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神様の子守り

作者: 有梨束
掲載日:2026/04/24

神は男女関係なく子どもを産む。

そして、成長スピードが早いらしい。



「おおっ…、本当に生まれたんですね!おめでとうございます!」

俺は上司の赤ん坊を抱かせてもらいながら、そう言った。


「まさか、君が居座っている間に子を産むことになるとはな」

「俺、輪廻転生しないでここでグダグダしててよかったです!神様の誕生を見れるとは…!」

「よくないから。早くどこの世界に行くか決めて、次の人生を送りなさいよ」

「じゃあ、この子の子守りさせてください」

「いや、そうじゃなくて」


俺は輪廻転生を面倒くさがって、天界でお世話になっている元人間だ。

勝手に留まって、勝手に神様の書類整理などを手伝い、勝手に神を上司にしている。



「あっ、でも、代わりに書類仕事をした方がいいですかね?」

「それは正直助か……、いや、ダメだって」

「あ〜、じゃあ整理してこちらに運びますね」

「………そうしてくれ」

神様ももはや俺が仕事の手伝いをした方がスムーズで、最近では前より真剣に輪廻転生しろと言ってこなくなった。


俺は席を外して、職場に戻って、いつものように書類を持って、また神様のところに戻った。


すると──。


「えっっっっ!?もう立ち上がってる…!」

さっき生まれた赤ん坊神様は、立ってよたよたと歩いていた。


「当たり前だ。人間じゃあるまいし、すぐに成長するよ」

「馬みたいにすぐ立てないとまずいんですか…?」

「そうじゃない。立ってしまうんだよ」

そうこう言っている間に、上司を指差してキャハハと笑った。


「ははうえ!」

「え、天才じゃん」

「みんなこんなもんだよ」

「…もしかして、神の子守りって難しいですか?」

「いらないね。そんなのなくとも、すぐ成人する」

上司の言葉に、慌てて幼児神様を抱っこした。


すでに、生まれたてよりずっしり重い。


「この可愛さが一瞬なのか」

「お〜ろ〜せ〜!ぼくはもうこどもじゃないもん!」

「喋るのも早え…」

子ども神様を下ろすと、もう小学生くらいの大きさになっていた。


「子守りはいらないが、せっかくなってくれるなら、追いかけっこでもしておいで」

こちらもすっかり元気になって、書類を見ている上司に言われて、俺は頷いた。


「どうかな、向こうまで競争しようよ」

「まけないからやってあげる!」

「ありがとう」

「はい、位置についてよーい、どん!」

上司の声に、俺と子ども神様は走り出した。


神様相手でも手加減はよくないよなと全力で走る。


向こうといっても、天界は広い。

どこまでも続いていて、どこまで走ろうかなと、子ども神様な様子を見るべく後ろを見て、ギョッとした。


「成長早いって!」


もう高校生ほどの身長になっていた。

下手したら背は抜かされたかもしれない。


これはますます手が抜けないと思い、走り続けたけれど、すぐに後ろから抱きつかれて止まった。


見上げると、上司そっくりの成人と言える神様がいた。


「はい、つかまえた」

そのままなぜかヒョイッと横抱きにされて、上司のところに戻っていく。


「母上、つかまえてきました」

「ああ、ご苦労様」

「……俺が子守りされたみたいになったんですが」

「神が人間の子守りをして何が悪い」


………たしかに?


「神様って、こんなに早く大人になるんですね」

「そうだよ。さあ、私の仕事を手伝ってもらおうかな」

「では、手始めにこの人間を輪廻転生に戻してきます」

「え」

「ああ、よろしく」

「えっ!嫌です!!!」

俺は神の腕の中でバタバタ暴れると、美しい顔が2つこちらを睨んだ。


「「いい加減、輪廻転生しなさい!」」


親子に揃って怒られるのは、迫力があったのだった…。






お読みくださりありがとうございます!!  毎日投稿114日目。

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