第2話どうやら俺は魔王らしい
「お待ちしておりました魔王様」
美しい桃色の肌の悪魔はそう言った。しかし俺はこの世界に必要とされて転生したのだ。俺が魔王なはずがない。むしろ勇者であるべきだ。取り敢えず会話をしよう。会話から情報を聞き出すんだ!RPGゲームの基本!
「えっと、名前なんて言うんですか?」
と、人見知りを発動させながら俺は目の前の女悪魔のに質問する。
「リーズでございます。」
「あ、えっと、リーズさん。鏡持ってたりする?」
するとリーズはどこからかワームホールのようなものを作り出し、そこから手鏡を取り出した。
「申し訳ございません。これほどの大きさのものしかご用意できませんでした」
やはり見たところこの世界では呪文の詠唱などは必要ないようだ。想像するだけで覚えている呪文は使えるらしい。
「ありがとう。 充分だよ」
俺は手鏡を受け取って自分の顔を確認した。
そこには元の俺とは似ても似つかない強面風のイケメン顔があり、しかし時折見せる大きな八重歯が、人のそれとは比較にならないほど鋭く、おまけに頭からツノが二本生えていた。
「ぎゃぁぁぁぁぉぁーーーー!!!!!!」
「魔王様! どうされましたか!?」
自分の顔が恐ろしくてつい発狂してしまった。
どんな感じかと言われれば、朝起きたら自分の顔がゾンビになっていた時と同じ心境だ。
「いや、なんでもないよ! うん」
どうやら本当に魔王に転生しているらしい。
俺は一回だけ使えると言われている神様との通信を使うことに決めた。俺は心の中で神様に語りかけた。
俺の恨みと憎しみを込めて。
(あの、神様。これは一体どーゆーことなのでございましょうか!?)
すると頭にあの忌々しい神の声が聞こえてくる。
(えー、言ったジャーン。この世界に君が必要だって!! この世界魔法あるくせに何もなくてつまんないからさ、魔王でも降臨させようと思って!! それでリーズちゃんに魔王がこの時間にここにくるよーって教えてあげた訳よ。)
「いや、教えてあげたの。 じゃないんだよ!!! ふっざっけんなよ!!!」
「魔王様!どうされたのですか?」
リーズの可愛らしくも鋭い悪魔の瞳が俺に心配の眼差しをむけてくる。
「いや、大丈夫だから。リーズは気にしないで!」
「はぁ」
リーズは少し不満そうだったが、俺は今それどころではなかった。
(あと、そっちの世界を更に盛り上げるために後で勇者を4人くらい転移させるから、それまでに世界を征服しといてねー!!)
え、勇者を転移させる?それ、俺大丈夫なのかな。後で退治されたりとかしない?
(それじゃ切るよー、こっちは勇者の異世界転移の作業で手一杯なんだから、じゃねー!)
(あ、ちょまっ)
そう言うと神は俺との通信を切った。俺がそのあと思ったことはたった一つだった。
いや、勇者じゃないんかいーーーーー!!!!!
とは言ったものの。正直世界征服とか言われても、元々勇者として過ごすつもりで来てたからそんな気はさらさら俺には無いわけだ。
「魔王様、これからどういたしましょう」
どういたしましょうって言われてもなぁ、せっかく異世界に来で勇者に退治されるのは絶対に嫌だし。まずは仲間を集める必要があるな。
「リーズ!」
「はっ」
「今から俺たちは、来るべき勇者に対抗するため、魔王軍の兵を集めるべく旅に出ようと思うが、異論はないか?」
「いえ、魔王様の仰せの通りに」
なんて素直なんだ。こんな美人な悪魔が今日から俺の言うことを聞いてくれるなんて。おっと、余計なことを考えてしまった。
「魔王軍設立にあたって、まず魔王軍四天王を集めようと思うが、俺はこの世界に来て日が浅い。神から聞いたかもしれないが」
「はい、存じております」
「やはりそうか、ならば魔王軍四天王を集めるため、なるべく強い魔物を仲間にしたいのだが、その魔物の元への案内を頼めるか?」
「はい、このリーズ。魔王様のための案内を、誠心誠意勤めさせていただく所存です」
あぁ、なんていい子なんだ。嫁に欲しい。
「そ、そうか。それでは、頼んだぞ!!」
「はい!! 魔王様!!」
こうして俺たちは、魔王軍四天王を探す旅に出た。
やっぱり異世界といえば冒険だよな。
この時の俺はきっと、ここがゲームの中とかと同じ感覚でいたのだろう。異世界という現実のこの世界を
次回は魔王たちがある町で死神と出会います。
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