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旧想像世界  作者:
7/13

請負人の白天恵瑠 ①

 清爽の森。この森はその名の通りさわやかな雰囲気が漂う森である。

前にも説明したと思うが、ここには恵瑠が暮らしている。恵瑠はいつも起きるのが遅いのである。とはいっても、いつも遅いという訳ではない。たまに8時に起きることもある。まあ、それはさておき、恵瑠は朝起きて支度を終わらせた後、週に6回は森の外に出かける。

 今日はリトル街に行くようだ。清爽の森を出て北へまっすぐ進むとリトル街に着く。このリトル街、名前の通りとても小さい町なのだが、必要最低限の施設や店、住宅があるうえ、凄腕の鍛冶師が店を構えて暮らしていると言って、街の外から来たというものもたまにいる。

 で、恵瑠がリトル街にいく理由は仕事をしに行くためだ。恵瑠は「請負人(うけおいにん)」といって、いろんな人の依頼を受けてはその依頼をこなすのだ。どんな依頼を受けるかというと、一番多いのが素材を取りに行く以来だ。それ以外では妖や魔物の退治など、幅広くやっている。リトル街では「請負人の白天恵瑠」という名で通るほどだ。たまに陰陽の里やマジョノ町に行くときもある。おや、さっそく依頼人を見つけたようだ。

「子供がねぇ、龍の丘から流れている川で遊んでいるときに落とし物をしちゃったみたいでねぇ。」

今回の依頼人は子持ちの女性らしい。

「どんなものを落としたのかわかりますか?」

「え~~~~っと・・・・・、確か、大事なブレスレットを落としちゃったとか言ってたようなきがするわ。」

「どんなものかわかりますか?」

「それが、わからないの。見せてって言っても見せてくれないから。」

「そうですか。では、それっぽいものを見つけたら持ってきます。」

「ええ、難しいと思うけど、お願いしますね。」

「はい。」

恵瑠は女性から話を聞き終えるとさっそく陰陽の里の東にある龍の丘へ向かった。

 龍の丘の上から、すごい勢いで滝が流れていた。そこから下流の方へ行き、流れが緩いところから川の中や周りを調べていった。

12時になると、家に戻り昼飯をすまし、別の依頼の素材を依頼主にもっていってからまたブレスレット探しを再開した。街一つに名が通ると依頼人が増えて忙しくなる。子連れの依頼主は一週間後に報告に行く約束をしている。恵瑠は大分長く待たせることになるため、この一週間以内で見つけ出したいと思っていた。

 こんな感じで五日間探したが、見つからなかった。残るは上流の流れが激しいところと川の最終地点であるひょうたん湖のみ。ひょうたん湖を探すが、ここになかったら上流の方を探すことになる。ここにあって欲しい。

探していると何やら別の気配があった。水面をじぃーーーーっと見つめると、うっすらと、水の中で何かが動く影が見えた。すると、

「嬢ちゃん、ワイのことそんなじろじろ見とってどないしたんや。」

「ふぁぁ!?」

水の中にいた生物が浮かび上がってきた。緑色の肌に頭には皿のようなものが。

「かっ、かぱ、河童?」

「せやで、ワイはこのひょうたん湖に住む河童や。」

河童は基本人間の前に現れるような妖じゃないため、目撃情報があまりないのだ。

恵瑠は、河童って人の言葉はなせるんだなんて考えていると、自分の目的を思い出し、河童に問いかけた。

「ねぇ、この辺でブレスレット見なかった?子供が川で落としちゃったみたいでさぁ。」

「んん?これのことか?」

そう言った河童は左腕を恵瑠に見せた。河童の左腕には水色のブレスレットがつけてあった。きっとこれだろう。

「川で泳いでたら拾ってよぉ。」

どうりで川で見つからないわけだ。

「ありがとう。」

「はぁ?ありがとう?」

「え?」

恵瑠は首を傾げた。

「えっと、ブレスレットを」

「返すなんで言っておらへんでぇ!」

「えぇ!」


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