プロローグ1 グレイロード帝国
ガイアイリス大陸を広く支配するグレイロード帝国の玉座には皇帝ではなく国王がいる。
帝国として複数の国家を属国としていても、そこに序列は作らないという10代ながら帝国を建てた王の意思の表れだ。
そしてそんな建国王も今は30代になり成熟した男性としての魅力を溢れさせている。
10代の時に母国を焼かれ捕虜として囚われながら、愛剣や配下の助力もあって国を興した。その後は内政を整えながら様々なモノと戦ったという。
そんな王の手には世界に7色しかない宝刀があり、今もその宝刀は玉座の隣に立っている。
そしてセレンは玉座に立つ緋色の宝刀も、そしてその所有者である王のことも大好きだった。
幼く大人たちから守られるだけのセレンにとって、王も宝刀も生きた伝説である。
多くの魔物と戦い、魔神種と呼ばれる上位の魔物とも戦い、地上と魔界帝国との間にトンネルを作ろうとした組織の野望も打ち破った。
それらの話は帝国騎士団の活動資料にも、そして多くの物語にも残されている。けれどそれらすべて読んだセレンはまだ知りたくて仕方ない。
だから毎日のように王城へ通っては、謁見を断られる大人たちの横をすり抜けて謁見の間へ入り込む。
たった7歳の少女がそのように自由に行動できるのは、彼女が6大公のひとつと言われるブレストン公爵家の娘だからだ。
セレンの父はブレストン公で、曽祖父はグレイロードの嫡流。本来なら祖父がグレイロード王国の玉座に座るはずだったが、祖父がそれを断った。
それでもその尊い血が変わることもなく、旧ビタン王国の上に建てられた今のグレイロード帝国でも大切にされている。
そうして誰に止められることもなくセレンは知識欲に支配されるまま王に昔話を求め、王が多忙な時は聡明さを讃えられる王妃から地政学や歴史学、そして王都の経済状況の推移などを教えてもらっていた。
そしてある日、セレンは知ってしまった。
両陛下は、時期は違えどどちらも竜王国へ留学して様々な知識を得ていたことを。




