装着する。とたんに髪や瞳の色が黒く染まりいつもの宰相の姿に戻った。
「ところでなんでそんな顔色悪いんです?」
「昼からずっと魔力が枯渇した状態だからだよ。帝国からここへ転移するのに魔力を使い果たしてる」
「なのにミリュエルちゃんと笑顔でダンス」
「帝国宰相はそういう男だよ。それに今回は魔力を枯渇させる必要があったから問題ない」
魔力をあえて枯渇させるために帝国から転移した。そのように聞こえたアルノーは、目の前で男性が立ち上がろうとするのを察して肩を貸す。
「おれとベルちゃんで宰相様を運ぶから、アニエス君は宮廷魔術師さん呼んできて。ミリュエルちゃんはミルクとかあるか聞いてきてください。あるならホットミルクで。魔鉱石の粉末と混ぜたら回復薬になるって騎士さんに説明お願い」
真面目な表情になったアルノーの指示に、アニエスとミリュエルは顔を見合わせ部屋を飛び出す。そのそばでアルノーに肩を借りて立った宰相ローティス・フィレントが小さく笑う。
「自称脇役のくせに有能過ぎるだろ」
「ベル姫応援し隊は全員が有能です!」
「それは頼もしいことだ」
魔力が枯渇している状態を放置して夜にでかけていた。そのため動けなくなった宰相は部屋の奥にある寝室に運ばれベッドに寝かされる。
そこで靴やローブコートを脱がされていた宰相は、駆けつけた宮廷魔術師のハーティに頭を叩かれた。
そして宰相は、卒業式でアルノーが叱られた文言と同じことを言われることになる。
「魔力枯渇は命に関わるって言ってんでしょうが! ふざけんじゃないよ!」




