力だけでは勝てない
太陽の光がゆっくりと忍び寄るように、ぐっすり眠っている一人の顔を照らしていた。
きつく目を閉じたまま、
「んー……もう朝か?」と小さく呟く。
ラスクは上体を起こし、両腕を上げて伸びをし、あくびをしてから目を開けた。
「なんだか、ずいぶん長く眠っていた気がするな……」と小さく呟く。
彼は立ち上がり、学院の制服を手に取って身に着けた。
「今日の朝食は、食堂で何が出るんだろう?」
窓の方を見ながら呟く。
青年は樹の紋章が刻まれた建物を後にし、食堂へと足を運んだ。
「はぁ……」
「今日はミルクよりコーヒーを頼もうかな」
歩いている途中、足が何かに当たり、下を見ると蝶の彫刻が施されたペンダントが落ちていた。彼はそれを拾い上げる。
「とても綺麗なペンダントだな。きっと誰かが探しているはずだ」
数歩進んだところで、以前彼の足を踏んだことのあるエルフが何かを探しているのが目に入った。
「おい、このペンダントを探しているのか、小さなエルフ?」
そう叫びながら、ペンダントを見せる。
そのエルフは駆け寄り、すぐにペンダントを奪い取った。
「よかった……私のペンダントが見つかったわ」
エルフは微笑んだ。
「次からは、ペンダントに気をつけた方がいいぞ」
とラスクは言う。
「見つけてくれてありがとう」
「でも!」
と声を荒げ、
「小さいなんて呼ばないで。私にはアマンダ・ド・ラ・ブリュームっていう名前があるんだから!」
とアマンダは付け加えた。
「分かった、覚えておくよ」
無理やりのような薄い笑みを浮かべながら答える。
「ふん……」
アマンダはそのままラスクを置いて立ち去った。
「はぁ……」とため息をつき、
「今日は朝から賑やかだな」
ラスクは食堂へ向かい、朝食を取っているコルヴィアンを見つけた。
「コルヴィアン、おはよう」
そう言って手を上げ、食堂の席に座る。
「おはよう、ラスク」
とコルヴィアンは返した。
「今日の朝食は何?」
とラスクが尋ねる。
「サワードウのパンに塩とオリーブオイル、リンゴ、それとミルクだ」
とコルヴィアンが答える。
「コーヒーはないの?」
とラスク。
「どうやら、コーヒーの在庫はもう切れているみたいだ」
とコルヴィアンは言った。
ラスクは顔を机に伏せる。
「はぁ……コーヒーが飲みたかったのに、どうしてなくなるんだ……」
「ほら、文句を言っている場合じゃない。もうすぐ鐘が鳴るぞ」
そう言って、コルヴィアンはトレーを片付けに厨房へ向かった。
「朝食を食べたら、眠気も取れるかもしれないな」
そう言ってラスクも立ち上がり、食事を取りに厨房へ向かった。
時間はあっという間に過ぎ、学院の鐘が再び鳴り、授業の始まりを告げた。
広い学院の訓練場では、何人かが武器や魔法の杖を使って訓練をしていた。
「こんにちは、みんな」
そう言って微笑む。
「昨日の授業は、出られなくてすまなかった」
「今日は、魔法印についてもっと詳しく説明しよう。すべての魔法印には、それぞれ弱点があるからな」
ルイスは指を二本立てた。
「魔法印の変化には二種類ある。一つ目は、体の特定の部位に模様として現れる一般的な変化。そして二つ目は、帽子や腕輪のような装備になる変化で、これは非常に稀だ」
一人の生徒が手を挙げる。
「先生、その二つの魔法印の変化には違いがあるんですか?」
「とても良い質問だ。違いは非常に大きい。魔力量や魔法の階級などだ。これまで知られている限り、その変化を持つのは神々だけだ」
ルイスは数歩横へ歩いた。
「しかし、いくつかの種族はその変化を持っている。エルフがその一例だ。そしてこのエルメリストの街には二人だけ存在する。リム将軍と、我らが学院長――
レオン・ライトンだ」
「もう一つだ。魔法印が発動する形態は三つある」
ルイスは三本の指を立てる。
「一つ、制御しやすいが長時間使うと魔力を消耗するタイプ。例としては、キートン先生のインクの魔法だ」
「二つ、長時間発動できて魔力を消耗しないタイプ。武器型だ。例えば私の魔法――斧だ」
額にあった魔法印が顔に模様として広がり、彼の手に斧が現れた。
「三つ、この魔法印は条件を満たした時のみ発動できる。例えば、モンスター召喚魔法だ」
ルイスは斧を地面に置き、両手を柄の上に置いた。
「では今日は、二人の生徒を選んで授業の例にしよう。いいか? 賛成なら手を挙げてくれ」
一年A組の全員が手を挙げた。
「先生、ジュリアンがいいです!」
と一人の女子生徒が叫ぶ。
「いい提案だ。ジュリアン、ラスクと一緒に訓練場へ行け」
とルイスは言った。
ジュリアンは鋭い視線をアリーナへ向けて歩き出し、それを応援する女子生徒たちが後に続いた。一方、ラスクはジュリアンとは反対の方向から、ゆっくりとアリーナへ向かった。
「二人とも、アリーナの横にある好きな木剣を選びなさい」
とルイスが言う。
二人はそれぞれ剣を取り、互いに向かい合った。
「相手を倒すか、降参させた方の勝ちだ。魔法の使用は自由だが、やり過ぎるな」
とルイスは告げる。
光がアリーナを包み込み、ジュリアンとラスクを魔法の壁の中に閉じ込めた。
「この魔法壁は、魔力由来のものだけを遮断する。だから安心して中で魔法を使いなさい」
二人は戦闘態勢に入り、クラス全員の声援が響く。
「試合開始だ」
とルイスが言い、盛大な拍手が起こった。
ジュリアンとラスクは、ルイスの合図と同時にそれぞれ魔法印を発動させた。
「アイス・ウォール!」
とジュリアンが叫ぶと、氷が広がり、ラスクの動きを制限した。
「さあ、さっさと終わらせようぜ、将軍の息子」
とジュリアンは言う。
ジュリアンはゆっくりとラスクに近づき、容赦なく攻撃を続け、ラスクは防御に追い込まれる。
「これが、あの偉大なリム将軍の息子の実力か?」
とジュリアンは言った。
[どうやって、この止まらない攻撃に対抗すればいいんだ……]
とラスクは心の中で考える。
ジュリアンはラスクを追い詰め、アリーナの隅へと追いやった。
「信じられないな。リム将軍の息子がこんなに弱いなんて。彼は俺の憧れだったのに」
とジュリアンは言う。
「そうかい? 俺はただ、父を普通の父親として見ているだけだ」
とラスクは答えた。
ジュリアンは一気に剣を振り下ろし、ラスクの頭を狙う。しかし、ラスクは素早くその手を掴んだ。
「少し黙ってくれ、友よ!」
と微笑みながら、ラスクは雷の魔法を使い、ジュリアンを一時的に麻痺させ、剣を手放させた。
「……分かった。俺の負けだ」
とジュリアンは言った。
「勝者、ラスク」
とルイスが告げる。
ラスクはジュリアンに手を差し伸べ、立ち上がらせた。
「ありがとう、友よ」
とジュリアンは言う。
「どういたしまして」
「やり過ぎてしまって、すまなかった」
とジュリアンは謝った。
「父は多くの人の憧れだ。でも、父が俺に教えてくれたのは一つだけだ。力だけじゃなく、常に頭を使え、ということさ」
とラスクは言う。
「そうだな……リム将軍は、子供の頃から俺の憧れだ」
とジュリアンは答えた。
ラスクはコルヴィアンとメラティの方へ向かい、ジュリアンは鋭い視線でその背中を見つめ続けていた。
「どう? 俺の戦い、かっこよかった?」
とラスクは言う。
「かっこよかったよ。でも、どうしていつも攻めずに守ってばかりなんだ?」
とコルヴィアンは笑いながら言った。
「おい! 戦いは攻めるだけじゃない。戦略が大事なんだぞ!」
とラスクは叫ぶ。
「ラスク、いい戦いだったわ」
とメラティは言う。
「だろ?」
ラスクは笑った。
二人は、クラスで有名なハンサムな貴族の生徒を倒して笑っているラスクを見つめていた。
ここまで物語を読んでくださり、本当にありがとうございます。
とても嬉しいです。ですが、時々アイデアが浮かばず、悩んでしまうこともあります。
更新が遅くなってしまって、本当にごめんなさい。
よろしければ、コメントやご感想、アドバイスをいただけると嬉しいです。
それが、私自身を成長させ、物語をより良くする力になります。




