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5 護衛2



 高そうな3人掛けのソファの真ん中で、俺はふんぞり返って座っていた。のどが渇いたと思えば、机に置いてある俺の茶を、右隣に座っている美少女ヘレーナが手に取って差し出してきた。


「どうぞ、セイト様。」

「ありがとう、ヘレーナ。」

 のどを潤せば、今度は菓子が食べたくなった。すると、今度は左隣の少女が、机にあるクッキーを手に取って、俺に差し出しす。


「どうぞ、お食べください。」

 この世界に多い金髪に緑の瞳の愛らしい少女。俺は、その少女が持つクッキーをそのまま食べた。すると、軽く少女の指に唇が当たる。


「せ、聖なるお方!」

 ん?

 俺は、顔を真っ赤にした少女をよく見た。穴が開くほど見て、首を傾げる。


「君は誰?」

「お戯れはおやめください!俺は、アムレットです。」

 唐突に、少女の声が低くなる。姿がぐにゃりと歪んで、気づけば俺の護衛となったアムレットという男の姿になった。


「ひっ!は、ヘレーナ!」

 驚いて、俺は情けない声を出してヘレーナにしがみついた。柔らかい感触を感じるかと思えば、固い。あれ?


「お前にレナはやらん!」

 見下ろしてきたのは赤い瞳で、ヘレーナではなく、俺に言いがかりをつけた男に俺はしがみついていた。


「な、なんだこりゃーーー!?」


 叫んで起き上がれば、俺は見知らぬベッドの上にいた。

 夢オチというやつだ。俺は、城の中に用意された俺の部屋の寝室にいた。寝室も先ほどいた部屋も大きさは変わらないが、用途が違うため置いてある家具は全く違う。

 まずは、この俺が3人横に並んで眠っても余裕のあるベッド。それから、衣装棚とか本棚とか、ちょっとした机と椅子なんかが置いてある。


 それにしても、悪夢だった。何が悲しくて、男どもに囲まれて生活しなきゃなんねーだ。俺が欲しいのは、女性のハーレムだ!男はお呼びじゃない!

 そんなことを考えていると、扉の先のさらに先だろうか?そちらの方が騒がしくなった。


 今は真夜中。騒がしくなるということは、あまりよくないことが起きたということだ。俺は、状況を聞くためにベッドから出る。


「気にしなくていいと思うよ。」

「っ!?」

 唐突に聞こえた声に、俺はベッドから落ちた。

 今、子供の声が・・・


 霊・・・


「ひっ!?」

「そんな怯えないでよ。僕は君の護衛・・・影だよ。さっき聞いたでしょ?」

 姿の見えない子供?がさらに語り掛けてきて、俺はその内容を聞いて落ち着きを取り戻し、ベッドに戻った。


「お、驚かさないでくれ。俺は幽霊とかそういうのが苦手なんだ。」

「そっか・・・なら。」

 ベッドが揺れる。唐突に、俺の前に黒い影が現れた。俺より少し小柄のだが、男の影のように感じる。


「初めまして、僕はハーニス。好きなように呼んでくれていいよ、ごしゅ・・・セイト。」

「・・・ハーニスね・・・だったら、ハニーって呼ぼうかな?」

 怖さを紛らわせるために冗談を言ったが、ハーニスは笑うことなく了承して、俺に飛び掛かってきた。俺は、唐突のことに驚いて、されるがままベッドに押し倒される。


「な、え?」

「君のハニーだからね。怖がりの君のために、一緒に寝てあげるよ。」

「・・・いや、そういうのは・・・」

 そういうのはいいからと言おうとして、俺は気が付いた。男と寝るのはごめんだが、俺はまだハーニスをしっかりと見ていない。ちょっと小柄だったし、声も男らしくない高い声だ。もしかして、もしかしたら!?


 ごくり。


「は、ハーニスって、男か?」

「えー・・・ハニーって呼んでよ、セ・イ・ト。」

 熱を含んだ声で、俺の耳に熱い吐息をかけるハーネスに、俺の期待は膨らんだ。

 もしかして、ハーニスは俺のことを?


「ハニー・・・」

「ふふっ、よくできました。セイト、僕のことが知りたいんだよね?なら、全部教えてあげるよ。」

「あ、はっ・・・」

 俺より小さく感じる手が俺の手を掴む。俺は掴まれて誘導されるまま、ハーニスの服の中へと手を入れた。


「セイト、僕のこと知りたい?知りたいなら・・・ここからは自分で、ね?」

「・・・あ、あぁ!」

 女の子にここまでされて、手を止めるなんて男じゃない!隅々まで知り尽くそう、ハーニスのことを。


 俺は、ハーニスのシャツの下から入れた手を動かして、ハーニスに触れる。温かくて、柔らかい、なめらかな肌。


「んっ・・・」

「・・・ハニー・・・」

「ごめん、くすぐったくて・・・声が抑えられないよ。」

 ハーニスは少し震えて、こちらを見上げる。

 ちょうど月の光が当たり始めて、ハーニスの潤んだ青い瞳と目が合った。口元を抑えて、顔を赤くしている。可愛い。


 俺は、そのまま手を上へと・・・胸の方まで入れて、固まった。


「ぷふっ!」

「・・・おい、ハーニス!」

「ぷっはははは!いや、ごめん。ぷっ。君だいぶ怖がってたからさ、ぷ。悪気はなかったよ?」

 ハーニスの胸は、なかった。一瞬俺は、つるぺたなのかと思ったが、ハーニスの笑い声を聞いて、こいつが男だということに気づいた。


 震えて、涙目で、顔を赤くしてたのって・・・笑いをこらえていただけかよ!


「さて、からかうのはこれくらいにしとくかな。もう、外の騒ぎも収まったみたいだし。君も、早く寝なよ。」

「やっぱ、楽しんでいただけじゃねーか・・・」

「ごめんって。それじゃ、おやすみ、セイト。」

 ハーニスは、現れた時と同じで唐突に俺の前から消えた。俺の幻だったのかと錯覚するが、ハーニスがいたところはまだ温かみが残っている。


 本当は、幽霊でしたってオチじゃねーよな?いや、あったかいし・・・人間だよな、うん。


 怖くなった俺は、頭まで掛布団をかけて眠った。

 騒ぎが収まって静まり返っていたので、俺はそのまま朝まで起きずに眠ることができた。





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