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詩、的なもの

スラッシュ

作者: だくさん



視界がくすんで見える。今日もいつも通り。

虚無にさえ手招きをされなくなってから、いくつかの夜が流れた。

静寂な空間に置き去りにされた僕は、きっと前を見つめているのだろう。

眠る意味を探しだしたら、いつのまにか思い出が溢れ出していた。

黒く濁った液体で喉を鳴らし、朝を迎える準備が始まる。

眠ろうとする度に、時間が呼吸を止めて、自分の隅っこが朝を招いた。

口の中を犯した苦味が、舌の上で踊っている。

「君とは相性がいい」

なんて歌って。

昔に愛した感情が次にやってくるのはいつだろう。

この孤独を抱きしめて、忘れないように自分の中へ刻み込む。

鏡の前に立って、自分を自分だと認めるのはまだ少しかかるようだ。

今を嗤って、今に生きる。

傀儡のような世界は今日も誰かの足の下で喘いでいる。

カップの中で蠢く黒い液体は藻掻くように底を這っていた。

可笑しい、と笑ってそれに口付けをする。

甘美な、苦しい味。

窓から入り込んだ風が部屋の中を泳いで、自分と形容する僕に触れた。

懐かしい感情が思い出と共に

流れ出して、世界を包み込む。

小さな傀儡の中の、永遠なんてない時間の上で永遠に終われるのなら、愛しき今日もまた、代わりに夜を抱いて眠れるのだろう。

ここが明日との境界線だと願って。


傀儡のような僕は、今日も世界の上で喘いでいた。



できるだけ抽象的に、一人称を使わないことを意識して久々に練って書いてみました。


色褪せた世界を自分自身が眺めていると思っていても、きっと自分だけではなく、他の人で眺めていたり、誰も眺めていなかったり、そんなことはなにもわからないわけですけど、このなにかに操られたように毎日を刻んでいく世界は今日もあるわけで、私たちは明日からもそういう風に自分らしく生きていくしかないんじゃないかな、と思いました。



Twitter@dakusanno

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