第3話死神が出るらしい
リーズと共に、魔王軍四天王探しの旅を始めて1週間。俺は今、とある街に来ている。
実はこの街では、最近死神が出るという噂があるらしい。
これはリーズに教えてもらったのだが、この世界での死神とは死を司る神であり、同時に魔物の中でも最上位の力を持つと言う伝説の魔物だそうだ。あまりこっちのいた世界とは変わらないな。
「ここが、あの有名な死神が出ると言われている街です。魔王様」
「そうか」
ちなみに、なぜ魔王の力があるくせに転移魔法とか使わなかったのかと言われると、やっぱり徒歩が冒険の醍醐味だからである。
正直歩くのは大変だが、リーズと二人で毎日野宿しながら目的地を目指すというのも悪くない。
「とりあえず変身の呪文をかけてくれ、やはりこの状態だと目立ってしまう」
「はい、魔王様」
リーズは愛想良く答えると、目をつぶって何かを想像し、俺とリーズはみるみる人間の姿に変化していく。
「申し訳ございません魔王様。人間の魔王様を想像するのに手間取り、1秒で済むところを20秒もかかってしまいました。
と言っているが、リーズは初めてあった時の金髪美人で、俺もツノと尻尾がなくなっただけなんだが。
「どうだ? リーズ!」
イケメンになった人間の顔をした俺の姿をこれでもかとリーズに見せつける。
「ええ、やはりとっても魔王様にお似合いの男らしい風格です! 人間の姿でも私惚れてしまうかもしれませんわ! うふふ」
元の俺がこの容姿の真反対の暗い感じだったと思うと悲しくなってくるが、もう考えないようにしておこう。
「とりあえず情報を集めるためにギルドに行くとしよう」
「はい!!」
◉
「死神ですか? ええ、ここ最近のこのまちでは有名ですよ。毎晩2時になると死神が、街の貴族の家にやってきて、その貴族を殺してしまうそうです。」
小柄で可愛らしい雰囲気をしたギルドの受付嬢は続けた。
「でも、大丈夫ですよ。殺されているのは悪い貴族ばかりなので、平民である我々は何も心配ありません!」
だいぶプラス思考な人だな。
しかし、こんな恐ろしい噂が出てるにも関わらず、街の人間が少しも減ってないのはそう言うことなのか?
「悪い貴族とは例えば?」
「はい、最近はルーワン伯爵が死神が邪魔な貴族を殺しているのをいいことに、何かを企んでいるようです。そこに行けば会えるかもしれません!」
「そのルーワンとやらの屋敷はどこにある?」
「街の中心部には東と西に巨大な勇者の木と呼ばれる木があるのですが、その東側の木のあたりにある赤色の屋根の家がルーワン様のなさ屋敷です。」
「了解だ。感謝する。」
俺はまだなれない喋り方でしっかり威勢を張る。
「あの、気をつけてくださいね。」
「あぁ、心配するな」
とりあえず深夜2時までは宿屋で休憩でもするか。
◉
深夜1時、俺とリーズは宿屋を出ていくと、早速ルーワンの家に向かって出発した。
ルーワンの家に着くと、かなりの数の衛兵がルーワンの屋敷を守っていた。
「死神騒ぎのせいか、やはりルーワンとか言う貴族は警戒しているようですね。魔王様」
「そうだな、きっと簡単には入れないだろうが、心身操作の魔法を使えば簡単に入れるだろう」
「結局簡単に入れるのですね、魔王様」
「あ……あぁ」
俺は人間の心を掴むようなイメージを浮かべ、魔法を発動した。
すると衛兵がぞろぞろと街の中心部に向かって帰っていった。
「よし、入るぞリーズ」
「はい!」
そして俺たちがルーワンの屋敷の中に入った瞬間。
「うわぁぁぁぁぁ!!!!!」
2階の部屋からの男の恐怖に囚われた悲鳴が、屋敷全体に響き渡った。
俺たちは急いで悲鳴が聞こえてきた部屋に行くと、そこにはルーワンらしき人が胸にナイフを刺されて倒れていた。
「おい、貴様何があった!!!」
「魔王様! そんな人間なんか気にしている場合ではありません! 何かきますわ!!」
俺はその言葉を聞き、即座に臨戦態勢を取る。
するとどこからか声が聞こえてきた。
「君たちか? 僕の名を語っている偽物は!!」
その声と同時に突然。漆黒の大きな翼と鎌を持った男が現れ、目にも止まらぬ速さで俺に向かってその大きな鎌を横から振り下ろした。
その鎌は俺の胸を貫いていた。
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