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7/22

未だかつてない緊張感…

馬車を降り、夜会の会場へと到着する

キラキラと眩しい王宮への入り口で立ち止まってしまう


「どうした?セレス…」

兄のクリストファーが心配そうな目つきでこちらを見てくる


「両陛下やエドワール王太子殿下に会うのが心が苦しいのです…わたくしが至らないばかりに」


「バカだなセレス、堂々としていれば良いんだよ…美しい妹を自慢するのが私の楽しみなのに…ファーストダンスをセレスと踊るのが楽しみなんだよ?私の楽しみを奪うつもりなのか?」

優しく微笑みかけるクリストファーに感謝を述べ少しだけ気持ちが軽くなる


「お兄様ありがとうございます」

「行こうか?嫌になったらすぐに声を掛けて、無理することはないんだ」

「はい」

ほっとした…嫌なら帰っていい。

その一言がセレスティーヌの心を楽にした


会場に入るとすでにたくさんの人が集まっていた。

視線が痛いのではないだろうか…と思っていたが皆が優しい目をしていた。


「大丈夫だよ、みんなセレスティーヌが身を引いた事を知っているが、悪く思ってないよ」

こそっと耳元でクリストファーに言われる

「ね、堂々としていれば良いんだ」

こくんと頷くセレスティーヌ


クリストファーに声を掛けてくる知人との話を聞いたり紹介されたりと、両陛下が登場するまでの時間は忙しなく過ぎた

ようやく、王太子殿下、両陛下が登場となる。いつもならサロモンと一緒に登場していた自分は今ここに居る、不思議な感覚である

あれ?殿下がいない…

不思議に思い兄の顔を見ると、兄も分からないと言った顔つきだった

その後外国から帰ってきた王弟殿下の紹介があり、乾杯をしてパーティーの始まりとなった


兄とファーストダンスを踊る。

いつもはサロモンと踊っていたので不思議な感覚だったが兄とのダンスは楽しかった。

その後色んな男性からダンスのお誘いがあったが、兄が断ってくれた。頼りになる


「クリス!」

声を掛けられ兄と振り向くと王弟殿下だった

「やぁラルフ久しぶりだな!しばらく見ないうちに容姿が変わって紹介がなかったら分からなかったかもしれない…」

兄が気さくに話をする。幼少の頃よりの幼馴染である。

「まぁな、久しぶりだから…もしかして隣にいるのは…セレスか?」

「そうだよ、セレスと会うのは何年ぶりだ?セレス、ラルフに挨拶をしなさい」

「はい、王弟殿下お久しぶりでございます。セレスティーヌでございます」

淑女の礼をする

「なんだ…びっくりしたよ、美しくなったな」

「ふふふ、またご冗談を…」

「いや、昔から可愛かったがこんなに成長しているとは…」

口に手を当て言葉を失うラルフ

「お上手です事…」

照れて顔がピンクに染まるセレスティーヌ

「エスコート役はいないのか?」

キョロキョロと周りを見渡すラルフ

「私がセレスティーヌのエスコート役だよ」

「サロモンはどうした?」

帰ってきたばかりのラルフは知らなかった。

クリストファーが、かくかくしかじかと話を始める。

居ても立っても居られない…

「お兄様、帰ってきたばかりの王弟殿下にその様な事を…」

消えそうな声でクリストファーを止める


「セレス、それではダンスに誘っても良いかな…?」

ラルフに誘われクリストファーを見ると

「嫌じゃないなら良いんじゃない?久しぶりだろう?」

「はい」

と言ってラルフの手を取る


ラルフとのダンスはとても楽しかった。

最後に会ってから何年も経つのに覚えていてくれたんだと嬉しくなった。


楽しかったダンスも一曲を踊り切った。

「何か飲もうか?」

「はい」

ドリンクを持って二人でテラスで話をした

とても楽しい時間だった。

また会いたいと言われ躊躇したが兄と遊びにおいでと言われて了承した


会場に戻るとサロモンがセレスティーヌを探していると言うから意味が分からない

本日の主役と一緒にいるところにサロモンが早足で向かってきた 

 

「セレスティーヌ探していた」

無言でサロモンを見るセレスティーヌ


「セレスティーヌ!なんだそのドレスは?露出しすぎだろう!」

無言でサロモンを見るセレスティーヌ


「いや、とても素敵なドレスで似合っているんだが、そんなドレスを見たことがなくて、つい…話があるんだ、来て欲しい」

グイッと腕を掴まれつい腰が引けてしまう


「サロモン、聞いた話によるとセレスティーヌとの婚約は白紙になったと聞いているんだが…」

ラルフがセレスティーヌからサロモンの腕を離し隣に並んでくれた

「叔父上…その事で話がしたいんですよ」


「二人ではダメだ!婚約者でもない二人が何を話すと言うんだ…」

「いえ、しかし、」

「セレスティーヌ、君はどうしたいの?」

ラルフに聞かれ

「お話しすることはございません、わたくしは失礼します」

ペコリと頭を下げて立ち去ろうとする

「二人でなくてもいい話をさせてくれ頼むっ」

必死の形相で言われ、周りの目も気になり渋々了承する事となった


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