初心者勇者の勘違い
「して、勇者様はこれから魔王を倒しにいかれるのですかな?」
「いや、金品強だ・・・いや、とりあえず装備を整えようかと。」
危ない危ない、つい本音を言ってしまうとこだった。
「では、お金はあるのですかのぅ・・・・・・?」
「いや?全く?」
こんな序盤の村でゴールドなんか使わないだろうと思い俺は持ち金は全て旅の資金に当てたので、今残っているのは最弱モンスターを一体倒した時にもらえるゴールドの半分ほどだ。
「では、装備を揃えるのはまず無理ですなぁ」
カッカッカ、と笑う老婆
「なんでだよ!?」
「ここは勇者様が集まる街ですよ?物価が高くて当然じゃないですか。」
呆れたような、冷ややかな目を向けられ、俺は唖然とした。
「ちょ、ちょっと待てよ!最初の街は物価が低いってのが王道で・・・・・・」
「あーあ、これだから田舎者の勇者はやだやだ、ほらね、お婆ちゃん、やっぱりこの人もいつものパターンよ。あんた、悪いことは言わないからさっさとこの街から出て行きなさい。で、勇者なんてもう二度と名乗らないことね。」
先ほどとは打って変わってユキは俺に冷たく接する
・・・・・・なんか、腹立ってきた
「お前に言われる筋合いなんてねぇよ!村人1が偉そうにすんな!俺は勇者様なんだぞ!?」
「あら、残念。私は村人1なんかじゃないわよ?」
馬鹿にしたように鼻で笑い、俺を完全に舐めきっているユキ。
老婆の方はそそくさと部屋を出て行ってしまった
「なら、なんだって言うんだよ?通行人Aか??」
俺も負けじと精一杯の見下した顔で言い返す。
「・・・・・・貴方、本当にまだわからないの?」
馬鹿にしたような顔から、一気に呆れ顔になるユキ、一体なんだってんだよ
「勇者の旅でご飯をごちそうするなんて、普通のモブきゃらにはありえないでしょ?第一私、名前あるし。」
「ややこしいなぁ、じゃあなんだってんだよ!!」
ごちそう、村人、泊める・・・・・・あ!まさか!
「やっとわかったの?鈍いやつねぇ、そう、私は勇者のナビg・・・」
「宿屋の受付の人か!!・・・・・・いやぁ、わかんなかったなぁ、そうかそうか、これからいろんな町でお前とおんなじ顔のやつに会うのかぁ・・・」
あ、想像したらたらなんかちょっとキモいな。
「ちっがああああああああああああああああう!!!!」
「うぉ!?いきなり叫んでなんだよ!?」
違う?こいつ宿屋の受付の人じゃないのか?
「私はねぇ!」
「お前は・・・・・・?」
「勇者専属ナビゲーターよ!!!!」