5話 魔物との出会い
トウキは進む。どこへ行くのかも知らず。
「そもそも、ここはどこだ?」
クロノスからの荷物に入っていた地図を見ながら、トウキは呟いた。
神龍を知らないことで、神龍の痕跡も分からない。何もすることが無いのだ。
それに、数日前から付けられている感覚を感じていた。
(さて、そろそろ頃合いかな)
「おい、付けてきてる奴、俺に何の用だ?」
草陰がガサガサと動き、緑色の肌をした人型の魔物が姿を現した。
「俺に何の用だ?」
「…貴方は人間、か?」
その魔物は恐る恐る聞いてきた。
「あぁ、そうだ」
トウキが答えると、その魔物は跪いて
「その力を見込み、一つお願いがあるのです」
と言った。その魔物が言うには、
神龍の消失により、魔物の上位種が凶暴化しているらしい。さらにその魔物…小鬼族は弱小種で、今までギリギリ生き抜けたが、数が3分の1未満になってしまったそうだ。
「我らの村を、守護してくだされ」
コリンと名乗った小鬼族は、平伏して頼み込んできた。
(助けたいけど…他の調停者はどうする?)
「助けたいが…俺にも仕事がある。探し物もある。残念だけど、ここには留まれない」
「…その仕事とは、なんなのでしょうか」
「俺もよく知らないのだがな。調停者って奴になって、神龍を探…」
トウキが言い終わらぬうちに、コリンは興奮した様子で提案をしてきた。
「かの伝説の調停者の方でしたか!だったら簡単な話です。我が村は光・闇の神龍の神殿に近いのです。是非とも、拠点として活用くださいませ!」
それを聞き、トウキは困惑した。
(伝説の!?軽く引き受けたけど、調停者ってかなり有名な役職なのか…?)
「なぁ、コリン。その『伝説』、詳しく教えてくれないか?」
「かしこまりました…」
そうしてコリンは、ひとつの物語…伝説を語り始めた。
「伝説」は、次回まるまる一話使ってコリンに語らせます。
しばらくお待ちください。
今回出てくる「小鬼族」は、
いわゆる「ゴブリン」です。