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沈黙のあとの再会、そして真実





特殊部隊が撤収し、教会の周りに静寂が戻ったとき、陽菜を真っ先に抱き起こしたのはラシードでした。




「終わったぞ、ホシノ。お前の『叫び』が、暴力よりも速く世界を駆け巡ったんだ」




陽菜は震える手で、中継を終えたスマートフォンの画面を見つめました。そこには、数え切れないほどの励ましのメッセージと、世界中で始まった**「フードロスを命に変える運動」**の進捗が映し出されていました。




1. 東城との再会




数日後、国際社会の圧力によって謹慎を解かれた東城隼人が、ナブアの現場に降り立ちました。彼は陽菜の顔を見るなり、言葉を詰まらせました。




「陽菜さん、あなたの無茶な『裏の計画』が、結果として国際法そのものを書き換える力になりました。本日、IDBと国連は正式に**『エシックス・オーバー・ルール(規約を越える倫理)』**という新条約を採択しました。緊急時の人道的支援においては、あらゆる官僚的制裁を無効化するという、あなたに捧げられた条約です」




東城が手渡したのは、主任顧問官への復帰要請書ではなく、**「グローバル・エシックス・リーダー(世界倫理最高責任者)」**という、独立した新たなポストへの任命書でした。




2. 暴かれた黒幕




拘束された特殊部隊の通信記録から、エクリプスの全貌が明らかになりました。彼らが狙っていたのは資源だけではなく、**「飢餓をビジネスにする」**という非道な食料独占計画でした。陽菜の「フードロス削減」という提案は、彼らの供給過多を逆手に取ったビジネスモデルを根本から破壊するものだったのです。




3. 未来への種まき




陽菜は任命書をじっと見つめましたが、首を横に振りました。




「東城さん、私はもう、立派な部屋で会議をする人間には戻らないわ。私はここで、ラシードやムスタファ医師、そして子どもたちと一緒に、土を耕し続ける。**『人を思う前向きな心』**は、演壇の上ではなく、この泥の中にこそ宿るものだと学んだから」




彼女は、自分を非難した世界を恨むのではなく、その世界が「共感」で繋がったことを誇りに思っていました。




「地位はいりません。でも、GFETの資金は、世界中の『小さな農園』と『青空教室』へ直接届くようにしてください。それが私の唯一の条件です」




陽菜は、再びスコップを手に取りました。彼女の横では、子どもたちが新しい種を植え、浄化された水を撒いていました。




かつての「主任顧問官・星野陽菜」は死に、今ここにいるのは、世界を救うために**「一人の人間」**であることを選んだ、真の勇者でした。

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