第7話ドラゴンと戦うことになるらしい
俺たちは山の頂上に転移した。転移して最初に目に入ったのは、黒い羽が生えた美しい少女が、赤い光を放つ鎖に縛られて、意識を失っている様子で、その鎖を辿っていくと、巨大な魔法陣が空中に描かれていた。
「な、なんだ!?」
山の頂上のあの不気味な赤い光はこれだったのか。
そしてその側では、シロが無惨に倒れていた。
「おいシロ! 何があった!?」
「ま、魔王様。来てくれたんですね。」
「あぁ、来たぞ!!」
「ぼ……僕の妹を、すくっ……て……」
シロはそれだけ言って気絶してしまった。
「リーズ!! シロに回復魔法を!!」
「はい!! 魔王様!!」
リーズはシロに駆け寄り、懸命にシロに対して回復魔法をかけ続けた。
「意味ねぇよ」
ダクロスの声だった。
「その魔法陣はなぁ、死神のエネルギーを原動力に国を滅ぼしたドラゴンである俺の力を封印するために、ユーシア帝國の人間が仕掛けたらしいからなぁ」
と言うことは、この魔法陣はシロにとっては毒のようなものなのか。通りでシロだけ頂上に行くにつれて弱っていたんだ。なら、この魔法陣を解けば。
「だがなぁ、これでいい」
な!?
「何故だ!? この魔法陣を解けば、シロも救われ、お前もドラゴンの力を取り戻すことができるのではないのか!?」
「いいんだよ。俺は別に人間を憎んで滅ぼしたわけじゃねぇ。これ以上自分の力で暴走して、無駄に人をぶっ殺しちまうのは気分が良くねぇだけだ!?」
ダクロスは続けた。
「それにここもそんなに暇じゃねぇんだ。別に一人じゃねぇからよぉ」
「どう言うことだ?」
「さぁな、ただ」
その身から黒いオーラを放ち始め、それを身体に鎧のように纏い、その闇の鎧は巨大な影のドラゴンを形作った。
「テメェらにはさっさとこの山から降りてもらう」
影のドラゴンはおぞましいほどの殺気をこちらに向ける。
「来るがいい!! この魔王に楯突く勇気があるのなら!!」
呼応するようにダクロスも答える。
「魔王だろうがなんだろうが、邪魔する奴はぶっ殺す!!!」
俺もダクロスと同じく闇のオーラをその拳に宿し、俺とダクロスはお互い全力で拳をぶつける。
こちらが力を上回り、ダクロスを向こうの岩まで吹っ飛ばした。
「チッ、流石にやりやがるなぁ! 魔王さんよぉー!!!!」
ダクロスは竜のように低く唸りながらこちらに向かってくる。
「貴様のその無礼な態度、立場がわかるまで叩き潰してくれる!!」
ダクロスは闇の爪で俺の腹をえぐりにくる。俺はそれをギリギリで避けながらその隙をついて氷の槍をあばらに突き刺す。
しかしダクロスは瞬時に竜の鱗を出現させ、俺の氷の槍を砕き、俺が一瞬態勢を崩した隙つき、ダクロスの拳の蓮撃が、俺の頭上に雨のように降り注ぎ、俺はそれを全て受けきり、隙を見て炎の魔法でダクロスを吹き飛ばす。
「そろそろ終わらせてやろう!!」
俺は街を吹き飛ばした時ほどの威力の火の玉を作り出し、それを全力で放ち、命中する。
ダクロスは闇のオーラで必死にその火の玉を防ぐ。
「くそ!? ぐおぁぁぁぁ!!!」
「待ってください!!!!!」
女の子の声がした。
俺はその声で反射的に放った魔法の魔力を消してしまう。
「おい!? なんでだノル姉!! こいつらは俺たちの生活を邪魔しにきたんだぜ!?」
ノル姉?
そこいたのは、今そこで魔法の鎖で繋がれているシロの妹だった。
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ダクロス、流石にもっといい名前があった気がする




