二回目のファーストキス
「セレスティーヌ!」
「ラルフ様…申し訳ありませんドレスが……」
泣きそうな顔をするセレスティーヌ
「そんな物どうでも良い!」
肩を抱かれてハンカチを渡される
「セレスティーヌ!」
サロモンが現れる
「なんだ?一体何が……あった、アニエス?」
アニエスは衛兵に腕を掴まれている
「サロモン殿下、こちらのお嬢さんが酒に酔いセレスティーヌ様のドレスに飲み物を掛けまして……」
「なんだって!アニエスなぜその様な事を!」
「サロモンお前はそこの令嬢としっかり話をするように……分かったな?」
ラルフに睨まれるサロモン
「なぜ叔父上がセレスティーヌと……」
「くどいな、セレスティーヌの名を気安く呼ぶな、お前の相手はそこの令嬢だろう」
「いや、しかし、セレスティーヌ話を、」
「サロモンも連れて行け」
「「はっ!」」
衛兵にサロモンとアニエスが連れて行かれた
「皆すまない、パーティーの続きを楽しんでくれ、騒がせたお詫びに、今日は私が外国で買い付けた珍しい酒を振る舞うことにしよう」
侍従に言いつけ、10分足らずで用意された珍しい酒に皆が喜ぶ
別室ではセレスティーヌがショックのあまりに泣いていた
「せっかくラルフ様からプレゼントしていただいたのに……」
「またプレゼントするよ」
「嬉しかったの、素敵なドレスをプレゼントして貰ったのに…」
「セレスティーヌ……」
「ラルフ様と一緒に来られて浮かれていたの、いつもはこんな事にならないのに」
「セレスティーヌ、それは……」
セレスティーヌの手を取りじっと顔を見る
「ラルフ様が会いにきてくださってから、ずっとラルフ様の事を考えて……手紙にも書いた通り嬉しくて早く会いたくて……」
「ねぇ、セレスティーヌ、この前の返事を聞いても良い?」
「大事な約束を忘れる様なわたくしでも良いの?」
「思い出してくれただろう? ちゃんとおかえりって言ってくれた」
「わたくしで良いの?」
「ずっとセレスティーヌの事が好きだった。会えない時は早く愛を囁きたいと思っていた。思っていたより長く留守にしてしまったが、やっと言える」
セレスティーヌの元に跪き
「セレスティーヌ君を愛している、私と婚約して下さい」
そっと手を取られる
「……はい、お受けします」
ホッとするラルフ
立ち上がりセレスティーヌの頬にキスをする。恥ずかしくて顔を赤くするが、嬉しくて涙が出る。
「ラルフ様、わたくし好きな人と結婚するって幼い頃に言っていたでしょ?」
「そうだね、言っていた」
「ラルフ様の事だったのね……殿下と婚約していた時に何か引っかかっていたのって……」
「私の事を忘れていたひどい女の話か……」
くすくすと笑い出すラルフ
「そ、それを言われると……」
「いや、良いよ、私の真実の愛の相手はセレスティーヌなんだ…。受け止めてくれる?」
「うん」
「重いよ、私の愛は……長い間会ってもないのに蓄積されていたんだけど……」
「うん」
「そうか……卒業したらすぐ結婚したいんだけど……」
「うん」
「アルナンディ公爵夫人になってくれる?」
「うん」
「そうか……もう浮気はしないでくれ」
「……う、うん」
チュッと口に触れるだけのキスをされた。
二回目のファーストキスだった。
「こんな事聞くの嫌なんだけど、サロモンともキスした?」
「ない!」
キッパリと答えるセレスティーヌ
「………安心した」




