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黄金の騎士

「さあ!今日も頑張るわよ!」

「はい!」


とりあえず景品交換所の商品の配置を変えたり、お菓子の箱を片付けたりしているうちに開店時間になった。


昨日と同じく老人たちが畑を耕している。

「今日もお客様をお迎えしないとな!」


その時だった……


ガラガラガラッ!! 突然シャッターが開けられた!


(何事!?)


そう思って外をみると金の鎧を着た髭もじゃのおっさんが立っていた。


「ここが魔王軍の拠点か……」


なんだ?このおっさんは……


(無視するのよ!)

クズ神が小声で話しかけてくる。


「おい、そこのお前」

「はい……」


思わず返事をしてしまった……


「貴様が魔王軍の送り込んでいるスパイか!?」


今度は普通に話しかけてきたので対応もできる。


「俺はこのパチンコ屋の店長のタカオです。大体魔王軍とかスパイってなんの話ですか!?」


「ぱちんこや?そんな物は知らん!魔王軍のスパイは大体こういう格好をしているんだ!」


(なんで無視しないのよ!)


クズ神が叫んでいるがこのおっさんを無視するなんて俺には無理だ。


とりあえず弁解しよう……

「いや、これは俺が選んだ服じゃないんですよ……」


「言い訳などいらぬわ!ここで死んでもらうぞ!」

そう言うとおっさんは剣を抜いた!


「ちょっと待ってください!俺はただの店長ですよ!?」


(何よ!?その剣は!?)クズ神が何か叫んでいるがそれどころじゃない!


「覚悟!」

おっさんの剣が振り下ろされる。


その時…


「今日の開店はまだかのう?」


昨日8万発の大量出玉を叩き出したお婆さんが店へやってきた。


その瞬間おっさんの動きがピタリと止まった……


(今よ!台の電源を入れるわ!開店よ!)


店内外には開店のBGMである軍艦マーチが流れ出した。


それと同時に畑作業をしていた老人たちが続々と店へと入ってくる。


「今日も沢山だすぞい!」

「今日はあの剣のやつをやるぞ!」

「おや、騎士様がきとるぞ?」


そんな声を尻目にお婆さんはおっさんの元へ駆け寄る。


「ガロー、久しぶりじゃの。」


「お婆様!何故このような所に!?」


ガローと呼ばれたおっさんは剣をしまった。


「お主こそ何故この農村にいるのじゃ?」


「魔王軍の拠点があると言う情報が入りまして。」


お婆さんとガローさんが話しているのを店内にいた老人達は物珍しそうに見ている。


「まあ立ち話もなんじゃ。わしがここにきた理由も含めて飯でも食べながら話をせんか?」


お婆さんがそう言うとガローさんは嬉しそうに頷いた。


(何やってるのよ!さっさと開店するわよ!!)


クズ神が急かすので慌てて、ホールへ出た。


それから1時間程でお婆さんとガローさんが来店した。


「店主、先程はすまなかったな。お婆様がここで貰ったというさばかんというものを食ったが、こんな美味いもの初めて食べたぞ!」


上機嫌に話すガローさん。


(はいはい、そんなのどうでもいいからちゃんと店の説明するのよ!)


そんなクズ神の念話を聞いて改めて店の説明を始めた。


「この店はパチンコ屋といってお金と玉を交換して獲得した玉を景品と交換する遊技場です。」


「景品交換?よくわからんが、とにかく魔王軍とは関係無さそうだな。」


「当たり前じゃ、わしを誰だと思うておる。」


お婆さんはガローさんを叱責する。


「それでお婆様はどうしてここへ?」


俺がそう言うとお婆さんはガローさんを小突きながらこう言った。


「そりゃ美味いものを貰えるからじゃ!」


ガローさんは不思議そうにお婆さんの顔を見る。


「実は昨日が開店初日でして、それを記念してこのカルパスを皆さんに差し上げたんです。それとは別に遊んで頂いて出玉を食べ物に交換しまして。」


「無料で食べ物を配っている訳ではないのか。」


「はい、基本的にはパチンコで遊んでもらいます。」


「働き、寝るだけの生活は楽しく無いわい。こんな店が出来てくれて幸せじゃ」


お婆さんは嬉しそうに昨日交換したカフェオレを飲んでいる。


(お婆ちゃん可愛い!)

クズ神の気が緩んだその瞬間だった……


ババンッ!! そんな音がホールに鳴り響くとガローさんが剣を抜いた。


「やはり魔王軍のスパイだったか!」

お婆さんが慌ててガローさんに声を掛ける。


「これは金WOLFが当たった音じゃの。わしは昨日40回も当たったぞ!」


ガローさんは剣を収めた。


「よし、俺もぱちんことやらをやるぞ!」

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