ダンジョン
ある日、都市部の繁華街に突如として現れた巨大なダンジョン。その存在は、人々に異常なまでの興奮を与えた。
当初は、ダンジョンの中に入って探検を楽しむ者も多かったが、すぐに金銭や財宝、そして何よりも力を求める人々が現れた。多くの冒険者がダンジョンに挑戦し、多くの者がその命を落としていった。
しかし、ダンジョンに潜入する者たちの中には、自分自身の能力を超越するような力を手に入れた者たちもいた。彼らは、人々から恐れられ、また憧れられた存在となっていった。
そして、ある日、現実世界で暮らす一人の高校生、田中聡は、ダンジョンに潜入している幼馴染の美咲を探すため、自分もダンジョンに潜り込むことに決める。
彼は自分自身の力が飛躍的に向上していることに気づき、その力を使って美咲を探し続ける。そして、ダンジョンの奥深くへと進んでいく中で、彼が知るべき真実が次第に明らかになっていく。
放課後、俺は帰路についていた。
家に帰ってからソファに座りテレビの電源を入れる
。
ちょうどニュースをやっていた。
「ご覧ください横浜に突如大きな塔が出現してから3か月がたちました。」
「塔?俺がいなくなってからそんなものが。ってかあれはダンジョンなんじゃ。」
俺はテレビ画面を見た。
確かに巨大な塔が建っている。俺が異世界で冒険したダンジョンに酷似していた。
これはどういうことなのか。
中には獣がいて犠牲者も出ているようだ。しかし、挑むものが後を絶たない。
なぜならレアメタルなどの鉱物が採れるからだ。
「これは一体なんでしょうか」
「専門家の話によると、未知の技術で作られた建造物ではないかということらしいです」
俺はしばらく考えた後、家を出た。
向かった先は近所の公園。
この辺りで一番大きい場所だ。
「ねえ、テレビ見た。あれダンジョンよね。階層が結構ありそうだった。」
「多分な」
「行ってみない?」
「俺は関わりたくない。俺たちは役割を果たして帰還した。もう十分戦ったはずだ。」
「そうね。もう帰ろうか」
俺たちはそう話し合うと、その場を後にしようとした。だが次の瞬間、俺たちの背後に気配を感じた。
振り返るとそこには、フードを被った男が立っていた。
「お前たちはあのダンジョンを攻略しに来たのか?」
「攻略するつもりはない。ただ興味があったから来ただけだ」
「そうか。なら協力してくれ」
「断る」
「何故だ?」
「お前からは嫌な感じがする」
「酷い言いようだな。まあいいだろう。力づくで言うことを聞かせるまでだ」
男はそう言って剣を取り出した。
俺もそれに合わせて無拍子を発動させる。
無拍子とは、相手の意識の死角に入り込む技である。
俺が無拍子を使えるようになったのは、師匠に習ったからだ。
しかし、この世界では身体が弱くて使い物にならなかった。
だから俺はこの世界でも戦えるように、無拍子の習得に励んだのだ。
「何!?いつの間に後ろに!?」
「遅い」
俺は男の背後をとることに成功した。そのまま首に手刀を当てて気絶させた。
「終わったぞ」
「お疲れ様。やっぱり強いわね」
美咲はにっと笑って見せた。
「まあな」
「まっまて。」
「まだ何か?」
「お前は遅かれ早かれダンジョンに行くことになる。それは定められていることだからだ。」
「やっぱりあれはダンジョンだったんだな」
「ああ。お前は勇者として召喚される運命にある。だが今回は魔王を倒す必要はない。」
「どういうことだ?」
「それは自分で確かめろ」
「そうか。じゃあそっちは任せた」
「ああ、また会おう」
こうして俺の二度目の人生が始まったのであった。
読んでいただきありがとうございます。評価ブックマークしていただけると今後の励みになります。
したスクロールで気軽に☆ボタンから評価していただけます。ありがとうございました。