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魔法印  作者: Rizanthe Dravenhart


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4/16

説明のつかない出来事

はじめまして、そしていつも読んでくださりありがとうございます。

先週は体調を崩してしまい、更新できず申し訳ありませんでした。

本日は第4話を投稿させていただきます。

少しでも楽しんでいただけたら幸いです。

街は朝から喧騒に包まれていた。

人々はそれぞれの目的地へと行き交い、荷物を積んだ馬車がゆっくりと街路を進んでいく。

朝日の光が静かに部屋の中へと差し込み、ひとりの青年の胸の上では、一匹の狐が頬を押すようにして彼を起こしていた。

青年はゆっくりと目を開き、自分を起こしている狐を見つめる。

「おはよう、ルーシー」

薄く微笑みながら、彼はそう呟いた。

狐を抱き上げて立ち上がり、肩の上に乗せたまま窓辺へと向かう。

「こんなに忙しい街なのに、まだ朝なのか……」

広がる街の景色に、彼は思わず目を見開いた。

狐は彼の肩から降り、扉の方へと向かう。

「お腹が空いたんだろ? ちょっと待って、着替えてくるから」

青年は鞄を開き、白い長袖のリネンシャツに茶色の長ズボンへと着替えた。

着替えを終えて扉を開くと、狐はすでに外へと走り出している。

「ルーシー、待ってくれ!」

青年は狐を追い、階下へ降りる。

そこには、左目を覆う眼帯をした少女が、テーブルに座っていた。

「おはよう、メラティ」

彼は微笑みながら声をかける。

「ごめんなさい。私は一緒に朝食を取れなかったの」

彼女の前には、空になった木製の椀と皿が置かれていた。

青年は向かいの椅子に座り、周囲を見回す。

「何を食べたんだ、メラティ?」

「スープ一杯と、野菜の炒め物、それからパンよ」

「美味しそうだな。でも、宿の主人は?」

「ヴィヴィのこと? 今は厨房にいるわ」

その時、厨房からヴィヴィが姿を現した。

「おはようございます、コルヴィアン。お食事はいかがですか?」

小さく微笑みながら、ヴィヴィが尋ねる。

「うん……食べる!」

彼は少し大きな声で答えた。

ヴィヴィはスープ一杯、野菜の炒め物、そしてパンを運んでくる。

「どうぞ、ごゆっくり。コルヴィアン」

そう言って、トレイを手にメラティの方へ戻っていった。

(ヴィヴィの料理……母さんの味に似てるな)

コルヴィアンは心の中でそう思う。

「ヴィヴィ、料理とても美味しいよ」

「ありがとうございます」

ヴィヴィは微笑んだ。

「メラティ、ルーシーをお願い。少し外に出てくる」

「任せて。ちゃんと見てるわ」

コルヴィアンは宿を出て、街を歩き始める。

建物の間を抜け、人々の流れの中へと紛れていった。

「この手紙を、必ずリム将軍に届けなきゃ」

彼は手紙を見つめながら呟く。

しばらく歩いても、目的地は見つからない。

「誰かに聞いた方がいいか……」

彼は巡回中の兵士に声をかけた。

「すみません。リム将軍はどこにいらっしゃいますか?」

「将軍なら、この路地を抜けて、王国兵舎の先にいらっしゃる」

兵士は微笑んで答えた。

「ありがとうございます」

礼を言い、コルヴィアンはその方向へ向かう。

そこは、非常に暗く狭い路地だった。

「少し怖いけど……行くしかない」

彼は慎重に足を進める。

その途中――

突然、刃が腹部に突き立てられた。

口から血を吐き、腹部から血が流れ落ちる。

手は震え、意識が徐々に遠のいていった。

――次に目を覚ました時、彼は反射的に腹を押さえた。

だが、そこに傷はない。

刺さっていたはずの刃も、血も、すべて消えていた。

「……え?」

彼は驚愕し、振り返る。

そこには、頭にナイフを突き立てられた男が倒れていた。

呼吸を整えながら、コルヴィアンは後ずさりし、全力で走り出す。

「何が起きたんだ……」

彼は兵舎の門前に辿り着き、汗と激しい鼓動に包まれる。

「考えるな……今は手紙を届けるんだ」

門を叩くと、兵士が現れた。

「ここは関係者以外立入禁止だ」

「ですが、将軍に会いたいんです!」

「規則は規則だ」

兵士はそう言って立ち去った。

「どうすれば……」

その時、低い声が響く。

「門の前で騒いでいるのは誰だ?」

兵士が敬礼する。

「この青年が、将軍に会いたいと」

将軍は青年の前に立つ。

「私を探しているのか?」

振り返った瞬間、コルヴィアンの頬を涙が伝い、無意識に笑みが浮かんだ。

「大丈夫か?」

「ああ、問題ない」

リム将軍は微笑む。

(フランク……生きていたのか)

コルヴィアンは父から託された手紙を差し出した。

「父から、あなたへ」

将軍は手紙を読み、涙をこぼしながら彼を強く抱きしめた。

「ありがとう……忘れずにいてくれたんだな」

「将軍、そろそろ離してもらえますか……」

将軍は照れたように手を離す。

「コルヴィアン。私と君の父は、親友だった」

「そうだったんですか……知りませんでした」

「明日の朝、またここへ来なさい」

「なぜですか?」

「レモリア学院の入学試験を受けてもらう」

「えっ!?」

コルヴィアンは声を上げ、子供のように手を上げた。

(本当にそっくりだな……フランク)

「将軍、友人も一緒に受けさせてもいいですか?」

「誰だ?」

「メラティという少女です」

「いいだろう。明日一緒に来なさい」

コルヴィアンは敬礼し、宿〈クラウド〉へと戻っていった。

「必ず守る……君の息子を」

リム将軍は手紙を握りしめ、遠ざかる背中を見つめ続けた。

最後まで読んでくださり、ありがとうございます。

感想やご意見をいただけると、とても励みになります。

これからも物語を大切に書いていきますので、よろしくお願いします。

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