揺れる想い、迫る試練
クルルル……。
扉が開く音が響いた。
一人の生徒が生徒会長の机に座っている。
鉄製の靴が床を踏みしめる音が部屋に響き渡った。
「おい、ベルタ。次の予定は何だ?」
彼は両手で顎を支えながら言った。
「会長、もうすぐこの大陸最大の行事であり、二つの学園の間で行われる年次行事が始まります」
とベルタは答えた。
生徒会長は席を立ち、キャノピア学園から届いた一枚の書類を手に取った。
「もうすぐだな。年次行事に参加する学園生を選ぶことで、忙しくなる」
「では、学園の生徒を選別するために試験を行うべきでしょうか?」
とベルタが尋ねた。
「その通りだ、ベルタ・キャン」
会長は微笑んだ。
「今年こそ、この学園が年次大会で勝利し、雪辱を果たす」
「はい、会長」
とベルタは頷いた。
「今年の新入生はとても有望です。多くが大きな可能性を秘めています」
「それは本当か、ベルタ・キャン?」
と会長は問い返した。
ベルタの両目の瞳に魔法陣が浮かび上がる。
「この魔法能力のおかげで、私は魔法刻印の種類や変化を見ることができます」
「ああ、そうだったな。君の魔法の系統を忘れていた」
と会長は言った。
会長は窓の方へ歩み寄り、鉄靴の足音を響かせながら手を窓に添えた。
「ベルタ、年次行事に参加する者を選ぶ試験を、必ず滞りなく進めてくれ」
と会長は命じた。
ベルタは顔を伏せ、薄く微笑んだ。
「お任せください。ふさわしい者を選ぶ試験は、必ず成功させます」
「ああ、君を信頼しているよ。ベルタ・キャン」
と会長は答えた。
キーン……。
学園のベルが鳴り響いた。
コルヴィアンとラスクは食堂へ向かって歩いていたが、掲示板の前に生徒たちの人だかりができていた。
「コルヴィアン、なんでみんな集まってるんだ?」
とラスクが尋ねた。
「さあな。学園からの告知じゃないか?」
とコルヴィアンは答えた。
二人は掲示物を見ようとしたが、人だかりに阻まれてしまう。
「何が貼ってあるんだ?」
とラスクが言った。
「俺も気になるな」
とコルヴィアンは返した。
コルヴィアンは隙間を探したが、入り込めなかった。
「何してるんだ、コルヴィアン?」
とリザンテが声をかけた。
「掲示されている内容を見たいだけだ」
とコルヴィアンは答えた。
「確か、学園試験がもうすぐ始まるはずだ」
とリザンテは言った。
「本当か? もうすぐ試験なのか?」
とラスクは目を輝かせた。
「どういうことだ?」
とコルヴィアンが尋ねた。
「この試験は、大陸全体で行われる二つの学園の年次行事に参加する生徒を選ぶためのものだ」
とラスクは説明した。
「一年生の俺たちでも、学園試験に合格すれば参加できるんだ」
とリザンテが付け加えた。
「なら、俺は絶対に合格しなきゃな。二人はどうする?」
とコルヴィアンは言った。
「もちろんだ。全力で挑戦する」
とリザンテは答えた。
「俺は楽勝で合格するけどな」
とラスクは言った。
「ふん……お前が簡単に合格できるとは思えないな」
とコルヴィアンは返した。
「俺を侮るなよ。後で後悔するな」
とラスクは言った。
「じゃあ、先に行くな」
とリザンテは言い、立ち去った。
「おう」
とコルヴィアンとラスクは答えた。
「それなら、先に食堂へ行こうぜ」
とコルヴィアンが言った。
「賛成。ケーキがなくなる前にな」
とラスクは答えた。
二人は食堂へ向かい、そこで話しているメラティとヤラを見つけた。
「コルヴィアン、見ろよ」
とラスクは指を差した。
「前に助けた子だろ?」
「そうだけど、それがどうした?」
とコルヴィアンは答えた。
「あの子、すごく頑固で、成績も常にトップクラスなんだぞ」
とラスクは言った。
「でも、ルーシーを抱いてた時は子供みたいだったし、一緒に魚を焼いた時もそうだった」
とコルヴィアンは言った。
「待てよ。メラティがいるのに、ヤラとデートしたことあるのか?」
とラスクは言った。
「デートって何だ?」
とコルヴィアンは首を傾げた。
ラスクはため息をついた。
「本当にお前は純粋すぎるな」
「もういい。俺、料理を取りに行く」
とラスクは言った。
「待ってくれ、ラスク」
とコルヴィアンは呼び止めた。
二人は料理を取り、メラティとヤラの席へ向かった。
「こんにちは、みんな」
とコルヴィアンは言った。
「こんにちは、コルヴィアン」
とメラティは答えた。
「こ、こんにちは……」
とヤラは小さく言った。
ラスクとコルヴィアンは席に座った。
「メラティ、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
とコルヴィアンは言った。
「何を聞きたいの?」
とメラティは返した。
「デートって何?」
とコルヴィアンは尋ねた。
その瞬間、メラティは鋭い視線でラスクを睨み、ヤラは顔を赤くして俯いた。
「コルヴィアンに何を教えたの?」
とメラティは言った。
「俺のせいにするな。本人に聞けよ」
とラスクは両手を上げた。
「どうして、そんなことを聞くの?」
とメラティは少し強い口調で言った。
「ただ気になっただけで、俺と――」
とコルヴィアンが言いかけた時、
「やめて……!」
とヤラが顔を赤くして遮った。
「どうしたの、ヤラ?」
とメラティは尋ねた。
「い、いえ……先に教室へ戻ります」
とヤラは慌てて言い、教室へ戻っていった。
メラティは鋭い視線でコルヴィアンを見つめた。
「もっと詳しく説明してくれる? コ・ル・ヴィ・ア・ン」
メラティが怒っているのを初めて見て、コルヴィアンは驚いた。
「数週間前に、ヤラとルーシーと一緒に魚を焼いただけだ」
メラティはため息をついた。
「それで、そんな質問をしたのね」
コルヴィアンはただ頷いた。
「うん、そうだ」
(メラティが怒ると、幽霊より怖いなんて思わなかった)
とコルヴィアンは心の中で思った。
突然、ラスクが大きくくしゃみをした。
「すまん、ちょっと体調が悪い」
「温かいお茶をガロン先生にもらってきなさい」
とメラティは言った。
「ケイトン先生の苦い薬も飲んだ方がいい」
とコルヴィアンは言った。
「後でな」
とラスクは答えた。
メラティは立ち上がり、厨房へ向かった。
(コルヴィアンとヤラがデートしていると知った時、胸が苦しくなった……これが嫉妬ってやつなの?)
とメラティは心の中で思った。
「なあ、何をしたら二人の女の子にそこまで好かれるんだ?」
とラスクは声を荒げた。
「さあ、わからない」
とコルヴィアンは答えた。
「はあ……羨ましいな。俺はいつになったら自分の恋物語が始まるんだ?」
とラスクは言った。
「まずは勉強に集中しろよ」
とコルヴィアンは言った。
二人は食事を続けた。
いつの間にか時間が過ぎ、再び学校のベルが鳴った。
「こんにちは、みなさん」
とエイルリスは言った。
「まもなく、レモリア学園とノクティラ学園の年次行事が始まります」
とエイルリスは告げた。
ジュリアンが手を挙げた。
「先生、参加する生徒の選抜はどうなるんですか?」
「通常、学園では二つの試験を行い、合格した生徒が年次行事に参加します」
とエイルリスは答えた。
一人の女子生徒が手を挙げた。
「一年生でも参加できますか?」
「学年は関係ありません。二つの試験に合格することが条件です」
とエイルリスは言った。
エイルリスは手を叩いた。
「それでは準備して。今から魔法文字の授業を再開します」
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次の話もお楽しみに。




