スカベンジャー作戦3
1946年6月21日 小笠原沖
「対空戦闘よーい!」
艦隊中にラッパ音が鳴り響く。それと同時に船員は一斉に持ち場につく。
宇垣大将と艦長の松本少将は敵機が来る方向を睨んでいた。
「本当にこの艦は200機近い敵機からの空襲も耐えられるのだろうか?」
「大丈夫ですよ。爆弾なら大したことありませんし、魚雷でも10や20は問題ではありません」
昨日までの威勢が消えた宇垣を松本がなだめていた。
「しかし一艦に集中されたらまずいのではないかね?」
「魚雷の命中率は数パーセント。滅多に当たりません」
「ならいいのだが・・・」
宇垣が杞憂するのも無理はない。
大和型なら撃沈確定クラスの敵機が襲ってきているのだ。
「敵機を目視確認!」
遂に小笠原沖海戦の火ぶたがおとされた。
同日 小笠原沖
ジョンソン大尉率いる雷撃隊は第二艦隊の目前まで迫っていた。
「ジョンソン大尉!相手は戦艦5隻の大艦隊ですぜ!」
「ジャップ共は間抜けだな。空母なしで直掩機ゼロだ!餌以外の何物でもない」
「当てたら一杯おごってくださいね!」
「ああ、いいだろう」
他愛のない会話を繰り広げていると第二艦隊が視界に現れた。
現れた瞬間、ジョンソンは自らの目を疑った。
あまりにも敵艦が大きすぎる!
そう思った瞬間に彼らの編隊に猛烈な対空砲火が浴びせられる。
そして三式弾でまわりに大輪の紅蓮の花が広がる。
「散会しろ!花火弾だ!」
ジョンソン大尉は無線で注意して散会する。
すると近くで対空砲弾が炸裂し、機体に複数の穴をあける。
しかし致命傷にはなりえない。
「糞!ジャップめ!味方20機がやられちまった!」
たしかに編隊は20機近い損害を受けていた。
砲弾に直撃した機、至近弾で破損して墜落した機、
水柱に引っ掛けられた機など様々だ。
しかしまだ180機以上の機が残っている。
そして編隊は徐々に距離を詰めていく。
「よし。魚雷投下よーい!」
旗艦と思われる大型戦艦に目を付けたジョンソン大尉機ら10機は一斉に魚雷を投下した。
「よーし命中コースだ!」
確かに10本中、3本が大型戦艦、尾張に向かって走っていた。




