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女性嫌いの令息を護衛している男装女子ですが‥なんか思ってたのと違う?  作者: ノーネアユミ


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1 公爵家からの提案


「男装して公爵家で働きなさい」


 ある日執務室にいる父から呼び出された。

 執務室になんて珍しいなー と気楽に構えていたらこの発言。


「何ですかいきなり」


 私の反論に父は眉をひそめる。


「はあ‥我が家の寄り親のオールデン公爵家は知っているね。そこのご子息が女性恐怖症らしくてね」


 父の説明では、このままでは1人息子が結婚できないとあせった公爵夫妻が何とか考えついた作戦らしい。


 男装女子を側において何とか女慣れさせたいのだと。



「ええ~無理がありますよ」


 公爵夫妻ってふざけているのか?


「やってみて失敗するのは構わんらしい。ちなみにうまく行けば、公爵家はうちの借金をチャラにしてくれる。お前に断る選択肢はない!」


 いや父上そんなにハッキリ言いきらなくても。





 と言うわけで私は父と公爵家に来ていた。もちろん男装で。

 髪の毛は後ろでたばねて垂らすだけ。


 ドレスも着ず髪も結わず他家を訪問するのは落ち着かない。

 隣の父もソワソワしている。



「来てくれてありがとう」

 

 公爵夫人は優雅にお茶を勧めてくれた。

 世間話が一通りすむと本題が切り出される。


「息子は学園で色々あってね、すっかり女性が苦手になってしまったの。メイドさえ近づけないのよ。我が家の跡取りとして問題でしょう、わたくしたちとしては何とか政略結婚ができるまで回復して欲しいのよ」


 それはまた難儀な。メイドすら近づけさせないレベルだって? 慣れさせるならともかく、結婚可能ってレベル高すぎない?



「今のあなたなら男性に見えますわ。認識を変える呪文でも使っているのかしら」

「私にはそんな器用なことできませんよ」


 魔法は便利だが誰もが使えるわけじゃない。私にできるのは攻撃魔法をぶっぱなすだけ。


「それでも条件は十分ね。さっそくですが貴方には息子ローアンの世話を頼みます」


 雇い主には気に入ってもらえたようだ。



「子爵からのお手紙で武術の心得があると書いてあったので、護衛に混ざってもらおうかと考えているの。側仕えは、その、抵抗があるかもしれないし‥」


 確かに男性の着替えを手伝うのは心理的な負担が大きい。

 護衛の一人くらいの方が気楽だ。兄に習っていたから剣の心得もある。


 私はうなずいた。

 まあ最近まで女子高の王子をやっていたから、男装自体に拒否感はないし。



 それでも私は懸念点を伝えた。


「見破られてしまったらどういたしましょう」


 女性が騎士服を着たとして、骨格をごまかすのは難しい。性別を偽るのは結構至難の技なのだ。

 夫人は優雅にほほ笑む。


「そうね、その時は残念だったとあきらめるわ。だから‥あの子が気づかない場合、1週間ごとに金貨1枚をお渡しましょう。もちろん成功報酬とは別に」

「了解です!」


 私は条件を飲んだ。どうせすぐバレてお役御免だろうがやってみる価値はある。

 父は私と目くばせをしてから書類にサインした。


 失敗しても借金半額は確約されていたから、我が家に損はない。



 契約後は公爵家の執事と侍女長に顔合わせ。

 若様の1日の過ごし方をざっくり教わる。


 女の私が男装して働くので、直属の上司になる護衛隊長にも引き合わされた。


「本当にうまく行くのでしょうか」


 執事たちは心配している。

 私だって同感だけど、公爵夫人はゆるがなかった。


「来週から来て頂戴」





「すまない、本来ならお前の縁談を考えなくてはいけないのだが、持参金も用意できず」


 帰り道で父に謝られてしまった。


「しょうがないですよ。家が貧乏なのは知っていましたし、奉公先がちょっと変わっているだけです」

 

 それなりの本音だ。


「それにお屋敷で誰かに見染められるかもしれませんよ」


 下心がないわけではない。

 男装女子ってイケメンと仲良くなってドキドキになるのが恋愛小説の定番だからね☆



 その夜、私は髪を切った。決意を表明したかったのだ。

 母は泣いていたが、どうせすぐ伸びる。


 女性は賃金が低いので週休金貨1枚は男性の従者並ってことです。


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