8話 光の神殿
ショウスケに案内されてトウキがやってきたのは、光の神殿だった。
龍のような強大な存在感は全く感じず、神官が慌ただしく動く気配だけがその場を包んでいた。
「なぁ、ショウスケ。前に来た時も、こんな感じだったのか?」
そう聞いたトウキに、ショウスケは驚きながら答える。
「いえ…ここまで存在感の低い神殿は初めてです。そもそも、神官の方々がこんなに動き回っていること自体が異常ですから…」
「ちなみに、前回来たのは…?」
その問いに、ショウスケは即答する。
「20年ほど前です。10年に一度、神龍様に貢物をする風習ですから」
「そうか…」
相槌を打ちつつ、トウキは思案する。
(つまり、神龍そのものの存在感が強かった…ってことか?『感知』ってヤツの使い方も分からねーし、どう発動すればいいんだ)
「よし、帰るか」
トウキのその言葉に、ショウスケは驚いた。
「もう、ですか?目的は何だったのですか?」
「目的、か。強いて言うなら『神龍感知』の使い方を知ること、かな。結局分からなかったけど」
その話に、ショウスケは驚愕の顔を浮かべた。
「し、『神龍感知』!?…3世界の中でも持つ者が10人いるか分からない、稀少能力ですよ…!?
…ですが、《調停者》なら納得です。神龍様を探すのですからね…」
「じゃ、帰ろうか。そろそろ他の《調停者》の情報も来てるだろうからな」
「はい、そうですね」
「神龍感知」はもともと神龍の固有能力で、
時代が進むにつれて最高神級(ゼウス級)の高能力の者が身に付けました。
クロノスの言う「何かが違う」というのはそのことかもしれませんね。