第5話受付嬢は仇を取りに来たらしい
死神編最後です
「なぜ、お前が?」
ギルドの受付嬢は、にっこり笑って返す。
「貴方が魔王だからですよ!」
「な、何故俺が魔王だと言うことを知っている!?」
すると彼女は腹を抱えて笑い出した。
「キャッキャッキャッ、いやーここまでくると魔王といえどお笑いものですねー!」
「なに!?」
「もうすでに人間側は魔王誕生に際して動き出してるって事ですよ」
な、何故だ。そんな様子一ミリも。
すると彼女は突然冷たい表情になった。
「そりゃ街を一つ破壊した魔王ですから、もう世界中が知ってますよ?」
馬鹿だった。異世界に来て浮かれていたのだ。異世界といえど現実だ。そうゲームのように上手くはいかないあまりにも馬鹿だった。
もう、人助けをするなんてことはできないのか。
「その街には私の弟もいた。」
「な、」
「だから私はどうしても魔王を倒したいんです」
そうだ。俺は今まで見ないフリをしていた。既に、大量に人を殺していることに。
しかし、何故だ?
何故か罪悪感が浮かんでこない。
「じゃあ、毎晩貴族が死んでいるのは一体どう言うことなんだ!!」
シロが叫ぶ。
「あぁ、魔王誕生の混乱に乗じて悪さしようとしてる貴族を殺してるんですよ。ただでさえ魔王が出てきて大変なのにこっち側でそんなことしてたら生き残れませんからね」
「そんな事のために、死神の名を利用したのか!?」
「はい、そうです。貴方のことを利用させていただきました。とても扱いやすいので!」
シロは何かに失望したようにスッと顔を落とした。
「貴方は一体、何物なのですか!?」
リーズが問い詰める。
「私はミリア、ユーシヤ帝国の影の暗殺部隊ってところですかね! ユーシヤ帝国に不利益を被る者を影で暗殺することが仕事です!!」
「ユーシア帝国!?」
リーズは驚くどころか動揺している。
「なんだ? ユーシヤ帝国とは」
リーズは震えた声で答える。
「ゆ、ユーシア帝国は、人間の国で一番大きな国です。」
リーズは一度震えた声を落ち着けて改めて喋り出した。
「ユーシア帝国は、自分たちの国の不利益になる者を、暗殺して成長していった国と言われています。その暗殺部隊の異常性と冷徹さから、氷の殺人集団と恐れられています。私の兄は、奴らの幹部に殺されました。」
リーズにそんな過去があったのか。なんで悲しい話なんだろう。
許せない
「なるほど、状況はわかった。だが、ミリア!! 貴様は俺を暗殺できない。何故なら俺は魔王、お前ごときが暗殺できる存在ではないからだ!!」
「ならやってみましょうか!!」
ミリアは何かを念じると、地面が突然凍りつき、その凍った地面から剣や弓を持った氷の兵隊を大量に造形した。
「さあ、行きなさい!! 氷の騎士たち!!」
氷の騎士たちは俺たちに向かって一斉に飛びかかる。
「お前が氷の魔法で人を殺すなら、俺はそれをさらに上からねじ伏せよう!!」
俺は氷の造形魔法を唱える。
この屋敷を全て覆うほどの氷の城が造形され、ミリアごと氷の兵士たちを飲み込む。ミリアは氷に飲み込まれながら憎しみの言葉を吐き続ける。
「魔王!! 必ず殺してやる!! 必ず私が、お前を殺してやる!!!!!!!」
殺人鬼ミリアは氷の城に閉じ込められた。
氷の中の彼女は、初めて会った優しい表情ではなく、憎悪に狂った憎しみの表情を浮かべていた。
◉
その後俺たちはすぐにこの街を脱出した。自分たちが魔王だとバレないために。
「魔王様、とうとうユーシア帝国が牙を剥いてきました。早く次の目的地に行きましょう。こうして四天王も二人集まったことですし」
「そうだな、ん?二体?」
「ん?二体?」
「はい、ね? シロさん」
「はい、そーですね!」
新しく仲間に加わったシロは、空中にぷかぷか浮きながら答える。
「二体て、まさか……リーズか? お前は四天王たりうる実力を持っているのか?」
「足りると思いますよ」
シロが答えた。いや、お前に聞いてないんだが。
「悪魔というのも、最上級の魔物ですから」
この世界では、悪魔というのは最上級の魔物なのか。ゲームでは結構ありふれている気がするが、この世界では違うらしい。
「それでは、行きましょう魔王様。あと二体の四天王を探しに!!」
「あぁ、そうだな」
「頑張りましょー、リーズさん!! 魔王様!!」
俺とリーズとシロはまた進み出した。残りの四天王を集めるために。
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