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改革の果実と迫る報復





陽菜による本部内の抵抗勢力への倫理的勝利は、組織の改革を一気に加速させた。意図的な遅延に関与した者たちは懲戒処分を受け、バーネット統括も陽菜の行動を全面的に支持せざるを得なくなった。




彼は陽菜の前に立ち、




「君こそが、この組織の、そして国際支援の新しい倫理そのものだ」と告げた。




陽菜が東城隼人と協力して確立した新しい緊急支援ルートは、被災地で目覚ましい効果を発揮していた。本部からの物資に頼らず、近隣国からの迅速かつ透明な輸送が、寸断されたインフラの中でも医療品と食料を安定供給し、医療格差と食料問題の悪化を食い止めた。




現地の漁師や農家との相互支援ネットワークも強化され、子どもたちへの教育支援も再開された。陽菜のモデルは、**「貧困」を単なる受け身の支援対象としてではなく、「行動する主体」**として捉えることで、真の自立支援に繋がることを証明した。




陽菜は、被災地での活動を続けながらも、本部での監査作業も遠隔で進めた。東城隼人の助けを借りて、彼女は不正に関与した国際的な金融コンサルティングファームだけでなく、その背後にいる紛争鉱物取引企業の資金の流れも明確に追跡していた。




彼女の報告書と国際捜査機関への協力により、ついに紛争鉱物取引企業の幹部が各国で逮捕され始めた。陽菜の「叫び」は、合法的な顔をした闇の構造を、経済的、法的に崩壊させていった。




しかし、この勝利は、陽菜自身を最大の標的とした。資金源を絶たれ、国際的な法廷闘争で追い詰められた闇の勢力は、今や最後の手段に出るしかなかった。




ある日の午後、陽菜が現地本部との通信を終え、野外の仮設オフィスで休息をとっていた時だった。


彼女の傍らにいた、陽菜の身の回りの世話を手伝っていた地元の青年ボランティアが、突如、陽菜にナイフを突きつけた。




「静かにしろ。動くな、星野」




青年の声は震えていたが、その瞳には恐怖と同時に、強い強制の感情が読み取れた。




陽菜は、彼の背後に、不自然なほどの混乱と絶望、そして金銭的な貧困からくる強迫観念が渦巻いているのを、直感で感じ取った。彼は、闇の勢力に家族を人質に取られたか、あるいは多額の報酬で雇われた、構造的搾取の被害者だった。




「誰に脅されているの? 私を殺しても、あなたの家族は救われないわ」




陽菜は、冷静に語りかけた。




青年は動揺し、ナイフを持つ手が揺らいだ。その一瞬の隙に、陽菜が事前に設置していた非殺傷の緊急通報装置のブザーが鳴り響いた。




数秒後、ラシードが武装した仲間たちと共に駆けつけた。青年は取り押さえられたが、その時、遠くの森から狙撃音が鳴り響いた。




「ホシノ、伏せろ!」




陽菜は間一髪で地面に身を伏せた。狙撃は彼女を外れ、近くの物資の箱を砕いた。




襲撃は、陽菜の告発によって追い詰められた闇の勢力が、彼女の命を直接狙った、紛争地帯の暴力と世界の金融の闇が交錯する、最も直接的な報復だった。




陽菜は、ラシードに守られながら、自分の手で崩壊させた闇の構造が、彼女自身の命を最後の対価として要求していることを悟った。彼女の戦いは、まだ終わっていなかった。

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