マジョノ町 ①
ここは、マジョノ町、のすぐ近くの名のない森。ここは、デーモンと呼ばれる妖、そして、奥のレンガの家に一人の魔女、ミアが暮らしていた。彼女がこの森に住み着いた理由は、機会があった時に述べる。
ミアは、長い間魔女になっていたため、魔法は素人を大幅に超えていた。え、素人も魔法が使えるのかって?ごくまれに魔力を少しだけ持った人間がいる。だが、所詮、素人はどう頑張っても素人。どの人間も、魔法を使えるようになりたいならば、魔女になって、膨大な魔力を手に入れなければならない。だが、そうすれば魔法が使えるのかと言っても、なかなかイエスとは言えない。やっぱり、師から教わらないと。
ミアの師はマジョノ町に住んでいるので、ミアはほぼ毎日マジョノ町に行ってる。どうやら、今日も行くみたいだ。
ミアは指をパチンと鳴らすと、ミアの手元にポンとほうきが現れた。ミアはほうきにまたがり、上に上昇した。広い森の上までくれば、今度はまっすぐ飛んでいく。しばらくすると、なかなか大きい町が見えてきた。たくさんの家が並んでいる中でおっきい屋敷が見え、ミアはその屋敷をめがけて飛んで行った。
屋敷の前で放棄から降り、指をパチンと鳴らすとポンとほうきが消えた。ミアは門の前で、
「おーーーい、ミアよーーー。」
と言うと、門がひとりでに開いた。ミアは門を通り抜けて、屋敷の玄関の扉を開け中に入る。
「ミア様、ようこそ、ミス・ソルシエールの屋敷へ。」
と、耳と尻尾のついた人間がお辞儀をして出迎えていた。
彼の名は「セバスチャン」、この屋敷の執事だ。ちなみに彼は犬の半人半獣である。
「セバスチャン、ミス・ソルシエールはいるわよね?」
「もちろんですとも、今日もミア様が来るのかと言って、魔導書やクスリの材料の準備を使用人たちに命じていましたよ。」
「さすが、世界一の大魔法使いね。」
「では、お部屋に案内しますね。」
「ひとりで行けるわよ。」
「いえいえ、仕事ですので。」
「そう、じゃあ、行くわよ。」
セバスチャンが歩き出すと、ミアはセバスチャンの後について歩いて行った。
たくさんの扉を歩いていると、ひとつの部屋から、二人の子供が出てきた。
「あ!ミアねえちゃん!今日も遊びに来てくれたのか!?」
「あそびに、きてくれたのお?」
この二人は双子の兄妹だ。兄が「グンス」、妹が「ランプー」である。この二人はどうやら、マジョノ町の外で倒れていたところを、ミス・ソルシエールが拾ったらしい。その二人は、親がいないというため、こうやって、ミス・ソルシエールが育てているのだ。ミアは、それ以外にも理由があるのではないかと、考えているけど。
「おやおや、困りますよ、グンス、ランプー。ミア様は魔法のお勉強に来ているのですから。」
「えー?つまんないのー。」
「しかたないよ、おにいちゃん。」
「ごねんね、終わったら、一緒に遊んでくれる?」
「いいよー、しょうがねえなぁ、ミア姉ちゃんは。」
「わーい、ミアおねえちゃん、ありがとう!」
ミアはグンスとランプーと別れると、再びセバスチャンに連れられ、歩き出した。
ミアとセバスチャンは周りの扉より少し古い感じの扉の前に来ると、セバスチャンがその扉にノックをした。
「ミス・ソルシエール様。ミア様がお見えですよ。」
「・・・・・・・・・・、ミア、お入り。」
ミアは扉を開け、部屋に入った。中は石レンガの壁や天井、床には魔法陣が書いてあり、奥の方には大きな水瓶、横の棚には怪しい薬品が置いてあり、その辺にある道具箱も怪しかった。
そして、部屋の真ん中に何者かの後ろ姿が見えた。