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魔法印  作者: Rizanthe Dravenhart


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これは兆しか、それとも呪いか

はじめまして、リザンテ・ドラヴェンハートです。

私はファンタジーや冒険アニメが大好きです。

この作品を通して、私のアイデアを皆さんにお届けしたいと思います。

深い森の夜は闇に沈み、激しい雨が木々や茂みをずぶ濡れにし、湿った土の匂いが強く漂っていた。途切れることなく落ちる雷鳴が、夜空を白く裂く。


 少年の呼吸は荒く、心臓は激しく脈打つ。


「なぜだ……あの“影”は、どうして俺を追ってくる……?」


 茂みや枝が体を切り裂こうと、彼の頭の中にあるのはただ一つ。


――どうすれば、あの影から逃げられるのか。


 足が滑り、彼は地面に激しく倒れ込んだ。痛みに顔をゆがめながら、後ろを振り返る。


 息はさらに荒くなり、心臓は破裂しそうなほど鼓動を刻む。


 ――静寂。


 影が去ったと確信したとき、彼は大きく息を吐き出した。


 落ち着き始めると同時に、体の傷が一気に痛みとして主張し始めた。


 ゆっくりと立ち上がったそのとき――


「……ご、しゅ……じん……」


 雨音にかき消されそうな細い声が聞こえた。


 周囲を見回すが、あるのは木々と茂みだけ。


 だが、視線を前へ向けた瞬間、にやりと笑う“影”がそこに立っていた。


「やっと……見つけた……。さぁ、逃げ続けなさい……ご主人……」


 少年の体は凍りつき、影はゆっくりと彼の周りを歩き始めた。


「これからは……あなたが私を制御するのか……それとも、私があなたを支配するのか……」


 影は丁寧に礼をしながら、不気味に笑った。


 影が手を伸ばし、少年の腕を掴む。そして、そのままゆっくり――ゆっくりと、まるで溶けるように、少年の体へと同化し始めた。


 少年は必死に抵抗する。

 だが、影はすでに半分ほど体に入り込んでいた。


「出ていけぇぇぇぇッ……!!」


 ――その瞬間。


 コルヴィアンは飛び起きた。

 全身に冷や汗、胸は激しく上下し、目は大きく開いたまま前方を見据える。


 深く息を吸い、ゆっくりと吐き出す。


「どうして……あの影の夢ばかり見るんだ……?」


 左手を見下ろすと、そこには小さな黒い丸い印があった。


「この……黒い“印”のせいなのか……?」


 彼は窓の外を見つめながらつぶやいた。



---


 温かいスープの香り、焼きたての大きなパン、燻製肉の匂いが食卓に広がる。


 コルヴィアン、父、母、そして祖母の四人が食卓を囲んでいた。


 母はスプーンを止め、コルヴィアンが食事を混ぜ続けていることに気づいた。


「ねぇコルヴィアン、何を考えているの?」

 穏やかな声。


 コルヴィアンは動きを止め、静かに食べ始めた。


 母が父をにらむと、父は肩をすくめるだけ。

「なんだい?」と言いたげな顔。

母は微笑みながら父の足を踏んだ。


 父はため息をつき、言った。


「コルヴィアン、最近ずっとぼんやりしているな」


「ここ数日、ずっと悪い夢ばかり見るんだ……」


「悪夢、か……」

 父は少し考え込む。


「お前、なにか気になることでもあるのか?」


「うん……なんというか……ずっと“何か”に見られてる気がするんだ」


 すると小さな狐――ルーシーがコルヴィアンの膝に飛び乗ってきた。


「どうした、突然……」

 コルヴィアンは微笑んで撫でた。


「父さん、この黒い丸……何か知ってる?」

 左手の印を見せる。


 三人は同時に驚き、母は慌てて布を取り、インクか何かだと思って必死にこすった。


「こんなの……魔法印なわけ……」


 しかしどれだけ拭いても消えない。


 母は目を大きく見開き、涙があふれ、父は深く長い息を吐いた。


「コルヴィアン……その印は……“魔法印”だ」


 コルヴィアンは息を飲んだ。

 ただのあざだと思っていたものが、実はとんでもない意味を持っていたとは。


 ルーシーは祖母の膝に移動し、祖母が静かに撫でる。


「フランク……少し話してもいいかい?」

 祖母が父を見た。


「魔法印というのは、魔法を使うための絶対条件。

 胎内にいる時か、生後一ヶ月ほどで現れるんだよ」


「じゃあ……この印、何か変なの?」

 コルヴィアンは不安そうに尋ねる。


「まだ分からないよ。でも……きっと、お前は大きな人物になるよ」

 祖母は優しく微笑んだ。


 コルヴィアンは顔を明るくし、食事を終えてルーシーと外に出た。



---


「フランク……私は怖いのよ……あの魔法印が」

 母が静かに言った。


「喜べばいいじゃないか。もしかしたら、あいつが世界を変える存在になるかもしれん」

 父は笑った。



---


 広い青空、まぶしい太陽、そして心地よい風。


 コルヴィアンは倒れた大木の上で手を後ろにつき、空を見上げていた。


 左手を掲げて太陽を遮る。


「まさか……これが本当に魔法印だったなんて……」


 深呼吸し、大木から飛び降りる。


 そして魔法の真似事をし始めた。


「火の玉ッ!」

「水斬りッ!」

 棒を振り回す。


 当然、何も起きない。


「うわぁ……全然使えない……」

 コルヴィアンは肩を落として座り込む。


 ルーシーが蝶と遊んでいるのを見て、思わず笑みがこぼれた。


 その時、父が隣に座った。


「コルヴィアン、魔法の使い方……知りたくないか?」


「知りたい!教えて父さん!」


 父は微笑んだ。


「……街に行きなさい。エルメリストまで、馬で六時間だ」


 コルヴィアンの瞳が大きく開き、喜びがこみ上げる。

 だが同時に、家を離れる寂しさが胸に広がった。


「……家を……みんなを離れるのか……」


「安心しなさい。街には建物も、色んな種族の人達もいる。

 きっとお前の世界が広がる」


 コルヴィアンは街を想像し、胸が高鳴る。


「父さんと母さんも街に住んでたのに、どうしてここに?」


「……いつか分かるさ」

 父は空を見上げて答えた。


「……分かった。明日、街へ行くよ」


「よく言った」

 父は笑いながらコルヴィアンを抱き寄せた。


 そして二人は静かに笑い合った。



---

最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます。

次の章も楽しみにしていてください。

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