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絶体絶命の5分と知恵の反撃





武装勢力の車両のヘッドライトが、トラックと積み荷に近づきつつありました。絶体絶命の状況下、陽菜の「私を置いて行け」という叫びに対し、ラシードは歯を食いしばり、トラックのギアを入れました。




「ホシノ、俺は絶対にお前を見捨てない!だが、奴らを直接避けられない!」




その瞬間、陽菜の頭に、出発直前に東城隼人が残した最後の言葉が蘇りました。




「陽菜さん、制裁下では全ての情報が敵に回ります。しかし、ナブア周辺の武装勢力は、『非公式の麻薬輸送路』を厳重に隠蔽しています。この滑走路の南西の端には、彼らが定期的に**『砂塵を立てるな』と指示している、彼ら自身の秘密の迂回ルート**があるはずです。もしもの時は、そこを突いてください。」




陽菜はすぐに叫びました。




「ラシード!南西の端!砂塵を立てずに、全速力で突っ切って!」




ラシードは一瞬ためらいましたが、陽菜の目にある確信を信じました。彼はトラックのアクセルを踏み込み、滑走路を猛スピードで横切り、武装勢力とは逆方向の南西の端、見捨てられた岩の隙間へと突入しました。




武装勢力の車両は、陽菜たちのトラックを発見し、追跡を開始しました。しかし、彼らは滑走路の中央を通るルートしか知らず、南西の端の迂回ルートに入ることを躊躇しました。なぜなら、その秘密の迂回ルートは、彼らが最も隠したがっている麻薬輸送の証拠がある場所だったからです。




「奴らは、自分たちの闇の証拠を露呈させるのを恐れている!東城の知恵が私たちを救ったわ!」




陽菜は歓喜しました。




ラシードの運転技術は驚異的でした。彼らは、岩と砂塵をかいくぐり、秘密の迂回ルートを猛スピードで駆け抜けました。武装勢力は、追跡を断念せざるを得ませんでした。彼らが麻薬輸送路を追跡することで、国際社会にその存在を知られるリスクを負いたくなかったからです。




彼らは、夜明け前、ようやくムスタファ医師が待つ、隣接地区の教会跡地に到着しました。ムスタファ医師は、衰弱した子どもたちを抱えながら、絶望的な状況で彼らを待っていました。




「ホシノ、ラシード!よく生きてきてくれた!」




ムスタファ医師は、希望の木箱を見て涙しました。




すぐに「希望の木箱」が開けられ、分解された浄水システムが取り出されました。ムスタファ医師とラシードの仲間たちが、陽菜の指示とマニュアルに従って、手早くシステムを組み立て始めました。




太陽が昇る頃、太陽光駆動型の浄水システムは作動を開始しました。フードロス削減分から生まれたGFETの資金が、汚染された水を、透き通った命の源へと変えていきます。




最初に浄水された水を飲んだ子どもたちの顔に、安堵と力が戻った瞬間、陽菜は、国際社会の制裁や、武装勢力の脅威よりも、**「目の前の命を救うという行動」こそが、彼女の「叫び」**の真の目的だったことを再確認しました。




「私の正義は、誰かを罰することじゃない。命を救うこと。それこそが、私の倫理よ。」

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