3話 道中
「本当に同じ景色ばかり広がっているわね…」
私は今、エントリーカントリーに向けて戦友、コウタ君と一緒に向かっている。私の今の心情は申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
「食料を調達しよう。丁度あそこに、牙猪が居るね。」
「私、武器持ってない…狩り、任せてもいい?本当に申し訳ないわ。」
今すぐ強くなりたい。そしてコウタ君に恩返しをしたい。私が強かったら…
「全然大丈夫だよ!一応、牙猪の牙を武器として扱っておいたら何とかなると思う。」
「そうするわ。」
「グルルルル…」
牙猪から白い殺気のこもった息が出ている。狙っているのはコウタ君。その瞬間、牙猪がコウタ君へ突進していった。
ドドドドドド…!
「喰らえ!セイヤァ!」
ズシャン!
「グルァ!?」
ドタッ……
「す、凄い…」
「このくらい序の口だよ。さあ、今から剥ぎ取るよ。」
「うん!」
コウタ君の剣裁きは私が瞬きした瞬間に牙猪を倒した。本当に強い。
「これが、牙猪の牙だよ。この牙は、獲物を一瞬で砕く位の鋭さがあるよ。結構使えるはずだ。」
「これで、私も戦えるのね。」
これで少しだけ冒険者に近づいた気がする。
「これが牙猪の肉だ。これはご馳走だよ。ありがたくいただこう。」
「凄く美味しそうだわ。でも、火がないわ。」
「大丈夫。ライター、持ってるから。」
「本当に助かるわ。」
多分、前世はコウタ君程優しくて頼りになる人は出会ってない。一生ついて行こうと決心した。
次回もお楽しみにお待ち下さい!