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孤高の覚悟、第三の輸送路





深い孤独の中で、陽菜は自分が打ち破るべきものが、武装勢力だけでなく、国際機関の制度的な冷たさと制裁の網であることを理解しました。彼女は、東城やラシードを巻き込まず、自分一人の責任で行動する**「孤高の覚悟」**を固めました。




陽菜の目標は、制裁で足止めされている浄水システムを、武装勢力の支配地域に誰にも気づかれずに送り届けること。




彼女の計画は、国際的なルールや制裁の枠組みの**「抜け穴」**を突くものでした。




資金の偽装と第三国経由:




陽菜はGFETの緊急資金の一部を、中立国を拠点とする**「文化遺産保護財団」**の名義で偽装しました。これにより、物資が「人道的支援」ではなく「歴史的価値のある美術品の輸送」に見えるようにカムフラージュしました。このルートは、制裁対象の物品とは見なされないため、領空通過が可能です。




浄水システムの分解と隠蔽:




足止めされている太陽光駆動型の浄水システムは、陽菜の指示で極秘裏に分解され、美術品用の梱包材(木箱や緩衝材)の中に巧妙に隠されました。




東城への依頼(情報隠蔽):




陽菜は東城に、この輸送ルートの情報を、国際的な監視システムから完全に隠蔽するよう依頼しました。




「東城さん、これは私が一人で責任を負う。この輸送がバレれば、IDB監査官としてのあなたの立場も危うくなる。私を守るためではなく、子どもたちの命を最優先するために、この輸送の足跡を消してほしい」




東城は、陽菜の**「人を思う前向きな心」と「命を守る覚悟」**を理解し、涙を堪えながらシステムへのハッキングと情報の隠蔽に着手しました。




輸送は、深夜に行われました。小型の貨物機が、中立国からナブア周辺の非公式な臨時滑走路へと向かいます。陽菜は、その貨物機に一人の乗客として乗り込んでいました。彼女は、**「正義の副作用」**によるすべての責任を、自分の身一つで引き受ける覚悟でした。




「私が告発したから、命綱が断たれた。ならば、私が、その命綱を繋ぎ直す」




貨物機が国境を越え、制裁下に置かれた空域へと入る瞬間、陽菜は無線でラシードに暗号を送り始めました。




「ラシード、**『希望の木箱』が向かっている。ムスタファ医師と、安全な『教室』**で待機していて」




陽菜の孤立した行動は、極めて危険な賭けでした。彼女が武装勢力に捕らえられれば、IDB監査官としての権威は失墜し、GFETも危機に瀕します。しかし、彼女には、「正しい制度」よりも「目の前の命」を優先するという、揺るぎない倫理的な覚悟がありました。

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