思っていたより世界は美しくなかった
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曇り空が太陽の光を覆い、風が木々の葉を揺らし、葉を地面に散らしていた。
コルヴィアンは持っていく荷物をすでにまとめ終えていた。扉の取っ手に手をかけ、そっと閉めると、部屋の中の思い出が生き返るように感じられた。
「……なんだか……」目に涙をこらえ、胸が少し重くなる。「街に行くと、きっと今までとは違うんだろうな」扉のインクの跡をなぞる。
家の中のあらゆる部屋を一歩ずつ歩くたび、思い出で満ちた空間に、心が少し重くなる。
取っ手を握り、振り返って部屋を見渡す。みんなで集まり、遊び、本を読んだ場所。
微笑みながら、ここでの体験が街での自分の支えになることを思った。
きしっ…と木の軋む音。
外を見ると、父が旅のために馬を準備しており、母と祖母が到着を待っていた。
三人に近づくと、母は強く抱きしめ、息が詰まり、涙があふれる。
「コルヴィアン、向こうでは友達を選ぶこと、食事は遅れないこと、そして盗みをしてはいけないわ」母の声は静かだが、少し乱れていた。
「大丈夫だよ、母さん。もう僕も十分大人だから」コルヴィアンは微笑み、安心させる。
母が抱擁を解き、祖母が近づき、白い石のペンダントを手渡した。
「これは、おばあちゃんからの贈り物だよ」
「ありがとう、おばあちゃん。素敵なペンダントだね」
ルーシーがコルヴィアンの体によじ登り、背中に座った。
「この子は、君が寂しいときの友達になるかもしれないね」祖母は微笑む。
コルヴィアンはルーシーを頭からおろした。
「ありがとう、おばあちゃん。ルーシーも一緒に連れて行けるなんて」ルーシーを馬に乗せる。
「コルヴィアン、父さんから誰かに渡す手紙がある」父が封筒を手渡す。
「誰にだい?」封筒に書かれた“リム将軍”の文字を見て。
「リム将軍への手紙だ」父は微笑む。
「わかった、父さん。必ず届けるよ」手紙を鞄にしまい込む。
コルヴィアンは馬にまたがり、胸が締め付けられるような感覚を覚えた。
「父さん、母さん、そしておばあちゃん、僕を街に行かせてくれてありがとう。成功を祈っていてね」微笑みながら馬を森へ進める。
「もちろん、毎日君の幸せを祈るよ」母の声が響く。
三人は手を振り、コルヴィアンの旅立ちを見送った。
森は少し暗く、そよ風が葉を揺らすたび独特な音がする。木々は外の世界との境界のようだ。
馬の一歩一歩に枝が折れる音や葉の散る音が混ざる。
顔を上げると、木漏れ日が差し込み、暗かった森の中が明るく照らされる。
風が髪を揺らし、上着をめくる。横を見ると、広大な草原が広がっていた。
馬をゆっくりと動かし、森と草原の境界まで進む。
「さて…」大きく笑みを浮かべ、目を見開く。「これが、僕が冒険する世界か」深呼吸をして、息を吐く。
「あれ…?」少年は青く弾む不思議な物体を見つけた。
好奇心から、馬を降りてその青い物体に近づく。
しゃがみ、枝で触れてみる。
「これは…弾力があるな」微笑む。
立ち上がり、馬に近づいて草原を通り抜けるように手綱を引く。
しばらく歩き、まだ青い物体をいくつも通り過ぎる。
「都市間の道筋はどこかな…」息を吐きながら周囲を見渡す。
遠くに馬車の影が見える。
迷わず馬に乗り、馬車へ向かって駆け出す。
馬車の後ろに着くと、少年の瞳孔が広がり、息を一瞬止める。鎖に繋がれた鉄の首輪を着けた人々が見えた。
前方へ馬を進めると、二頭の馬を操る老人がいた。
「すみません」小さく声をかける。
老人は振り返り、鋭く少年を見つめる。
「どうかしたかい?」微笑む。
「すみません、エルメリストへ行かれますか?」礼儀正しく尋ねる。
「ルートは街へ向かうものだ、ついて来ればいい」老人は道に集中している。
「ありがとうございます」
三時間の旅の後、川のほとりで休憩することにした。
「おじいさん、なぜ馬車の人たちは鉄の首輪をしているのですか?」少年が尋ねる。
老人は笑い、声をあげる。
「彼らは…ダック王国の刑務所へ送られる人々だ」
少年は頷き、鞄から何かを取り出す。
「すみません、この石について聞きたいのです」
老人は目を見開き、唾を飲み込みながら石を見つめる。
石を太陽にかざす。
「美しい石だね、これと鞄の中の服数着を交換しないか?」
少年は一瞬考える。[街で服は買えるけど、お金がない]「わかった、受け取ります」
老人は服の入った袋を渡し、馬車へ戻って行った。
中から声をかける。
目隠しをした少女が現れ、服はボロボロで、手に杖を持っている。
少女は杖を握り、歩くのを助けながら少年に近づく。
「お願いです、この子をエルメリストの刑務所まで連れて行ってください」老人が言う。
「わかりました、連れて行きます」微笑む。
「ありがとう、これで行くよ」老人は馬車に戻り、去っていった。
「待って、金貨一袋」老人は石に口付けしながら叫ぶ。
静寂。
少年は考える。[どうやって話しかけようか]
「ねぇ、じっと見ないで」少女は怠そうに言う。
「すみません、なぜ首輪をつけているのか気になって…」少年はじっと見る。
少女は首輪に触れ、「これは私が奴隷である証よ」怠そうな声。
少年はその言葉に固まり、意味を理解する。
少女はため息をつき、「村から来たんだね」少し声を強める。
少年はただ頷く。少女は見つめる。
「奴隷は生き物として売られる。多くはおもちゃ、使い捨ての防護、モンスターの生贄にされる」声を荒げる。
少年の目が見開かれる。「そんな…生き物を物扱いするなんて」声を荒げる。
少女は首輪を握りしめ、手を震わせ顔を伏せる。
「見て、この鉄の首輪は私が奴隷である証なの」叫ぶ。
少年は息を整える。「首輪を外す方法は?」
「あなたがくれた鍵で外せるの」少女は鞄を指す。
素早く鞄を調べ、鍵を見つけ見せる。
少女は視線をそらし、首輪を握りしめる。
少年が近づくと、少女は後ずさる。
「なぜ?首輪を外したいのに」声を荒げる。
少女は顔を上げ、「いや!絶対に外したくない」叫ぶ。
「奴隷は首輪を外すと、モンスターの餌や生贄にされる」涙をこぼしながら声を荒げ、徐々に姿を消す。
少年は鍵を鞄に戻す。「外したくなったら教えて」
「ありがとう、理解してくれて」少女は静かに。
「礼はいらない。僕こそ、まだ世界を知らなくてすまない」ルーシーを撫でる。
突然、後ろからお腹が鳴る。
「食べ物ある?」少女の声は少し高い。
少年は鞍の横の鞄を確認。「パンしか残ってないよ」手渡す。
少女はむさぼるように食べ、涙をこぼす。「家畜用の餌より美味しい」つぶやく。
少年はしゃがみ、老人と交換した服を確認。「これを着なさい。もう服は傷んでいるから」
「本当にこんな服くれるの?」少女は少し怠そう。
「着てみな、女物だから」少年は声を少し高く。
少女は古い服を脱ぎ、後ろを向いて新しい服を着る。顔に笑みが浮かぶ。
「もう夕方だね」少年は振り返り、少女の背中に傷を見つける。
思わず拳を握りしめ、空を見上げる。[この世界は思ったより暗く、残酷だ]
第2話を最後まで読んでくれて、本当にありがとうございます。
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