天才少年と超天才少女 少女と少年が初めて手を繋いだ日。
「一緒に住むったって、部屋がねーだろ!」
するとお母さんが階下から、
「あら?彼女なんでしょ?一緒の部屋に住むのが普通じゃないの?」
「エヘヘー。一緒、一緒。」
「くねくねしながら一緒を喜ぶな!」
じょーだんじゃないぞ。
この部屋は俺の部屋、ゲームの置き場からベッドの置き場、何から何まで俺仕様カスタマイズ。こんな得体の知れないUFO女の居るスペースはねぇ!
「あ、このパソコン邪魔。ぽいっ。」
「をぃ!」
「この本棚も邪魔ね、ぽいっ。」
「をぃ!をぃ!」
「エヘヘー。よろしくね、雄介。」
そう言いながらルイは手を差し出す、が。
「知るか!おーい、待てぇ、俺のパソコン!俺の本棚!」
外に放り出された可愛そうなそいつらを保護しに走る。
庭の柔らかい所に落ちたのかなんとかパソコンは無事。
「よしよし、痛かったろう、痛かったろう」
「パソコンあやしてる雄介の方がイタいよね」
部屋から顔を覗かせながらルイ。
もちろん俺は無視する。
次に本を調べるけれど、何冊かはどろまみれでダメになっていた。
「・・・・。」
「いーじゃん、いーじゃん、本なら私が代わりになるよ。」
「どゆ意味?」
「だって、わったしちょー天才だもん。エヘヘー。」
「天才具合だったら、俺だって!!」
「え?雄介も天才なの?」
「いや、違う違う、何でもない。俺は天才なんかじゃ無い。」
慌てて否定する俺だけど、ルイはそんな俺の言葉なんか待たずにうんしょ、うんしょ、と天井に突き刺さってるUFOによじ登っていく。
「あぶなくねぇ?それ?」
とりあえず俺も部屋に戻るとUFOに登っていく。
そして二人して一番高い所に登りきった時だった。
「あ」
つるん
ルイが足を滑らせる。
「をぃ!!」
俺は慌てて滑り落ちそうになったルイの手を掴んだ。
ぶらぁーんと一夜干しのイカよろしく揺れるルイ。
「エヘヘー。」
「えへへーじゃ、ねぇよ!あぶねぇだろ!」
ぐい、と、力を込めて引き上げようとすると、ルイが言った。
「やっと手、握ってくれた。」
「お前、手放すぞ!」
「えー?いたいけな少女を見殺しにするのぉ?」
仕方なく俺はルイを引き上げきる。
「ぜぇぜぇ。お前、重いな。ダイエットしろ。」
「雄介は今の発言で彼氏ポイントを4失いました。」
「俺に失って怖い彼氏ポイントは無い。」
吐き捨てるように言いながら疲れた体から力を抜いて後ろに回した手をUFOに付いた。
ら。
ぽち。
なんと、そこにはボタンが。
「え!?」
「あ!?押しちゃった!」
第3話に続く。