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2 聖女召喚だった



 ここ、神殿かな?

 みんな神官みたいな服装だし。ま、神官なんて見たことないけど、白くてゆったりした服装、しかも美形とくれば神官だろう。

 俺の目の前に立つ男は、金髪に紫の瞳の美形で、最初は戸惑った様子だったがすぐに持ち直して俺に笑顔を向けている。対して、俺から少し離れた場所で、俺と男を囲うように立っているその他大勢は、いまだに動揺している様子だった。


 とにかく、神様ありがとう!

 俺、ここで絶対に幸せになるわ。あ、でもお礼を言うのは早いか。もしかしたら、悪い国に召喚されたかもしれないし。

 どうせなら、事前説明をしてくれればいいのに、神様もわかってないな。


 とりあえず、現状は・・・神殿らしき場所で、俺は召喚によって異世界転移したらしい。これから、この目の前の美形から説明を受けるのだろう。


「初めまして、私はエルズム・・・司祭をやっております。お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」

「・・・」

 名前か。ここで正直に答えても大丈夫なのか?わからないから、とりあえず本名は伏せておくか。相手が名前だけ名乗ったことだし、俺も名前だけでいいだろう。


「セイトです。今の状況を説明してもらってもいいですか?どうやら召喚されたようだというのはわかりますが。」

「はい、それはもちろん。セイト様のおっしゃる通り、あなた様を召喚させていただきました。ですが、少し手違いが起きてしまったようで・・・一応確認させていただきますが、あなた様は男性でいらっしゃいますよね?」

「は?・・・俺が女子に見えますか?」

「いいえ。失礼いたしました。」

 一体どういうことだろうと首をかしげる俺に、エルズムは立ち話もなんですからと、ソファのある部屋へと俺を案内した。


 部屋には、俺とエルズムだけが入り、俺たちについてきた2人は、扉の前で別れた。護衛か何かなのだろう。


「こちらを立てていただいて、ありがとうございます。あの場で言いたいことも聞きたいこともあったでしょうに・・・」

「まぁ・・・ですけど、ここでなら話してくれるんですよね?」

「はい。私にもわからないことがありますが・・・とりあえず、あなたを召喚するに至った経緯をお話しします。」

「・・・」

「実は、この国では2年前に禁書の発動によって、滅びの危機に陥りました。幸い、国が亡びる前に禁書を止めることができたのですが・・・」

「待ってくれ。禁書ってなん・・・ですか?」

 禁書の発動によって、国が滅びそうになった・・・ということから、不思議な力、魔法なんかがその本に封印されているのだろうが、詳しく聞くことにした。


「使用を禁止された魔法書です。実は、当初その書は存在すら知られていないものでしたので、厳密にいうと禁書ではありませんでした。のちに禁書に指定されています。」

「魔法書・・・この世界は、魔法が使えるのですか?」

「えぇ。魔法については、後で詳しくお話ししましょう。とにかく、禁書に指定されるものは、特別危険な取り扱いに注意が必要な代物なので、使用を禁じられています。」

 そんなものを使ってしまった馬鹿がいたんだな。


禁書を止めることができたんなら、俺に禁書を止めて欲しいというわけではないだろう。なら、俺は何で呼ばれたんだ?


「滅亡は免れた我が国ですが、禁書の影響は大きく国は衰退しました。禁書によって多くの命が失われ、それだけでなく土地までやせ細ってしまったのです。」

「・・・」

 一体、どんな効果がある禁書なんだろう?

 後から聞いた話だが、この禁書は「アナフタツの書」と呼ばれる、七禁書「喰らいの書」を模倣したものだと聞いた。七禁書は、禁書の中でも特に危険な書で、発動すれば国の存亡にまで関わると言われているらしい。

 問題の禁書「アナフタツの書」だが、魔力を吸い取る書で、製作者は人間からのみ魔力を奪うと考えていたが、後に土地からも魔力を奪っていたらしいことが分かったそうだ。

 その影響で、土地が痩せ、実りを期待できなくなったらしい。


「そこで、私たちは土地を元通りにするための方法を調べました。わかったのは、土地には魔力が必要だということ。早速私たちは、各地に使い手を派遣し魔力を土地に与えました。しかし、いくら与えても人間の魔力などたかが知れています。目に見えての回復は致しませんでした。」

「使い手っていうのは、魔法を使える者のことですか?」

「はい。魔法を使え、なおかつ得意な属性を持つ者を、使い手と呼びます。属性もいろいろありますが、例えば火の魔法が得意なら、火の使い手。光なら、光の使い手と呼びます。魔法を使える者は多くいますが、使い手となれば少なく、貴族がなるものです。貴族の中では珍しくありませんが、全体的に見れば使い手は少ないのです。」

 使い手か。俺は何の使い手だろう?

 光の使い手とかいいよな。勇者っぽくて。あ、俺勇者か。召喚されたんだし。


 そういえば、チートは何をくれたんだろう?魔法全属性の使い手とか?夢があるな~後で魔法適正を見てもらおう。見てもらってわかるものなのかは、わからないけど。


「私たち使い手だけでは限界があると感じ、別の方法を模索しました。そして、見つけたのは・・・禁書でした。」

「え・・・まさか、その禁書って・・・」

「あなた様を召喚したのは、その禁書です。その書は、七禁書と呼ばれる禁書の中でも特に危険な書のひとつで・・・「奪いの書」と呼ばれるものです。」

「禁書の中でも特に危険って・・・そんなものを使ったんですか?」

「はい。許されないことだとは思います。ですが、「奪いの書」は他とは違って、別の意味で七禁書に指定されています。なので、使用することを許可されたのです。」

 禁書は、危険だから・・・使用を禁止されているんだよな?


「他の七禁書、禁書は、発動自体に危険が伴います。しかし、奪いの書は発動するだけでは、危険はありません。膨大な魔力を消費するというだけで、命が必要などというものでもありませんので。」

 それはよかった。俺が異世界に来たために、死んだ者がいる・・・なんていわれたら気分が悪いもんな。


「この書は、聖女を召喚するというものです。そして、その聖女が国を亡ぼすほどの力のある者、つまり聖女次第では危険ということで、七禁書に指定されました。」

 召喚されたもの次第・・・確かにそうだよな・・・って。


「あの、今なんて?」

「・・・聖女を召喚する書なのですよ、奪いの書は。なので、聖女様がいらっしゃると・・・女性の方が召喚されると思っておりました。」

 マジか。俺、勇者じゃなくて聖女として召喚されたのか。


「だ、だけど・・・女の子である必要は、ないですよね?別に、男でも、俺でも問題ないですよね?」

「はい。別に誰かと結婚してほしいだとか、そういう目的ではないので・・・要するに、この国の土地を潤していただければ、誰であろうとかまわないと私は思います。」

「そうですか。」

「ただ、納得のいかない方はいらっしゃるでしょうが。聖女様を召喚するということで、そのように準備はされているはずですから。セイト様にとっても、不便に感じる部分はあるかと思いますが、どうか少しの間我慢していただけますか?」

「わかりました。」

 待ちわびた異世界に来たんだ、多少の我慢くらいはできる。それに、この様子だと衣食住と安全は保障してくれそうだ。

 俺は、土地に魔力を与えて、この国を救えばいいんだ。


 あれ、魔王討伐とかで呼び出される勇者より、こっちのほうが良くないか?

 ラッキー。




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