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新装開店!

「さて、景品の棚卸しも終わったし……寝るか。」


(もう寝るの?)


(まだ開店前よ!)


「いや……だって……」


(まぁいいわ!おやすみ〜)


クズ神がそう言うと意識が途切れた。



「起きるのよ!起きなさい!」


バサッ! 布団をひっぺがされる。


「あれ?クズ神?」


(何寝ぼけてるの!新装開店よ!!)


眠気眼を擦りながら店に出るとそこには見た事のない景色があった……


いや、異世界に来た時に見たような気もするが……


昨日とは打って変わって立派なホールだ。



「これは一体……」


(昨日あなたが頑張ってくれたおかげで新装開店よ!)


「でも昨日は何もしてませんよね?」


(それはワタシのおかげよ!感謝なさい!)


確かにクズ神には感謝するところも多々あるが……


ガシャンッ!! そんな大きな音がしたと思ったら目の前にあったお菓子の箱の山が消えていた。


(ワタシの力よ!)


「なるほど……」


(そんな事はいいから早く景品を並べなさい!時間がないわよ!!)


たしかに昨日買い取ったお菓子の箱が大量にあるな……


(賞品変更で箱から景品を出せばあとは自動でやってくれるからあなたは他の業務にまわりなさい!)


「わかりました。」


(まずは台拭きと掃除よ!開店まであと1時間しかないからね!)


開店時間なんて決めたか?と疑問に思ったが口は出さないでおいた。


(しっかり掃除をしてお客様をお迎えするのよ!)


俺はホール中を駆けずり回り、お菓子の箱は綺麗に片付けた。


その後パチンコ台のガラスも磨き上げ、細かい所まで掃除をした。


(なかなかやるじゃない!)


「まぁ……店を任されている身としては……」


いよいよ開店の時間になった。


並びの人数は…0人



相変わらず店の前では老人たちが畑を耕している。「開店しても客が来ませんね……」


(そんな時はこれよ!)


クズ神が景品で仕入れたカルパスを取り出した。


(この世界の人間はすごく飢えているわ。食べ物の誘惑にはとても弱いの。ここは開店記念に無料でカルパスを配るわよ!)



珍しくまともな意見に面を食らっているとクズ神が畑の老人たちに声を掛けに行く。


「新しくお店をすることになったわ!無料で食べ物を配布しているんで良かったら食べに来てください!」



「それは本当かい?じゃあ遠慮なく行かせてもらうよ。」



一人がそう言って店の方へ向かうと畑仕事をしていた老人たち全員が店へとやってきた。



「食べ物をくれるんだって?」


老人たちは目を血走らせてカルパスに群がっている。


「これはうまい!」


「こんな美味しいもの食べた事ないわい」


「もっとくれ!」


老人たちの勢いは止まらない……


クズ神もノリノリでカルパスを配っている。

「はいはい、ちゃんと人数分ありますからゆっくり食べてくださいね」


(何やってるのよ!早くお客様を呼ばないと営業時間過ぎちゃうわよ!)


クズ神の声で我に帰った。


俺は急いでパチンコ台の電源用のブレーカーを上げに行く……


ポチッ! ジャジャーン!! そんな音と共にパチンコ台が光り出した。


「新装開店です!」


俺がそう言うと老人たちが反応した。


「これはなんだ!!」


「すごく眩しく輝いておるぞ!」



「これはパチンコと言って1プレイ500Gで125玉で出来るゲームよ!玉を飛ばして真ん中の穴に入ったら当たりの抽選をして大当たりすれば景品ゲットよ!」


クズ神がそう説明すると老人たちが我先にと近くにあったシーフード物語の席へと着席する。



「これはどうやって遊ぶのじゃ?」


老人は硬貨をパチンコ台に入れたり出したりしている。


「このボタンを押したら玉が出てくるわ!そうしたらハンドルを握って玉を飛ばすのよ!」


「こうか?」


パチンコ台が勢いよく回り出す。


そして玉は真ん中の穴に入り……当たりの文字が浮かんだ。

「やったぞ!当たったわい!」


「俺もだ!」


次々と当たりが出ていく。


(流石激甘調整だ…)


「でもまだまだこれからよ!」


「これはなんだ!?」


今度は金WOLFの席に着席する老人たち。


「これもわしらにやらせろ!」


老人たちは金WOLFの玉を手に持ち、ものすごい勢いでボタンを押し始めた。ウルフソードを引き抜こうとする者も居たがまあいいだろう。


ジャジャーン!! そんな音と共にパチンコ台が光り出す。


そして激アツの魔界ドラゴンリーチに発展…



(ウルフソードを押し込め!!)



見事に大当たりだ。


台上からWOLFの頭が飛び出すと老人たちはビックリしたように腰を抜かしていた。「これはすごいわい!」


「こんなに簡単に当たるのか!?」


「もっとやらせろ!!」


その後も次々と大当たりする老人たち。



こっそりとカウンターでデータを見たところ20万発は赤字だ。



「景品の値段を上げるわよ。玉が増えることは植え付けたわ。」とクズ神がアドバイスしてくれたので景品の交換玉数を当初よりかなり上げた。



いつの間にか3時間ほど経っていたようだ……


「みんな!楽しんでくれたかしら?今日はこれで閉店よ」



そう言うと老人達は名残惜しそうにしていたが、素直に打つのをやめてくれた。



「皆さんお待ちかねの景品交換よ!」


「ありがとうございました!」



順番に老人達の玉を交換する。


「カルパス100個とサバ缶10個とカフェオレ5本です!」



最後に並んでいたおばあちゃんの交換が終わった。この人が本日の最高出玉だ。


金WOLFででなんと8万発も出していった。「皆さん、また来てくださいね!」


老人達は口々にありがとうと言いながら帰って行った。


「さあ!店を閉めるわよ!」


「了解です」


店を閉めて今日のデータをまとめる。


なんだかんだ言って俺は性格が悪い。


カルパス1つ400玉


ドリンク1つ2000玉


鯖缶とカレーは3000玉


と当初の50倍の交換玉数にしていたのだ。



売上が5万Gに対して交換したものが


カルパス 700個


ドリンク 60本


鯖缶   40個


カレー 30個



「24700G!余裕で黒だ」


「利益率は50で十分すぎるほどね…あとは売り上げを伸ばすわよ!」


初日は上々!これからが楽しみだ!

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