時を越えた出会い ①
よく晴れた日のことだった。請負人の白天恵瑠は今日も仕事に行くのであった。
昨日、街の医師に時の森にしか生えていない猛毒のキノコが欲しいと頼まれた。どうやら、そのキノコを使って解毒剤が作れるが、その毒が足りないらしい。医師はそれを依頼するのは少しためらっていた。恵瑠は医師の依頼を容易く受けた。そして今、背中に大きなかごを背負い、その時の森に向かっている。時の森には魔物も妖も住んでいない。それなのになぜ医師は依頼をためらったのだろう。では皆さん、なぜ「時の森」という名が付いたか想像できるだろうか。この「時の森」には時渡りをするエルフという種族の神が時渡りをしている。その期間はバラバラ。さて、ここまで言ったら何人かは想像できただろうか。そう、その時渡りに巻き込まれる可能性があるからだ。時渡りに巻き込まれたら、昔の時代へ行ってしまうか、それとも、未来に行ってしまうか。どちらにしても、時渡りに巻き込まれてしまったら、もう戻ってこれない。
恵瑠は森の中でキノコを採っていた。今のところ、時渡りの様子はない。ただキノコを採り続けていた。
ふと、恵瑠は何かを感じ取り、キノコ採りをやめ、あたりを見渡した。森の木々がざわめいていた。まるで、何かを喜ぶように。
「時渡りだ、時渡りだ。」
「時渡りだ、ウール様がやってきた。」
恵瑠は森の奥へと進んだしばらく進むと、淡い光が差してきた。恵瑠は光の追って走った。光の元を見つけた。光は強く光っていた。光は地面にゆっくり落ちると少しずつ消えていった。
光が消えると、人影が倒れて見えた。恵瑠はゆっくりと近づき、倒れている者を見つめる。体中が傷だらけで、服には血が滲んでいる箇所がいくつかあり、なんとも痛々しい姿をしていた。恵瑠は少し、怖かった。
しばらく見つめていると、倒れていた者は顔を上げ、まっすぐと恵瑠を見つめた。やはり、顔も痛々しかった。しかし、それ以上に印象に残ることがあった。目だ。この者はオッドアイで、左右目の色が違っていた。右目には優しさを秘めた緑色を、左目には戦う決意をした赤色を持っていた。しかし、その目はどちらも絶望をした様な色をしていた。
「・・・・・こ・・・ころ・・・・。」
「?」
何かを訴えていた。恵瑠は耳を傾ける。
「こ・・・ころ・・・・・して・・・く・・・・・。」
「!?」
恵瑠は奴が言いたいことがわかった。
「殺す?どうして?」
と問うと、奴はこんな答えを返した。
「私は・・・・罪を・・・おかした・・・・・。」
「罪?」
「守らなければ・・・・ならない人に・・・守られてしまった・・・・・し・・・しんでしまったっ!」
「・・・・・・・・・・。」
「死ななければ・・・・・この・・・・命で・・・・償わなければぁ・・・・・・。」
これを聞いた恵瑠は、歯を食いしばる。
「頼む、殺して」
「バカじゃん。」
「・・・はぁ?」
恵瑠は間をおいて喋った。
「それが本当にあなたの罪なのかもわからない。もし、それがあなたの罪だとしてもねぇ・・・。」
すぅーと息を吸い込み、大きな声で叫ぶ。
「死んで償える罪なんて存在しないっ!!!」
それを聞いた奴は震えていた。怒りに震えていた。
「なぜだ・・・・お前には・・・・・わからないだ・・・ろう・・・、その癖に・・・そのくせに・・・その癖に・・・!!」
奴はゆっくりと立ち上がると腰の刀を抜き、恵瑠に向ける。恵瑠は奴から距離をとった。しかし、恵瑠は怖がってるわけではなかった。
奴は刀を振り上げ、恵瑠に向かって走った。
続く




