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勇者、何の修羅場だ
ハイヒールの甲高い音が止まった。
「あ、あんたは勇者……!?」
ユキは化け物でも見るような目で勇者を見つめている。
「あ、いや、俺は無害な一般人だ!お前の言う魔王の力を持つ勇者とは別人だ。間違いない」
(自分でバラしているではないか)
「にゃあ」
ツッコミをいれる剣と猫だった。
「あんたのせいで、あんたのせいで……っ!」
ユキの背中が震えている。
「だから俺は勇者じゃない。勇者という名の勇者様だ!」
(もはや何を言っているかも分からん)
「にゃおん」
勇者が逃げ出す準備を始めた瞬間。
「知らないわよ、そんなことっ!」
目の前のユキが歪んで見えた。
それだけではない。ティルファングも、幸運のミイ様も、周りの景色さえも歪んでいた。
声が出ない。
視界が血のような赤で染まっていく。それとも赤のような血なのか。
勇者は倒れた……。
『GAME OVER』
注・『最弱勇者冒険記』自体は続きます。