第11話因縁の相手らしい
関所に関してはリーズの幻覚の魔法でなんとかなった。役人にクロがメンチきってやや揉め事になりそうになったがそこは置いておこう。
「へー、これはなかなか大きな街だなぁ」
シロが感心している。それもそうだ。この街は今まで見てきた街の中で一番大きい。この街を突っ切って早く次の目的地に行きたいところだが、なぜだろう違和感がある。
一見華やかに見える街なのだが、足に重りをつけた人たちがちらほら歩いているのだ。
「リーズ、この街はいったいどう言う街なのだ?」
「はい、この街の名はレイドです。昔から奴隷の売買や労働で潤っている街です。私も昔、ここで奴隷として働いていました。」
「リーズがか?」
「リズねぇ、」
クロが心配そうな顔をしている。
「お前がリーズさんのことを心配する必要はないんだよ!」
と、食い気味でいうシロ
「あぁ!?」
またこれか。正直もう見飽きた。
「おいリーズ、早くこの街から出る門の場所を教えてく……」
そこにリーズの姿はなかった。魔王である俺も、死神であるシロも、竜であるクロもそれに気づかなかった。
「リ、リーズちゃん?」
「おい魔王、なんだありゃあ!!」
リーズが元いた場所には氷の封筒に包まれた手紙が入っていた。
(魔王様、私はユーシア帝国の暗殺部隊をやっている物です。つきましては魔王様に取り引きをしたく手紙を差し出した所存です。明日朝0時この街で一番大きな大木の下にお越しください。来なければリーズがどうなるかわかりますね?)
脅迫だ。またユーシア帝国か。しかし何故こいつがリーズの名前を知っているのだろうか。いや、考えても仕方ない。
「なぁ、魔王様ヨォ。俺たち魔王軍だぜ?0時まで待ってやるほど優しくねぇよなぁ!?」
「あぁ、その通りだ」
「リーズちゃんを誘拐するとは、死神直々に殺してしまおう」
◉
「やぁリーズ、久しぶりだね。僕だよ、覚えてるかなぁ?」
そこには片目が潰れ、右足が義足のボロボロな男が手と足を魔道具で縛られ、拘束されたリーズの前に現れる。
「ライ、なんでここに……」
リーズの顔つきは街で歩いている暗い表情の奴隷のようになる。
「なんでって決まってるじゃないかぁ、魔王暗殺だよ僕の可愛い元奴隷のリーズちゃん?」