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異世界帰りの俺は現実でも英雄になる。

ある日、都市部の繁華街に突如として現れた巨大なダンジョン。その存在は、人々に異常なまでの興奮を与えた。


当初は、ダンジョンの中に入って探検を楽しむ者も多かったが、すぐに金銭や財宝、そして何よりも力を求める人々が現れた。多くの冒険者がダンジョンに挑戦し、多くの者がその命を落としていった。


しかし、ダンジョンに潜入する者たちの中には、自分自身の能力を超越するような力を手に入れた者たちもいた。彼らは、人々から恐れられ、また憧れられた存在となっていった。


そして、ある日、現実世界で暮らす一人の高校生、田中聡は、ダンジョンに潜入している幼馴染の美咲を探すため、自分もダンジョンに潜り込むことに決める。


彼は自分自身の力が飛躍的に向上していることに気づき、その力を使って美咲を探し続ける。そして、ダンジョンの奥深くへと進んでいく中で、彼が知るべき真実が次第に明らかになっていく。

非リアが急にリア充になることなんてあるんだろうか。


そんなの漫画の世界だけだろう。

「おいてめえ田中漫画買ってこいや」

「えっ……でもお金が。」

「そんなんてめえが出せよ。チー牛」

「でっでも」

「うるせえチー牛」

「チー牛ださっ」

リア充は俺を殴り、それを笑う女子。


もうこんな世界うんざりだった。この日本に俺の居場所はない。いっそ自分から……。


そんな俺がある日突然、転移で異世界で勇者パーティになってしまった。

そして、冒険の末魔王を倒しまた日本に戻ってきた。

同じ日常に戻っただけではなかった。俺はチートスキルだけは残したまま新たに高校生活を始めたのだった。


異世界から帰還した俺、田中聡さとしは平凡な日常を取り戻した。

しかし、そこには何か足りないものがあった。

「……」

無言で部屋を見渡すと、そこにあったのはゲームや漫画などだった。

俺はこの退屈な日々をどう過ごせばいいのか。

こんなことなら、あの世界で勇者でもやってた方がマシだと思った。

だが、もう遅い。

「……そうだ」

ふと思い出したことがあった。

それは俺が異世界に行く前にやったギャルゲー『君との約束』のこと。

内容はよくある学園ラブコメものだった気がする。

まあ、あまり覚えていないのだが……。

確か攻略対象キャラの中に幼馴染がいたはずだ。名前は確か……。

「そうか!」

思わず声を上げてしまった。

これなら退屈しないかもしれない! そうと決まれば行動開始だ! 早速スマホを手に取り、『君との約束』について調べてみた。

すると、公式サイトなるものが出てきた。

俺はそのサイトを開くと、トップ画面に出てきた文字を見て絶句した。

「おい……マジかよ……」

そこに書かれていたのは『サービス終了のお知らせ』という文字だった。


俺が異世界に行っている間に世界は少しずつ変わっていたということだろう。

異世界にいたのは三年、けれどこちらでは2か月しかたっていなかった。時間の進む速さが異世界とは違うようだ。

「……」

明日からは、また憂鬱な学校生活が待っている。



だが、それでも構わない。

「待ってろよ……!くそクラスメイトどもが」


明日からの高校生活を楽しみにしながら、俺は眠りについた。

翌日。

いつも通り教室に入ると、そこは騒然としていた。

一体何事だろうと周りを見ると、女子たちがひそひそと話している。

俺は気になりつつも自分の席に向かった。

そして、机の上に目をやる。

花瓶が俺の席に置かれていた。やれやれそういうことか。そういえば昔の俺はいじめられていたっけか。

俺は花瓶をロッカーの上に戻し席に着いた。

さすがにこの状況だと誰も話しかけてこない。

ホームルームの時間まで寝ていようかな。

それから数分後、担任の教師が来た。

「みんな静かにしろー」

教師の声で生徒たちは黙り込んだ。

「今日も欠席者はいないみたいだな」

出席簿を見ながら呟くように言った。

俺は遅刻常習犯だからいないと思われても仕方がないと思うけどね。

「よし、じゃあ朝のHRを始めるぞ。委員長号令よろしく」

「はい。きりーつ」

委員長の掛け声に合わせて皆が立ち始めた。

「礼」

それに合わせて俺たちも頭を下げる。

こうして朝が始まった。


「田中飲み物かって来いよ」


俺のことを以前からいじめていたグループだ。俺のことを嘗てと同じだと思っているようだ。

「お前らが買ってくれば?」

「ふざけんなよ?てめえ!」

そう言って一人が俺に向かって殴りかかってきた。

だが、その拳が届くことはなかった。

瞬時に俺が無拍子の突きを放って動けなくなったのだ。

今の一撃で分かった。やはりこの世界の人間は弱いと。

向こうの世界では俺より強い奴はいなかったからな。

「おいっ!どうしたんだよ!?」

異変に気付いた他の生徒が駆け寄ってくる。

「大丈夫だよ」

俺はそう言いながら、倒れた生徒の手を掴むと引きずってその場を離れた。

もうこのクラスに俺以上強い奴はいない。

クラスの底辺から孤高の存在になったのだ。

今の一連の出来事をみてクラスが静かになる。


彼ら彼女の中には弱い田中。いじめてもいい田中のまま残っているのだろう。だが今の出来事で格付けが済んでしまった。


これで少しは平和になるだろう。

それにしても暇だなぁ。

授業中、俺はそんなことを考えていた。

あの世界での生活と比べると、こちらの世界はあまりにも退屈すぎた。

まあいいか。あと数日すれば夏休みだし。それまで我慢しよう。

そう思いつつ、昼休みを迎えた。

昼食を食べ終えた俺の前に一人の女子が現れた。

彼女は美咲もう一人の異世界帰還者だ。



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