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バカな事を仰らないで!

場所を確保してくると言って一度会場から出るサロモン



会場を見渡すとピンクのリボンの塊が目に入った

「…あの方」

ぽそりと呟くと

「どうした?セレス」

ラルフに声を掛けられ

「いいえ、なんでも…」

「…あの子が何か?セレスの知り合いか何かなのか?」

「……真実の愛のお相手ですわね」

セレスティーヌが口籠る

「…あれが?か」

子爵令嬢を見て驚き固まるラルフ


「まだ、社交界に慣れていらっしゃらないだけですわ…今からきっと洗練され殿下の隣を並ぶ事になりますもの、元々可愛らしいお顔をされてらっしゃいますし…」

「セレスティーヌ…」

「だって真実の愛で結ばれるお二人ですのよ?」

「セレスは本当にそれで良いの?」

「はい、愛しあうお二人の邪魔をするつもりは一切ございません。寧ろ真に愛する相手を見つけられた殿下を尊敬しております」

「…そう言うものなのか?」

セレスティーヌを見るラルフ


「だって殿下の相手はわたくしではありませんもの、ですから、わたくしも愛する人を見つけたいと思って…」

ラルフを見ると笑っていた


「変わらないな…セレス、ちっちゃい頃も好きな人と結婚するって言っていたな…」

くすくすと笑うラルフ

「えっ!わたくしそんな事言っていましたか?恥かしい…」

両手で顔を隠すセレスティーヌ、耳まで赤くなっている

「言っていたよ、ねぇ、セレスティーヌ覚えている?あの時」

「お待たせ!用意ができた、さぁ、行こう」


サロモンがセレスティーヌの手を繋ごうとする

「やめて下さいまし」

「なぜ?」

「サロモン、無闇に女性に触れるな!クリスを呼んでくる、クリス立ち合いの元で話をしろ」



「あれからずっと君のことを考えている、私の元に戻ってきて欲しい」

「………………………」

「すぐにとは言わない!アニエスとは別れるよ」

「………………………」

「私がそばにいて欲しいのは君なんだよ」

「………………………」

「許してくれるのならばなんでもするから、頼む…この通りだ」

「………………………」

「セレスティーヌ、十年も一緒にいたじゃないか!君のことをもっと知りたいんだ」

「………………………」

「君の美しい白い肌も、微笑みも他の誰かに見られるなんてっ、耐えられない」

「………………………」

「君のことばかり考えてしまうんだ…バラ園を散歩した時を思い出したり、君の幼少時代は天使の如く可愛かった…好きなんだよ」



「……言いたいことは終わりましたか?」

「えっ?」

「会場にいる子爵令嬢をエスコートして差し上げて下さいまし」

「だからっ、君に戻ってきて欲しいんだよ、私がエスコートしたいのは君なんだよ!」

「はぁっ、真実の愛を語っていらした時の殿下は素敵だと思いましたのに…」

「えっ?」

「身分を超えて愛する人が出来たと仰った殿下は輝いておられました…」

「だから、」

「もう、結構です…」

「セレスティーヌ、どうした?」

「殿下の愛の軽さに嫌気が…」

「君を愛してるんだってば!」

「おやめください、愛をそんなに軽く見ないでくださいまし…」

「長い間温め過ぎただけだ!君と離れてやっと分かったんだ!」

「はぁっ?」

「…なんだ、その態度は!君はどうしたいんだよっ!」

「おっしゃる意味が分かりません…」

「婚約者に対する態度がそれか?!」

「もう赤の他人ですよ…」

「私は婚約解消の書類にサインなどしたくなかった!書いた後も()()()()考えて良いと言ったではないか!」

「殿下の真実の愛とはその様なものだったのですか…?」

「君との将来を考えているんだっ!」

「真実の愛を貫き通して下さいっ、わたくしの将来はわたくしが決めますので…」

「謝っているだろうが!」

「殿下、どうぞお幸せに…愛の力お見せくださいませね、わたくしの存在が邪魔でしたら領地にでも篭りますので、ご安心を」

「なぜ、そうなる!」

「愛する人は子爵令嬢のアニエス様です…」

「気の迷いだった!気分を害したのなら謝る、一生をかけて償うから!!戻ってきてくれと言っている!!!」

「お話になりません…わたくしは…そんな殿下を軽蔑してしまいますわ…」

「はぁ?!」

「失礼します!お兄様もう帰りたい…」




壁に寄りかかり終始黙って見ていたクリストファーが呆れた顔でサロモンを見て


「セレスティーヌ、帰ろうしばらく学園は休んで良い、両親には私から言っておく…サロモン殿下、御前失礼しますね」



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